友人のサーブが股間に当たった話
体育の授業では様々なスポーツを体験する。
バレーボールでは決まって腕の内側が真っ赤になったり、野球では全然打てなくて顔が真っ赤になったりしていた。
中学校の頃の話だ。
これから一連の出来事を書くが、衝撃が強すぎて前後の出来事をあまり深く覚えていない。
うろ覚えで書いていこうと思う。
僕の学校のテニスコートは2面あって、そこでテニスの授業が行われた。
荒くれ者も多かったがそれなりにいい学年だったと思う。
2クラス合同で行われていた(ような気がする)体育の授業で、テニスコート2面では人数に対して練習面積が小さすぎる。
なんだか全然全くさっぱり覚えていないが、なんでかかんでかサーブの練習をすることになった。
男子全員で。
バカなのか。
2面しかないと言っているだろうが。
おかげでひとつのコートに10人以上の男子が入り、両端からサーブを撃ち合う。
一気に玉が5球も飛んでくるのだ。しかも横には4人の男子。
狭すぎる。
危なすぎる。
矢継ぎ早にボールが飛んでくるのに注意しながらサーブの練習をしなければならない。
完全にアルマゲドンである。
自分の身が危険なのにサーブの練習をするやつがいるだろうか。
当時の僕である。
死に瀕した時の行動リストで最も誤った選択肢であることは否めない。
しかし当時の(今も)僕は底抜けのアホで頭のネジも抜けていたので何も考えず、意気揚々と馬鹿面で届きもしないヘボサーブを放ち、息を荒げ地球温暖化を促進させていた。
「あははたのしーなー」
と思っていたその時!!
ズドン!!!!!
「ウ”ウ”ッッッッ!!」
隕石が股間にダイレクトアタックした。
ノーバンで。
一瞬意識が飛び、身体中に稲妻が走った。
「痛い」などという陳腐な言葉では言い表せない激痛だった。
僕は自分の股間が使い物にならず、一生童貞でいるかもしれない恐怖に怯えた。
立ち上がれなかった。
全身がビリビリ痺れ、もう笑っちゃうくらい身体がおかしかった。
そこから立ち上がれるようになるまでにはしばらく時間を要したが、僕の股間は今日まで正常に作動している。
本当によかった。
そして僕は学んだ。
ひとつのテニスコートで10人が同時にサーブの練習をするのは、大変危ないということだ。