高橋幸宏とギリシャ(肉体の寿命と情報の寿命について)
高橋幸宏さんが亡くなられたニュースをTwitterで知った。どうやら数年前から闘病されていたようだが、僕はそんなことは知らずにずっとお元気だと思っていたので、突然の訃報でショックだった。
僕は世代的に高橋さんが若い頃の作品はよく知らないが、2006年にリリースされた「Where Are You Heading To?」という曲がすごく好きだった。それでギリシャ旅行の際にiPodに入れて持っていったんだけど、これがエーゲ海の風景とすごくマッチして最高だった。
なので、高橋さんとギリシャはまったく関係ないが、僕の中では強くシンクロしてしまう。あの曲を聞くたびに、エーゲ海のきれいな青や、強い日差し、乾いた心地いい風が蘇ってくる。
そんなことを考えながら、Twitterを眺めていると、出るわ出るわ、同じような思い出話が。みんなそれぞれ、高橋さんの音楽をフックに、いろんな思い出のストーリーを語る。
作品という一つの情報は、伝わった人間の別の情報とつながり合い、新たなストーリーとなって広がっていく。作り手の肉体が滅んだとしても、情報は肉体よりも圧倒的に長く、強度によっては世紀をまたいで生き続けることになる。
それは高橋さんのような著名な音楽家に限らず、「作品」と呼ばれるものにも限らない。自分が発した言葉ひとつ、ネットに書き込んだテキストひとつ、発信したものはすべて、世界に影響を与え、広がり、残っていく。
僕にとっての高橋さんとギリシャのように、ポジティブな情報となって残ればサイコーだなと思いつつ、逆にネガティブに残ってしまう危険性もあることを心に念じて、発信には気をつけないといけない。
ギリシャはホントに楽園のようなところだったので、また高橋さんの曲をエーゲ海を眺めながら聴きたい。高橋さんは作品という情報として、まだまだ生き続けるだろう。エーゲ海の風景とともに。
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