
3月4日(2015)一緒に闘ってくれよ!
あの日のわたしたち 〜浦和レッズ30年〜
2015年3月4日。
浦和レッズはACLグループリーグ第2節埼玉スタジアムでブリスベン・ロアー(オーストラリア)と対戦。前半早々に失点し、その後も全くいいところなく0-1で公式戦3連敗のスタートになった。春まだ遠く寒い夜のスタジアムにブーイングとやるせない怒声が響いた。
選手たちが肩を落とし引きあげて行った後に、インタビューを終えた一人が殺伐としたゴール裏に近づいてくるのが見えた。いつもはもの静かなキャプテン阿部勇樹だった。初めて見せるその感情を露わにした熱い姿に驚いた。
「わかってるよ!言ってることわかる!」
「俺たちひとつ勝たなきゃしょうがないんだ!」
「次見せるよ!」
「次見せるから一緒に闘ってくれよ!」
前年最後の失速から続く負の連鎖に、壊れかけていたサポーターとチームの気持ちををひとつにしてくれた心の底からの叫び。
誰からも愛され、惜しまれながら昨年24年間のプロ生活を終えたキャプテンのあんな姿を見たのは、一度きりだった。
なかなか勝てなくて辛い時、いつもあの日のあべちゃんのことを思い出す。