30の歳を重ねる間に、世界は変わった。
2022年11月30日に30歳になった。時が経つのは早い。
30代の抱負を短く綴るポエムにしようと思ったが、そのためには世界が如何に変わったかを、簡単にでも言葉にする必要があると気づいた。そのため、デモグラフィー、経済、政治、気候変動の観点から自身の問題意識を表現することにした。
想定読者は「未来の自分」という自己満足記事だが、どなたかの目に留まり、役に立つことがあれば幸いである。
*数値と画像は注釈がない限り、全てhttps://datacommons.org/からの引用
デモグラフィー編 〜人口は増え続けている〜
世界人口は1.5倍になり、平均寿命はおよそ7年伸びた。人口は21世紀後半には減少に転ずるという予測もあるが、まだまだ人は増え続けると思われる。
世界人口
1992年に54.5億人だった世界人口は、2022年には80億人になった。
私が小学生の頃は60億人と習った記憶がある。
平均寿命
1992年に65.8歳だった平均寿命は、2022年には72.7歳になった。
MDGsの成果が大きいだろう。国連という機能、人類社会はまだまだ捨てたものではない。
経済編 〜デジタル世界の誕生〜
GDPは約4倍になった。インターネットが爆発的に普及しユーザ数は約50億人になると共に、基盤の発展によりAIの社会実装が進んでいる。
世界経済(GDP)
1992年に25.41兆ドルだった世界のGDPは、2022年には少なくとも96.1兆ドル以上になった。日本円換算すると現在レートで約1.3京円。成長の恩恵は平等ではなく、格差は拡大しつつある。
インターネットユーザ
1992年に世界人口の0.125%に過ぎなかったインターネット利用率は、今では59.9%を超える。世界の数十億人のポケットに高性能コンピュータがある今は、30年前に想像もできない時代だ。
AIの社会実装
30年前、立法手続きにおけるAIへの言及はゼロに近かったが、現在は右肩上がりだ。EUの人工知能法をはじめとして、実際に発生した/今後予期されるAIの負の影響を念頭に法整備が急速に進んでいる。
政治編 〜米国一強から多極化、そして新冷戦へ〜
旧ソ連構成国家がヨーロッパで全面戦争に突入し塹壕戦を繰り広げるというフィクションのようなことが起こる裏で、米中新冷戦が進展している。
ソビエト連邦の崩壊→ロシア・ウクライナ戦争(2022年〜)
1992年はソビエト連邦崩壊の翌年だった。30年の時を経て、同じソビエト連邦に属した(と言ってもかなり複雑な歴史があるが)ロシアとウクライナが全面戦争に陥った。
冷戦の終結(1991年) → 米中新冷戦(現在)
1991年に冷戦が終結してからは、パックスアメリカーナの時代であった。
30年が経過し、当時米国とは肩を並べるべくもなかった中国が、新冷戦の主役となり、妥協点を探りつつも、貿易、価値観、軍事などあらゆる領域で対立が先鋭化している。
気候変動編 〜気温の上昇と激甚災害の増加〜
地球の気候変動サイクルを超えた人為的な影響が顕在化し、国土の10%以上が水没するなどの激甚災害が増えた。
気温
30年前から平均気温が上がり続けている。「最近の夏は暑いな」は気のせいではなく、気候変動の結果なのだ。
激甚災害
2022年、パキスタンで大規模な洪水が発生し国土の10%以上が水没、3300万人が影響を受けた。パキスタンの温室効果ガス排出量は少なく、他国の温室効果ガス排出のツケをパキスタン国民が払った形になる。
今から30年後に世界はどうなるのか
ここに取り上げたのは世界の変化のほんの一部だ。もし、過去30年のような変化が今後30年にも起こる、あるいは加速するのであれば、きっと次のような問題が生まれるだろう。
人口
世界人口は100億人を突破する。食糧問題や水不足といった人間の生存に関わる分野での問題が大きくなり、複雑化したサプライチェーンの被害を受ける社会的弱者が一層増える。
経済
経済は成長を続けるが、格差が増大する。デジタル化・機械化の進展により、ホワイトカラーに従事する中産階級が著しく没落する。政治的・社会的分断が加速、ナショナリズムやポピュリズム、排外主義がより一層深まる。
デジタル化の側面
デジタル化が社会制度を根本から変える。リアルとデジタルの不安定な結合は様々な問題を引き起こし、人格・価値観のデータ化とデータ活用は、基本的人権の概念を拡張する。
政治
世界の政治的分断は深まる。民主主義か権威主義かという単純な対立軸ではなく、気候変動、民族・人種観、植民地主義の影響、地政学などの要素が複雑に絡み合い、カオスの様相が先鋭化する。地域紛争や経済対立が頻発するようになり、多くの民衆が負の影響を受ける。
気候変動
人類はより苛烈な気温変化、激甚災害に見舞われることになる。地球全体が激しい影響を受け、パキスタン洪水のような災害が毎年、毎月発生するようになる。このような場合、さまざまなファクターから経済・政治は極度に不安定化する。
私は何を成すか
今は人類の分岐点だ。分岐点は歴史上いくつもあったのだが、今回の分岐点は大きく、方向を間違えれば人類社会は崩壊する。
ただ、悲観的になる必要はないと思う。今、一人一人が正しい努力をすれば、人類はきっと良い未来を創れるからだ。だからこそ私も人類の問題解決に今後30年の人生を使おうと思う。
直近の5年で私が取り組むのは、世界のデジタル化に伴なう諸問題の解決だ。大雑把にまとめると、リアル-デジタルが融合した社会に対応したリスクコントロールの社会基盤がないと人類は立ち行かなくなる。だから、この社会基盤を作ろうというのが私が取り組む内容である。
また、こちらも大雑把なまとめだが、デジタル時代の人間規範も必要になってくる。EUのGDPRや人工知能法のような規範の検討と社会実装にも貢献していきたい。
「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」
立ち向かう問題は巨大であるし、足元の生活に対する不安も大きい。しかし、不安以上に期待感も大きいのだ。たくさん失敗するし、経済的に追い詰められることも、仲間と衝突することもあると思う。そういうこともひっくるめて「今の社会があるのは、あの時の私たちの努力があったからこそだ」と30年後に胸を張って言える30代を過ごしたいと思う。
まとまりがない文章で、最後はポエムになってしまったが、以上!
頑張れ自分!