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【+129%】similarweb有償版の使い方 | 老舗ブランドのデジマ戦略構築への活用法
※お客様には企業名を伏せることで事例公開の許諾を頂いています。
similarwebが寄与した定量成果は下記。
新規ユーザー数:+17.86%
新規若年層流入割合:+18.48%
追加投資先プラットフォームからの総ユーザー流入:+129%
上記はGoogle Analyticsによる2021年(vs 2020年)のデータより引用。
また、定性面で良かったのは下記。
競合を常時観測しているため、変化への対応が早い
競合がなぜ流入を増やせたのか?要因分析ができる
国内にいながら海外市場を調査できる
リソースがかけられない中、SimilarWebのデータによって「最短 / 最速 / 効率的」に新規顧客獲得に成功。
また成果はこれからですが、海外展開に向けてある国の市場調査も実施しました。
これらの成果を出すためべくどのようにsimilarwebを活用したか、下記の方々に向けて書いていきます。
現在similareb有償版を使っている
similarweb有償版を検討している
海外市場調査をしたい
本稿の目的は、コンサルティング支援における実績の棚卸とプロセスの思考整理。
そして、棚卸中にたまたまメモしていたsimilarweb活用術を「今使っていてる方々にもシェアできればな」と思い書きました。
背景と課題
背景
筆者はフリーのマーケターであり、お客様であるBtoC老舗ブランドA社の代表へ支援をさせて頂いています。(A社のアルファベットは仮であり、実名と関係なし。)
戦後間も無く創業し、長きに渡り素晴らしい製品を作られている老舗企業。
本稿ではご支援している中の"デジタルマーケティング戦略"における事例です。
課題
ご支援する際、A社がデジタル領域で抱えていた課題が下記。
【課題1】競合の動きを追えていない
【課題2】SEOが弱い
【課題3】自社を全く知らない層にリーチできていない
【課題4】若年層へのリーチが弱い
【課題5】A社の市場にてトレンドが何か、客観的に掴めていない
【課題6】とある国に展開を図っているが、市場動向が不明
まとめると「国内外の市場/競合調査不足から、新規顧客獲得に向けた戦略が不透明」なことが課題でした。
解決策
ここから前述した課題毎に、similarwebを使った解決策をご紹介していきます。
【課題1】競合の動きを追えていない
similarwebを使い、下記のステップを行えば容易に解決策が導けます。
※「」は主にsimilarwebの機能名となります。
自社サイトを軸に「類似サイト、オーディエンスの興味、オーガニックの競合、有料の競合」機能を使い、競合を洗い出す
洗い出した競合を「ウェブサイト分析」機能で全て見る
各競合の特徴をメモに洗い出す
各競合サイトの「オーディエンスの興味」から、ユーザーが見ているサイトを抽出
ユーザーが見ているサイトを「ウェブサイト分析」機能で全て見る
ユーザーが見ているサイトの特徴をメモに洗い出しす
競合およびユーザーが見ているサイトをカテゴライズ
カテゴライズ毎に「ダッシュボード」を作成
ダッシュボードを最低月1で確認し、変化を読み取る
大きな変化があれば、その要因をSimilarWebで調査する
要は「ターゲットが見ているサイトを抽出し、その特徴を簡単にまとめる」ことが、1日もあれば完了します。
特にポイントなのが「ビジネスモデルにおける競合」と「キーワードにおける競合」を把握しておくことです。
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例えば、ユニクロにとってZARAはビジネスモデル上"アパレル"としての競合です。
ただ、Web上になると"アパレル系メディアサイト"と検索キーワードで争います。
similarwebのいいとこはここからです。
特定した"アパレル系メディアサイト"が、どのサイトに送客しているのか、similarwebで見れます。
実際本件でもあらゆるメディアを調査し、競合に送客しているメディアを特定。
そこでA社でも対抗策を準備し、オムニチャネル戦術を素早く実施することで競合を退けています。
故に、similarwebで「競合の動きを常時終える」組織体制を作れました。
また「ダッシュボード」で常時競合の動きを把握しているため、瞬時に対応できます。
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一時期、競合がトラフィックを伸ばしていたタイミングがありました。そこでsimilarwebを使いつつ「なぜ伸ばせたのか?」を調査。
広告なのか、市場の流れか、SEOが効いてきたのか…など、要因を解明することで対策を練れます。
【課題2】SEOが弱い
similarwebで手っ取り早いSEOの解決策は「競合が獲得できているキーワードを奪いにいく」または「競合が獲得できていないキーワードを特定して占領する」の2つです。
similarwebがなくともできますが、調査工数を圧縮できます。
さらに、個人的にSimilarWebで一番好きな機能「キーワードジェネレーター」がSEOでは効果を発揮します。
これは好きなキーワードを一つ入力し、ワンクリックで入力したキーワードの複合、関連、トレンド別に拡張してくれる機能。
また、各キーワードの検索量、年間トレンド、CPCも付けてくれるので、キーワード選定が一瞬で済みます。
あとは、ひたすらコンテンツを作っていきます。
A社では抽出したキーワードを元に、まずは投稿済みの記事をリライト。その後"競合が獲得できていないキーワード"を軸に、市場を占拠しています。
ちなみに、YouTube上でのトレンドキーワードが見れるのも便利。
【課題3】自社を全く知らない層にリーチできていない
これも競合抽出とユーザーが見ているサイトを特定できていれば、ワンクリックでできます。
similarwebの「オーディエンスのオーバーラップ」を使うと、自社サイトと他社サイトの来訪ユーザーがどれくらい被っているか確認できます。
「リーチできていないところはどこか?」を掴めれば、あとはそこに向けて施策を打ち込むだけです。
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A社でも「リーチできていない層」を特定し、施策を実施。結果、冒頭に述べたWeb集客に成功しました。
特に、ターゲットを特定できたことで追加投資すべきプラットフォームを特定でき、結果的に同プラットフォームからの流入が前年比129%と大成功を収めました。
【課題4】若年層へのリーチが弱い
下記ステップで解決していきます。
若年層に人気の競合ブランド & 同業界限らず若年層に人気のサイトを抽出
similarwebで各サイトの「マーケティングチャネル」を確認
流入が多いチャネルへの投資を考慮する
similarwebで競合サイトを分析するのはもちろんですが、競合以外の気になるサイトを参考に戦略を考えることもできます。
実際にA社とは競合関係のない、若い女性向けのアパレルメディアを調査し、集客手法を分析。
分析結果から集客手法を模倣し、前述した特定プラットフォームの攻略法を編み出すことで、繰り返しですが前年比+129%となりました。
【課題5】A社の市場にてトレンドが何か、客観的に掴めていない
"客観的に"、がポイントとなります。
「〇〇が流行ってるな」くらいは業界内で自然と会話となり、何もせずともトレンドを把握できます。
ただ、A社の代表は鋭い方で「消費者は自社で気づいていないトレンドに夢中なはず」と仮説を立てていました。
そこで、客観的に市場を眺めることで"自社の知らない、消費者のトレンド"を瞬時に把握。
similarwebではキーワードのトレンドが確認できるため、筆者は毎月トレンドになっているキーワードをチェック。
すると、業界内でも「意外だな」と思うキーワードが伸びていたりします。
最新のアニメ、ドラマのワンシーン、著名人のツイート…などなど、現代はちょっとしたキッカケで一気にブームが起きます。
重要なのは「ブームの兆しに競合より速く気づく」こと。
もちろんA社と筆者は競合より先に兆しを捉え、投資しています。
【課題6】とある国に展開を図っているが、市場動向が不明
フィリピンで最も使われているSNSをご存知ですか?
アメリカや日本では"Facebook離れ"と言われることも増えてきました。ところが、フィリピンにおいてFacebookは生活する上で"必須"と言っても過言でないほど使われています。
筆者がフィリピンのセブ島で英会話留学をした際、フィリピン人が夢中になってFacebookを使っているのを見て驚きました。
(ちなみに、A社が狙っているのはフィリピンではありません。)
similarwebは世界何十カ国ものデータを見れるため、国内に身を置きながら手軽に海外市場動向を分析できます。
これは見えないところで経営をカバーしています。
出張費、現地調査会社へのフィー、提携候補先の企業を効率的に特定…などなど、無駄なお金を使わずに済みます。
加えて「Facebookは日本国内で使われなくなってきてるから、他国でもそうだろう…」と、偏見を事前に解消できることも大きい。
調査手順はここまで解説してきた国内向けの課題解決手法と一緒です。あとは海外データ用のフィルターを使うだけ。
A社では海外展開に向けたsimilarwebによる調査を進め、戦略策定まで終えました。
代表とも合意を得て、着々と施策準備を進めています。こちらの模様は成果が出たら追記していきます。
注意点
ここまでsimilarwebで課題解決策まで導いてきましたが、下記3つの前提があって成り立っているのも正直なところです。
前提
A社のクリエイティブが素晴らしい
最低限のマーケティング知識が必要
SimilarWebで解決策には気付けるが、解決までは至らない
1.A社のクリエイティブが素晴らしい
投資すべきポイントが決まっても、そこでイケてないコンテンツを出したところで集客はできません。
similarwebで効率的に投資先を決めれたのは事実ですが、そこで消費者の心を掴めたのはA社によるクリエイティブの質が高いためです。
緻密な戦略/戦術を組めたとしても、消費者とのコミュケーションにおいてイケてるコンテンツを作れなければ、成果に繋がらなかったでしょう。
2.最低限のマーケティング知識が必要
similarwebは膨大なデータを、簡単な操作で瞬時に提供してくれます。ただそのデータをうまく使えるかは、使い手次第です。
A社では筆者のマーケティング戦略策定フローにおいて、部分的にsimilarwebを活用しています。
上記の記事ほど緻密にやらずとも、最低でも下記を言語化しておく必要があるかと。
目的、ゴール、課題は何か?
現状のターゲットは?狙い通り獲得できている?できていないならなぜ?
現状のポジショニングは?競合に勝っている点は?負けている点は?これから勝ちたい点は?
上記3点を揃えていくうちに「競合とポジションとるために、彼らの強みや弱点を知りたい」となり、そこでsimilarwebのデータが活用できます。
3.SimilarWebで解決策には気付けるが、解決までは至らない
本件で海外調査をしていた実際にあったのが「提携すべき海外企業を見つけた!」となっても、そこから交渉して実際に提携できるかは不明です。
ただ、これらを「最短 / 最速 / 効率的」に気付けたのは非常に価値があります。
速く的確な意思決定は、競合優位に立てる要素の一つです。
まとめ
A社の課題は「国内外の市場/競合調査不足から新規顧客獲得に向けた戦略が不透明」なこと。
この課題に対しsimilarwebを使って「どこに投資すべきか?」、工数を抑えて素早く意思決定できました。
いくつか注意点はあるものの、一つのソフトウェアで幅広く対応できるのは便利です。
成果としては、冒頭で述べたWeb集客にてsimilarwebのデータが寄与しているでしょう。
また、計算しにくいものの「無駄な出費を抑えられた」コスト面における効果も感じています。
本稿がsimilarweb有償版ユーザーの方々の参考になれば幸いです。