KAWS氏の作品と現代アートと技術と(KAWS TOKYO FIRST展を見に行ってきた)
8月19日(木)晴れ
せっかく東京に来ているので、森美術館で行われている「KAWS TOKYO FIRST」展を見に行った。
僕はアート活動をしているけれども、マンガで育ち、イラストに影響を受け、グラフィックデザインで働いてきた人間ゆえ、いわゆる美術的な表現よりも、KAWS氏のようなキャラや色使い、商業的なテイストのほうが好きだ。
初めてKAWS氏の実物の作品を見て、強く感じたのは、彼の技術の高さだった。どこまで彼がやっているのかは知らないけれども、作品の平塗りの技術のレベルには正直舌を巻いた。ストリート的であえてチープな表現形態をとりながらも、作品に力があるのは、KAWS氏の実直で几帳面な職人技があるからなのだなと実感した次第。
アンディ・ウォーホール以降、商業的なものがアートとなり、最近は大英博物館で日本のマンガがそのままアートとして展示されたり、現代アートというジャンルは、地球上の様々な表現を飲み込みながら肥大し続けている。
最近はクリプトアートも流行り始め、デジタル的なものから、ユーチューバー的な動画文化、さらには、まったく作品と見なされていないようなものまで、いずれアートの文脈で解釈されるようになるだろう。現代アートは、本人または第三者が表現だと思えば何でもありなのだ。なのでこれからは、アートを作るなどという意識を捨て、ひたすら自分が好きなものにフォーカスする行為こそが大切なのではないかと思ったりしている。
しかしそんな中でもやはり作品を土台で支えるのは技術であり、作品の力というのは技術なのだなとKAWS氏の作品を見ながら思った。もしKAWS展に見に行く人がいたら、ぜひ作品の細部を見てみてほしい。ポップでド派手な雰囲気とはまた別の、KAWS氏の真面目な職人肌を感じることができるだろう。