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株式会社iCAREの山田からの2023年締めくくりの言葉

皆様、こんにちは。iCAREの山田です。2023年も終わりに近づき、一年があっという間に過ぎたことに驚いています。この機会に、2023年のiCAREの歩みを振り返り、今年最後のメッセージをお届けしたいと思います。



今年のiCAREは、大きな変革の年でした。多くの難題を乗り越え、ここまで来ました。特に重要だった3つの点を紹介します。

  • パーパス至上主義への転換

  • ビジネスモデルと組織体制の変革

  • 深い価値を提供する顧客関係重視へ






2023年は、真の変革に挑んだ年と言えるでしょう。不安との闘いの中でも、チーム全員が互いを支え合い、多くの成果を手にすることができました。この経験は、私自身にとって、そしてiCAREにとっても、大きな成長の機会となりました。

目の前が不確かさという暗闇の中で、iCAREのメンバー全員が励まし合いながら、難局を乗り越えたのです。変革とは不確実であり、時には外面では平気を装いつつも、内心では疑念を抱えることが多かった1年でした。

そのような変革の最前線で指揮を執っていた私だけでなく、iCAREのメンバーも同様に多くの不安を抱えていたと感じています。そんな状況で確実な立て直しを成し遂げ、数々の困難を乗り越えたメンバーを誇りに思います。この1年間の経験を決して忘れることはありません。

それでは、2023年の振り返りを始めましょう。



CREDO至上主義からの脱却

パーパス至上主義への転換

1つ目の話としては、当たり前のことが書かれているかもしれません。しかし、2022年までは強いCREDOカルチャーで支えられていた組織でした。VISIONやMISSIONよりもCREDOだったのです。CREDOは私たちにとって、「誰と一緒に働きたいのか」という問いかけなのです。「何をしたいかよりも誰と働きたいのか」こんなメッセージを伝えていました。決してこれが悪かったわけではありません。あの当時は、仲間意識の高い若手を中心に組織を駆け上がる必要がありました。それが凄まじいスピードで大量採用をしないといけない中で、様々な問題が発生したと認識しています。


言われたことが素直に出来るが考えなくなっていた

iCAREでは、SaaS型事業モデルを採用し、2年以上にわたりその方針に従ってきました。SaaS型事業モデルは、細分化された中でシンプルなKPIを追いかけることで、メンバーからすれば考えるというよりも実行をより高いスピードで行うように見えていたと思います。とても素直なCREDO重視型のメンバーの中には指示されたことを愚直に実行する能力はあるものの、自ら問題を発見し、それに対して独自の解決策を考え出す能力を持つ人材は不足していました。


事業成長の変更にマインドを合わせることが出来ない

外部環境の急激な変化に伴い、私たちの事業も多くの変更を迫られました。外部環境が変わるときには、よりゴールからの逆算を再度計算し直すマインドが必要となります。これはとても難しいことなのですが、パーパスドリブンではなく、CREDOに共感して一緒に働いてきたメンバーからすれば、それはなかなか難しいことでした。


パーパスこそすべての問題を解決する

昨年夏から、この問題に対処するために、私は社内でパーパスの浸透に尽力しました。私たちは、仕事のあらゆる場面でパーパスを意識したコミュニケーションを行うようになりました。そして、今年になってからは、人事部長の中野がこの取り組みを引き継ぎ、全社的にパーパス重視のムーブメントを推進しています。私たちは、データに基づいて求職時も入社後もパーパスが重要であることを伝える機会を大切にしています。

現在では、どんな状況でもまずはパーパスから話を始めることが、私たちの標準的なアプローチとなっています。会社やサービスについての説明をする前に、iCAREの存在意義や取り組む社会課題について触れます。この方法により、お客様や多くの関係者から、iCAREが解決しようとしている社会的な課題に対する共感のメッセージを受け取るようになりました。

求職者からCSマネージャー薄葉がパーパスを自分の言葉で伝えることで共感メッセージを頂く
営業担当の柴田が産業保健職へパーパスを説明することで共感を得る

パーパスは、iCAREが存在する根本的な理由を表しています。これは、全ての関係者が共感を感じることのできる、唯一無二の方法であると確信しています。これはiCAREのアイデンティティを変革する大きな挑戦でした。



SaaSモデルからの脱却

ビジネスモデルと組織体制の変革

2つ目の話は、アイデンティティの変革ではなく、ビジネスモデルや組織体制の変革についてです。

SaaSモデルは非常に効果的でスピード感あるビジネスモデルです。SaaSモデルはいつでもどこでもアクセス可能で、機能追加や最新化がクラウド上で即座に行える点が特徴です。この技術の登場により、IT企業は従来の売り切りモデルから継続課金モデルへと移行しました。SaaSモデルでは、マーケティングからインサイドセールス、客先営業、カスタマーサクセスに至るまで、各部門が単一のKPIに集中しながら、ファネル(漏斗)構造を迅速にPDCAサイクルで運用しています。このモデルの組織的な特徴としては、事業成長のスピードを最優先し、各部門の人員を多く保持し、開発力を高めることが求められます。ただし、SaaSモデルが適している業界やプロダクトもあれば、そうでないものも存在します。


SaaSモデルはマルチプロダクトに相性が悪い

SaaSモデルは、マルチプロダクトの展開には必ずしも適していないことがあります。例えば、Salesforce、HubSpot、Zoom、Slack、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Shopify、Canvaなど、私たちが仕事で頻繁に利用する多くのサービスは、SaaSモデルを採用しています。これらの企業の多くは、初期の成長期にはマルチプロダクトではなく、シングルプロダクトに集中して市場を開拓していました。市場への迅速な進出を目指すSaaSモデルは、大規模な先行投資に支えられ、単純で分かりやすい、広く利用される単一クラウドサービスに最適です。たとえばSalesforceも、現在はマルチプロダクトを展開していますが、これは当初のSaaSモデルから大きく進化した形です。iCAREは、健康管理クラウドサービスに加えて、産業医紹介サービス、産業保健師サービス、健診予約代行サービス、健診結果のデータ化サービス、健康経営コンサルティングなど、労働集約的な複数(マルチ)のサービスを展開している典型例でした。


SaaSモデルでは情報引き継ぎコストが非常にかかる

SaaSモデルでは、情報の引き継ぎにかかるコストが大きな課題となります。例えば、業界の課題が明確で、マーケティングからカスタマーサクセスまでの情報の流れが一貫している場合、情報の引き継ぎは比較的容易です。しかし、業界によっては顧客接点を細分化するSaaSモデルでは、部門間の接点の間のつなぎ目が最大の弱点となり得ます。情報引き継ぎの難しさに起因しています。たとえば、マーケティングでのコミュニケーションと、営業担当が顧客との商談で把握する課題が異なることがあります。また、インサイドセールスが電話で得た情報が、営業担当に完全に伝わらず、重要な情報がカスタマーサクセスに引き継がれる過程で失われてしまうこともあります。iCAREは、多くのステークホルダーを抱える健康管理の領域でサービスを提供しており、このような情報引き継ぎ問題に直面していました。


何が構造上の課題なのか部門の統廃合を進める

2023年2月、iCAREの下期開始と共に、私はセールス部門とマーケティング部門の統合を担当し、COOの石野はカスタマーサクセス部門と開発部門の連携強化を指揮しました。これにより、構造上の問題を迅速に解決することに取り組み、SaaSモデルからの脱却をビジネスモデルと組織体制の両面で進めました。この変更はまだ完了していないものの、既にいくつかの大きな成果を達成しています。顧客関係を重視するため、引き続き組織の構造的な進化を続ける必要があります。



広く浅い価値を提供する成長拡大路線からの脱却

深い価値を提供する顧客関係重視へ

最後に触れるべき点は、深い価値を提供することに重点を置いた顧客関係の強化です。以前は、成長と拡大に重きを置きながら、顧客に対して提供できる価値は広く浅いものに留まっていました。お客様との約束を守ることの重要性を再認識し、実質的な価値の提供に努めています。「顧客関係を重視する」というアプローチは、マーケティングチームからカスタマーサクセス部、プロフェッショナルサービス事業部に至るまで、お客様が私たちのサービスに抱く肯定的な感情を理解し、それを如何にして育むかについての意識を高めることを意味します。この変化は、従来のKPI設定にも大きな変更をもたらしました。


人事や保健師が忙しいのに電話で一方的に商談を設定する

以前は、忙しい人事担当者や保健師に対して、時に一方的な商談の設定を行うことがありました。これが過度だったという自覚はありますが、実際にそのような手法で接触を試みたことがあるのは事実です。この方法に対する批判や苦言を、直接DMで受け取ったこともありました。人事部門や産業保健師の仕事の忙しさを考慮せず、iCAREの都合だけで連絡を取ることは、価値のある内容でなければ大きな傲慢となります。


iCARE側の都合でサービス提供の約束が守れない

iCAREにとっての大きな問題は、お客様との約束を果たせないことにありました。私たちのサービスへの約束は、お客様の健康管理計画に直結しています。そのため、約束されたサービスを期日通り、かつ予定された内容で提供するためには、戦略的かつ計画的な体制づくりと品質保証が必要です。2022年に、さまざまな理由一部のお客様にこれが達成できなかったことは、振り返るだけで心が痛みます。


顧客との関係を重視する

この1年間、特に8月以降、お客様との約束を守るための品質に重点を置いた改革を推進してきました。インサイドセールスのコール品質、フィールドセールスのスキル向上、カスタマーサクセス部門における顧客関係の可視化と品質保証、プロフェッショナルサービス部門のオペレーションの改善など、数え切れないほどの改革を行いました。これらの取り組みは、一つ一つ丁寧に問題を解決し、お客様からの信頼を獲得する体制を構築してきました。これらの問題が発生したのは、私が組織を適切に導いてこなかったことにも原因があり、その責任を痛感しています。しかし、iCAREのメンバーは、これらの大きな変革に積極的に取り組み、お客様との関係を再構築するレベルまで努力を続けています。彼らの努力には、深い感謝と誇りを感じます。


失注になったお客様から客先営業の大阪間が最大の褒め言葉を頂いている

お見せしている実際のメッセージが、私たちが理想としている顧客関係を重視するという典型例です。このような場面が他にも多く作ることが出来ています。まだまだご迷惑ばかりおかけしているお客様もいることも事実です。でも私たちは大規模な変革を経て、継続的で誠実な対応を通じて、働くひとの健康を創るご支援が出来ると信じています。



最後に

この1年間は多くの挑戦と大きな変革に満ちた年でした。CEOとして、私自身も大きく成長する機会を得ました。自らの弱点や反省すべき点に気づかされ、新たい自分らしさを感じることが大きな気づきでした。

ご紹介した3つの変革は、私を含む経営陣や部長陣、マネージャーだけでなく、現場にいる多くのメンバーひとりひとりの力が結集して成し遂げられたものです。それがなぜ出来たのかは簡単です。

iCAREにいるメンバーひとりひとりがパーパスで考えることが出来るようになっているからです。「働くひとの健康を創る」が私たちのパーパスであり、本人の努力だけでは健康を創ることは出来ません。働くひとの環境や仕組みを進化させていくことで創ることが出来るのです。その進化に尽力する人事労務や産業保健看護職、産業医、管理監督者がもっと活躍することで実現出来ると信じています。その活躍にひとつでも私たちが関わることができれば、パーパスの言う世界が近づいていると言えるでしょう。

最後に今年作った最高傑作である私たちのパーパスストーリーを見て終わりにしたいと思います。

iCAREのパーパス・ストーリー


今年も本当に多くの方々に支えられてここまでこれました。来年も今年同様にご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。


正月のお休みのときに、皆様がご自身のこの1年間のこと、これまでのこと、現状と未来に向けて考えていく中で、当社のことにご興味あれば、是非こちらの募集について見てください。



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