#328 『私の財産告白』本多静六 (著)
本多静六の財産形成術: 「四分の貯金法」と「社会への還元」
本多静六は、「私の財産告白」の中で、自身の貧乏な生い立ちから、いかにして財産を築き、そしてそれを社会に還元していったのかを語っています。
本多式財産形成の根幹
本多式四分の貯金法: あらゆる収入の四分の一を天引きして貯金する、というシンプルな方法。少額であっても、まずは貯金の習慣を身につけることが重要だと説いています。本多自身、大学からの給料よりも貯金の利子や株式配当の方が多くなった経験から、この方法の効果を確信していました。
株式投資: 当時の経済界の重鎮の教えに従い、日本鉄道株を購入。その後、政府買上げによって大きな利益を得ることができ、これが財産形成の第一歩となりました。
山林投資: 専門分野である山林について、当時の秩父山奥の開発が進んでいない状況を分析し、破格の値段で購入。その後、山林の価格は上昇し、大きな利益を生み出しました。
本多の投資哲学:
「二割利食い、十割益半分手放し」: 株価が大きく変動する中で、堅実に利益を確保していくための独自の投資法。
「正直に稼ぎ、正直に積み上げる」: 財産を築くためには、あくまでも正当な方法で、努力を積み重ねることが重要。
「儲けようと思えば、人にも儲けさせよ」: 事業を行う際には、自分だけが利益を得るのではなく、周囲の人々にも利益を還元することの大切さを説いています。
社会への還元:
本多は、財産は社会の寄託であるという考えから、晩年には自身の財産を公共事業に寄付しました。その中でも、特に力を入れたのが、50年前に購入した秩父の山林を埼玉県に寄付し、その資金をもとに育英資金を設立することでした。
「私の財産告白」は、単なるお金儲けの話ではなく、本多静六自身の勤勉さと社会貢献への強い意志が貫かれた、人生哲学が詰まった内容といえます。