東京に出る前の、生まれてから18歳までの話

見るフィールドワークの話の前に、少し自分のことを。

実家は、甲府の市街地の外れにある新興住宅地。高度経済成長期に丘の上の桑畑を開拓して作られた小さな町で、いまでは空き家が目立つ寂れた住宅地。その丘の下には古い民家と田んぼが並ぶ集落があって、三世代で暮らす家庭がたくさんあるような、絵に描いた田舎があった。

幼い頃、自分が住む近所の新興住宅地に漂うよそよそしさと、丘の下に住む人たちとの違いをよく感じていた。丘の下の人は、先祖代々の関わりが強く(例えば同じ苗字の家ばかりあったり)、家と、家じゃない場所の境界があいまいな土地が拡がっていたのに対して、丘の上の新興住宅地では当たり前だけど区画が整備されていて、ほとんどが核家族。近所の交流はないに等しかった。

小学校低学年の頃、友達と一緒に近所の雑木林に探検に行ったことがある。子供の探検らしく桑の木の枝を振り回しながら、林の奥へ奥へと突き進んでいったんだけど、突然、ポンと住宅地の裏に出てしまった。その時のなんとも言えない拍子抜けした感覚が、今でも体感として残っている。これ、実家付近の新興住宅地の環境を象徴するような体験だったような気がしている。

探検した雑木林も幼い自分にとっては大自然だったけど、実はつい十数年前に作られた造成林だった、というのも、このなんとも言えないハリボテ感に拍車をかけていた気がする。

こういう体験が、のちのち自分の価値観形成に強く影響してくるんだけど、18歳くらいの時分では大したことを感じるわけでもなかったな、と。

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あと何回か、これまでの自分のことについて書いていくつもり。

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