東北一周自転車旅(22)青森県深浦町〜秋田県能代市
東北一周自転車旅
第22ステージ
青森県深浦町〜秋田県能代市(56km)
朝6時50分、「ごはんですよ〜!」の声で下に降りていく。朝も品数がすごい。
「民宿 汐ヶ島」のおじさん(山本さん)が、出発前にリンゴ2つとリンゴジュースをくれた。「トキ」という黄色いリンゴ。青森を代表する品種で、「王林」に「ふじ」を交配して育成されたものだそう。その夜ホテルで皮ごとかじって食べたが、甘味が強くおいしかった。
おじさんはさらに、「あんた旅行作家っていうから、ちょっと車で案内してやっべ」と言って、周辺の景勝地を案内してくれた。
民宿の名前の由来にもなった「汐ヶ島」、TBSドラマ「砂の器」のロケ地にもなった「賽の河原」、象の顔に見える「象岩」、かんざしのような形をしている「かんざし岩」、JR東日本でいちばん短い鉄道トンネルだという長さ9.5メートルの仙北岩トンネルなど、15分くらいでいろいろ紹介してくれた。
10時前に自転車で出発して、五能線の十二湖駅から山道を登り、30分かけて標高250メートルのところまで登ってきた。キツかった。
「森の物産館キョロロ」に自転車を停め、中の飲食店でアイスクリームを食べて小休憩。気温はもう涼しいのに、登ってきたから汗が止まらない。
それから1時間ほどのハイキングコースを歩いた。ここで楽しみにしていたのが、「青池」。青森県の旅行ガイドの表紙にもよく使われる、神秘的なブルーで有名な池だけど、時期的にベストじゃなかったようで、期待したほど美しいブルーではなかった。ベストは新緑の時期の正午頃だそう。今は池に葉っぱも結構落ちているため、ちょっとイマイチ。けど水は澄んでいて、綺麗は綺麗だった。
その後、ブナの自然林を歩き、沸壺の池を見て、「平成の名水100選」にも選ばれたというその湧水をペットボトルに汲み、再びキョロロに戻ってきた。
ちょうどお昼なので、今朝女将さんがくれたおにぎりを食べた。中の具はすじこ。東北ではいくらよりも、すじこの方が一般的みたいだ。お寿司屋さんでも地元の人は「すじこください」と言っていた。ぼくも石巻ですじこの握りを食べたけど、想像していたよりもおいしかったな。東北に滞在していると、塩辛いものが好まれる感覚が、なんとなくわかってくる気がする。
今年は青森県と秋田県にまたがる白神山地が世界自然遺産に登録されてから30周年。厳密には十二湖エリアは世界遺産の範囲ではなく、ここからもう少し内陸に入った場所らしい。標高も高いので、自転車ではなかなか気軽に行けるところではない。
山を降りて、十二湖駅に戻ってきた。そこから国道101号線を南下する。この道は、青森市から秋田市まで続く道で、日本海沿岸を走るから景色が素晴らしい。
道はよく舗装されているし、車通りもそこまで多くないから、風さえなければ最高のサイクリングロードだ。JR五能線もほぼ同じルートだから、すぐ横を電車が通るのをたびたび見かけた。しかし五能線は大雨になると頻繁に止まるため、地元の人は「無能線」と呼んだりするらしい。かわいそうに。
やがて秋田県に突入。これで東北5県目。遥か彼方には山形県と秋田県に跨がる鳥海山(標高2,236メートル)も見えた。
今日はほとんど無風で、登り坂もそこまで多くなかったから、能代までの40kmを実に快調に走れた。14時半頃、「ドライバーレストラン海」で磯チャンポンラーメンを食べた。
そしてまた走り出し、16時半に能代駅に到着。日本海側に位置する人口約5万人の街だ。
「能代タウンホテルミナミ」にチェックインし、シャワーを浴びてから、近くにあった「cafe & asobiba 4-6」という子どもの遊び場が併設されたおしゃれなカフェで18時まで原稿を書いた。
夜はホテルからすぐの「宝むらん」でカツ丼を食べた。
深夜、日記を書くどころではなく、この先の宿の予約で深夜1時まで苦戦した。宿探しがこんなに大変だと思わなかった。通常の主要都市であればサクッとビジネスホテルを予約すればいいけど、そもそも「なんでこんな高いの?」という通常の倍近くする値段だったり、満室だったり、ビジネスホテルがなくて高級旅館か民宿しかなかったり、民宿はまったく構わないのだけど、ホームページがなく正確な料金もわからないから電話しないと確認も予約もできなかったり・・・。
それでもなんとかこの先の秋田、大曲、湯沢までの宿は確保できた。あとは走るだけだ。
▶︎ご支援者様用のフォームはこちらより
▶︎2023年 旅の予定&ご支援者様一覧(随時更新)
この記事が参加している募集
お読みいただきありがとうございます! 記事のシェアやサポートをしていただけたら嬉しいです! 執筆時のスタバ代に使わせていただきます。