建築しか見ない旅 ヨーロッパ視察編2
ヨーロッパ視察3日目。コペンハーゲンの最終日である。
朝一でちょぴっと郊外へ。
地下鉄で20分ほどの再開発地域。
この辺は密度高く現代建築がたくさんあるからかなりオススメエリアである。
まずはIT大学。
学生寮。
こんなとこで大学生活おくったら確実に企業しちゃうわ。
こちらはキャンパスセンター。どちらも元気溢れる現代建築。
がしかし、この国はキャンチレバーの鬼に取り憑かれでもしたのだろうか
このキャンパスセンターはヘニング・ラーセンの設計。
日本では絶対に出来ないそのダイナミックさたるや。
小梁という存在がないんじゃ無いか?建設現場を見てるとそう思う。全てフラットスラブに見える。
やはり、地震、台風という日本の風土は建築の上でビハインドでしか無い気がする。
それによって使えるようになる素材もなければ、構造的特徴もない。メンバーは太くなり、本数が増えるだけだ。
日本は木の軸組で勝負するしか無いのかなぁ。
ぽこぽこ出てるコの字のフレームも5〜6m最大出てるので迫力あるけど、何より1番奥のブリッジのプロポーションは恐ろしい。
450mmくらいしかないんじゃないか?
横は20〜25mくらい飛んでると思うけど。。
日本なら倍は下らないんじゃないかな。
このようなリニアな建築を作られるとやっぱ叶わないなと思わざるを得ない。細く、薄く綺麗なプロポーションのメンバー感が日本とは違いすぎる。
そして市街地に戻り、時間が無いので急ぎ足で国立銀行とBLOXを葬る。この日の夜の便でアムステルダムに飛ぶ。
国立銀行、去年来て本当に感動したけど、やはりめっちゃかっこいい。
やっぱこの空間のプロポーション。台形状というのも相まって、矩形なんだけど感じたことのないスケールの空間。石って、超かっこいいんだな、と滲み入る気持ちになる。
何より光が鋭くエッジを際立たせてる。
彫りの深いPCにスリットが空いていて、奥行き方向の面に光がバチッと当たる。
奥行き方向に傾いていることもあり、重たい表情のPCが奥行き0のサーフェイスに見えて来る。空間に異常な鋭さが入り込む。
中からの見上げ。
外からの見上げ。
この建築は僕の生涯ベスト10に余裕でランクイン。
自分の感動した建築ベスト10を語る飲み会、めっちゃやりたいな。
そして去年ひとり旅で来た時には竣工していなかったBLOXへ。
超刺激的な敷地にある。
建物の中を幹線道路が貫通し、目の前を川が流れ、背後は公園という一級建築士試験だったら72時間あっても解けない問題だ。
ここでもキャンチの鬼が見え隠れしている。設計はOMA。
作られ方や狙いは、シカゴのマクコーマックと似ている。マクコーマックの場合は建物の真上に鉄道が通っていたが、この建築はグランドフロアの真ん中を道路が突っ切ってる。
こちらはBOXのヴォリュームが積木のようにズレあいながら集合している。どんどん自分でシークエンスを作っていける。
見終わって、公園側から建物を見たとき、中央の道路がカーテンウォールの内側に閉じ込められたように見える。
その内外の反転が相当しびれた。
そしてもう一度郊外へ行き、午後からDRのガイドツアー。
DRとはDanish Radioの略で、デンマークの国営放送局。
今やってるプロジェクトの関係で視察を決めた。
30人まで帯同可能なツアーで、確か1回3万円以上したと記憶してる。
ので個人用では無く、世界各国の放送局など、放送系の同業者等のプロが見るためのツアーと言った感じ。
NHKで言うスタジオパークのような感じの誰でもいつでもいけまーすのとは異なり、バッグスペースやニューススタジオ含めてかなりマニアックな所まで見させてくれる。
ホールはヌーベルの設計。
なんだろうかこのインテリアのセンス。到底日本人のかなうレベルでないと引き込まれる。
同じ非対称系ホールを実現した鶴岡市文化会館も良かったけれど、やっぱりカラースキームがどうしても日本人って(お客さんの要望込で)ノッペリする。アイボリー、自然な木、薄めのグレー、白で構成しがちなのが日本のインテリアの色味感と思ってるけど、コレはもう迫力が違う。
ホール座席に使われるワインレッドは割とある色なんだけど、重ための色で全て構成されてる。
あとは照明がめっちゃ黄色入ってる。白熱色ではなく、黄色。
これまた世界の建築家がどんどんやっているが、壁、手摺り壁を一体的な言語にして形を作ってる。
こんなん本当3Dじゃないと作れないね。
鉱山の洞窟のような、バキバキしたボリュームが迫り出してきてる。
ホールの機能としては、完全コンサートホール仕様なので(ガイドのおっちゃんはロックライブとかもやるってたけど)オーケストラの背後席もあるのでその点で鶴岡とは異なるが、
奥行き感もありながら臨場感と一体感のある全体。こちらも鶴岡同様、2階席にいながらも階段で舞台まで到達できる。管理面でも便利だったりするし、その事で可能になる演出(お客さんを舞台に上がらせる的な)もあるらしい。
それが非対称系のホールを作る1つのトリガーになると、鶴岡で聞いたことがある。
↑ヌーヴェル事務所の断面コンセプト。
あの洞窟のような重たい空間は実は完全に宙に浮いている。
そしてその下に中小サイズの収録スタジオが入ってる。
ホールのホワイエ。鯨のお腹のようにして迫り上がる。ホールとスタジオの隙間の空間。
この辺のデザインも中々真似できないと言うか、これはこれで良いのか?という感じ。
お客さん連れて歩いてたら、「あれ?ここはいつ貼るんですか?」って言われかねないような、ラフなインテリア。
尚更このホールは国営の建物なので、割と豪華で高級で、ワクワクさせるようなインテリアが常套手段と考えられるが、倉庫のよう。そしてあの重たいホールに繋がると言う二重の裏切り。
全体構成としては↓。
デンマーク国営放送局のセグメント4としてヌーベルのホールがあり、セグメント1.2.3がテレビ・ラジオスタジオだったりオフィスだったりという構成。
これが平面図で、
4つの建物に明確に分かれてる。
ニュース系と製作系は分かれるのは世界共通なのか。
そして、四棟を繋ぐ一直線の「ストリート」と呼ばれるアトリウムがある。これで各棟への行き来をする。かなり明快な構成。
本当は他の建物の中も写真を見せたいところだけども、ホールは一般的な公開があるけど、他は超セキュリティハイな建物なのでNG。
サイトに上がってた写真を拝借。ストリートの抜け。
市街地エリアにはもう一つ目玉建築が。
BIGのエイトハウス。
メビウスの輪のようにして、平面形状が数字の8になっていて、スロープで繋がっている集合住宅。
形が強い…!!
BIGの建築はダイアグラムがピークなところはあるけれど、実際に見たときの、その形が持つ迫力たるや。
それこそ日本は、(特に学生とかなのかな…)アクティビティに溶け込む、とか繋ぐとかを必死に考えるんだけど、そうするとやっぱ建物が弱々しくなってしまう。
自分も学生の時気づけないでいたけど、東京建築コレクションの時に手塚さんに強くそれを言われたのを今でも覚えてる。
堂々としてる。良いか悪いかは置いておいて。
さて、これでコペンハーゲン編は終了。
市街地を外れてこっちまでくると、もはやタクシーで空港行くのが早い。20分ほどかな。
2泊3日の俊足でコペンを離れ、次はアムステルダムに行く。
深夜にアムステルダムに到着。
次回はアムステルダム編。
いじょ。
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