世界共通の巨石の呪力(モアイ像/イースター島)
三つの火山を角に持つ神秘に満ちた太平洋の孤島、イースター島でモアイ像を見てきました。島で最も感動的だったのは、モアイ像の製造工場だったと言われる「Rano Raraku」です。ここには火山活動によってできた巨石があり、モアイ像がこの巨石を元に作られていた証拠となる遺跡がありました。
モアイ像の神秘の源はこの巨石にあるのだと、私は思いました。神聖な呪力を持った巨石を砕き、モアイ像として神格化した分身を作り、それを島中に点在させ、巨石の持つ神聖な呪力を拡散することで、島の一体感を演出しているように思えたのです。
世界を見渡すと、巨石と人間との触れ合い方は実に多種多様です。戦勝記念塔及び女神を祀る場所として、巨石の上に作ったギリシャのパルテノン神殿。巨石の上に神聖な怪物を作ることで、王家の偉大さを演出するエジプトのスフィンクス。巨石を人頭像にして神格化するメキシ コのオルメカ。大平原に突如現れる巨石を、手を加えずにそのまま神格化するオーストラリアのエアーズロック。
巨石との向き合い方はそれぞれですが、その根底には、忽然と現れる巨石に対する共通の感動、尊ぶ心があるように思えます。人間に迫ってくる神聖な呪力を持つ自然。それを感じる心と人間の感動は、場所や人種を問わず同じなのでしょう。
私たちの文化は、足の下、頭の上、目の前、背後に流れる、自然の中にある神聖な呪力に対する共通の感動を起点にして始まっていることを、身を持って体験しました。