見出し画像

一般質問を振り返る#07後編 ~え?利息にも交付金が出るの?他~

 前回に続き、市の財政に関する質問です。実際の議場では専門的な言葉も出ていますが、出来るだけ簡便にお伝えしたいと思っています。
※実際の会議録をご確認頂きたい方は、議会会議録システムよりご覧ください。


 前編では市長による財政状況についての答弁をまとめました。後編ではその内容をうけ再度質問をしたものをまとめます。



質問:
 借金の多くが、将来交付金で充当できることは分かった。とはいえ、その残高自体は存在しているということだと思うが、確認したい。いかがか。

総務部長:
 その通りです。(存在します)


ということは、借金である以上、いまも金利負担が発生しているはずです。借入残高そのものは大きいので、金利が高ければ利払い費も大きくなってしまいます。


質問:
 どのくらいの金利で借りているのか。

総務部長:
 令和2年度から令和4年度までの借入れでは、一番低いものが償還期間5年のもので0.002%、一番高いもので償還期間25年のもので1.1%。


 
 さすが市役所といいますか、一般的な借入金利に比べて相当安く、ある意味上手に借りることができているのではないでしょうか。間をとったとしても、ここまで低金利とは思わなかったです。
 ちなみに、昔借りた金利の高いものは随時低金利のものに借り換えているという説明もありました。

 質問当時(12月)で日本経済は金利上昇局面に差し掛かっていると取り沙汰されていました。利払い費が増えればせっかくの良好な財政に悪影響なので今後も注視してほしいと伝え、質問を続けます。

質問:
 金利により発生する利子について。
 ①さきほどの市長答弁の市債残高は、今後の利払い額は含むのか。
 ②含まない場合、現在の市債残高に対する利払い金額はいくらか。

総務部長:
 ①市債残高に利払い額は含まれていない。
 ②令和4年度決算における未償還利子残高(注:まだ返済していない利子)は約4.3億円。これに対する将来見込まれる交付税額は、おおよそ4.1億円が交付され、市の実質的な負担は2,000万円程度と見込んでいる。



・・・・・。
お分かりいただけただろうか。
ええ、私は驚きました。I was so surprised.


つまり、

  • これから払わないといけない借金の利子(利息)は4.3億円

  • でも利子分も交付金がもらえることになっている

  • 予定では4.1億円ほどと見込んでいる

  • そのため、実質的な利子負担は2,000万円の見込み

なんということでしょう。
このやりとりについて会議録を読み返してみたら、少々興奮したのか「非常に財政的に、何と言うんですか、よろしいなと私、受け止めています。」とやや情緒的な発言をしていました。今やっと自分が何を言ったか受け止めました。しかし利息分にも交付金が出るとは単純に驚きます。

質問:
 変動金利で借りているものが後に金利上昇してしまった場合、将来交付される交付金も増えるのか。

総務部長:
 元利償還で交付税算入、交付税の基礎措置とするものについては、金額に応じて交付税が来るものと考えている。(注:対象となる借入なら交付税も増える)


 
 利子にも交付金がついてくる、金利が上昇してもその分カバーしてもらえる、と。大変効果的な制度を活用できている点は評価できると思います。無論、交付金といえど税金の一部であり、どこからか湧いたものでもないのですが、ありがたいことです。

 さて、借金である市債残高について質問をしてきました。一方の積立基金残高はどんな具合か。利払いの逆で、そのお金を運用することで利息収入を得ることも理論上可能なはずです。そこで、市のお金を管理する会見管理者に質問しました。


質問:
 現在、基金は普通預金の他どのように管理されているか。

会計管理者:
 現在、普通預金、定期預金及び債券により管理運用をしている。令和5年10月末現在の積立基金及び定額運用基金の残高合計は約254億円。うち債券による運用額は約132億円で51.7%あり、内訳は、地方債が約112億円で43.9%、政府保証債が約20億円で7.8%である。
 定期預金による運用額は約83億円で32.8%、普通預金が約39億円で15.5%になる。債権と定期預金を合わせた基金全体の運用額は約215億円で運用率は84.5%となっている。

基金の8割以上を運用中


質問:
 基金の8割強は運用中とのことだが、では実際に運用成果はどのようになっているか。

会計管理者:
 現在の基金の運用状況では、令和4年度決算になりますが、運用額は延べ約335億円あり、基金運用益ですが基金利子が約6,582万円、債券の売却益が5,160万円、合計で約1億1,742万円の運用益があった。


 
 いかがでしょうか。
 
 市が蓄えた積立基金が、その大きな額面を活かして利回りが高くない定期預金などに預けておくだけでも、それなりに「稼ぐ」ことが出来ていると思います。

 もちろん、公金運用では、リスク資産(株式や外国為替など)での運用は制限されています。市のお金が株価の変動で資産価値が上下するのは好ましくないからです。

とはいえ、250億円規模で利回り1%なら年間2.5億円の利子収入です。しかも非課税。うまく活用してほしいですね。

市役所に現金であるわけじゃないです(念のため)


まとめ:

  令和5年12月の一般質問を前後編でまとめました。数字の話ばかりで退屈だったかもしれませんが、最後までお読み頂きありがとうございました。ちょっとでも参考になったよという方は是非いいねやコメント頂けたら励みになります。

 当市はかなり財政的には余裕があるほうだ、ということはご理解頂けたと思います。でも、お金があれば素晴らしい自治体なのか、住みやすいまちなのか、これはまた別の話です。

 全ての人に100%の満足を与える市民サービスが理想ですが、なかなかそうもいかないのが現実です。それでも、全然違う情報が流布されたり、誤解が誤解を招いたまま市民同士が対立するようなことは誰も望んでいないと思います。そして、市の情報を正しく伝え、誤解による誤解を紐解くのも議員の役割だと思っています。

 記事中にあるように、今の南房総市の懐事情は合併の恩恵によるところが大きいです。しかし、合併しなかった市町村より交付金が上乗せでもらえる、いわばボーナスタイムはもう終わりです。この虎の子の財産を活用しながら、次の世代へ引き渡すにふさわしいまちづくりを求めていきたいと思います。なぜならそれこそが当代暮らしている私たちにとっても良いまちになると思うからです。

みなさんはどう思いますか。

 

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?