絵のド素人が、半年間のイラスト練習で得た3つの学び
自分はここ2~3年、朝活として本業以外の分野を学んでまして、今年は1月からほぼ毎日イラスト練習をしています。
「今まで真面目に絵の練習をしたこともなく、かろうじて描けるのは、アンパンマンとドラえもんぐらい…(しかも顔だけ)」
という、イラストスキル底辺の人間が、半年間のイラスト練習を通じて得た学びをまとめてみます。
イラストや創作に興味がある人にとって、参考になる何かが残せれば嬉しいです。
練習の成果
半年前と現在のイラストがこちらです。
Before(2022年1月)
Beforeは、「そもそも自分は絵なんて描けないしなぁ」という諦めの下で、現状のレベルを残すためだけに無理やり描きました。
After(2022年6月)
Afterは、ここ数日で描いたものです。
まだ未熟な部分が多々ありますし、時間はかかりますが、少なくともBeforeの頃よりはそこそこ上達したのかなと思います。
イラスト練習による大きな学び3選
当初は、ここで「効果的だった練習方法やコツ」を書こうかなと思っていました。
でも書いているうちに、興味を持ってもらえるか微妙な気がしてきたので、とりあえずこのnoteでは、自分にとって「大きな学びになった」と感じた内容を3つまとめてみます。
学び① 線は一発で描かなくていい
元々、「絵が上手い人」って、サラサラ〜っと一発で綺麗な線を描いているイメージがあって、個人的にはそのハードルが「イラストは難しい」という感覚に繋がっていました。
でも別に、上手く描けなかったら、納得がいくまで描き直せばいいし、プロだってそうしてるんですよね。これは、当たり前のようで、意外とインパクトのある学びでした。
特にそれを感じたのは、『葬送のフリーレン』の作者が表紙を描く工程を見たときです。
想像以上に何度も描き直したり、描いた線を移動したりされています。プロでもこうして何度も修正しているのか…!と。
きっとデジタル化が進んだことで、「一発で描けること」の重要性は大きく変化したと思います。
紙とペンの時代は、1度描いた線は、消すのにひと苦労でした。でもデジタルならタップ1つで元に戻せますし、線を移動するのも簡単です。
それなら、「綺麗な線を描けるようにならなきゃ…」と焦りながら描くよりも、「失敗してもいい。満足がいくまで描き直せば、必ず良い絵になる!」という気持ちで描いた方が、より楽しく、のびのびと描けるはず。
「アフリカの、とある部族が雨乞いをすると100%雨が降る。なぜなら、雨が降るまで雨乞いを続けるからだ」という話と似てるかもしれません。
学び② 資料を見ながら描いていい
これも似た話なのですが、「絵が上手い人」は、何も見ずにイメージしたものをスラスラと描く印象がありました。
でも実際は、プロでも普通に資料を参考にして描くんですよね。いろんなイラストに関する本や動画を見て、それに改めて気付かされました。
それもそのはずで、少なくとも現実に存在する物や空間は、人の想像よりも、実物が持つ情報量の方が多いので、資料を参考にしながら描いた方がリアリティが出ます。
だから初心者は尚更、資料を存分に活用しながら、描きたいものを描けばいい。これも当たり前のようで、自分の絵描きに対する感覚とズレていた気づきでした。
そして、資料を見ながら何度も描き続けることで、「正しい形」や「美しい描き方」を体が覚えて、スピーディに引き出せるようになっていくのも実際感じています。
そういう意味では、「資料を見ないと、逆に上達が遅くなる」とも言えそうです。
学び③ センスで描く必要はない
3つの中でも、これが一番面白い学びでした。
「アート」とか「美術」という言葉を聞くと、なんかこう、センスのある人だけが踏み込んでいい領域といった雰囲気を感じがちです。
でも、絵画について調べていると、大衆を魅了するイラストには、それなりの理由があり、ロジックで説明できる部分もたくさんあることに気付かされました。
例えば、いろんな本やYoutubeで紹介されているような、「明暗差を作る・彩度を変える・書き込み密度を変える・視線誘導する」などのテクニックもそうです。
ちなみに、上のフリーレンのイラストは、そんなテクニックの1つである「黄金比」と呼ばれる構図を少しイメージして描いてみました。
もちろん、言語化できないような感覚的な部分も、見る人の心を揺さぶります。ロジックで説明できるような技法だけが全てではありません。
ただ、名画と呼ばれる作品のほとんどは、(意図されているかどうかはさておき、)そのようなテクニックがたくさん使われているようです。この本が大変参考になりました。
「そんな小手先のテクニックばかり使っていたら、みんな同じ絵になるじゃん」とか、「そんなのアートと呼べないでしょ」という感覚もわかります。
でもその点については、芸術における知覚構造を分析した心理学者、ルドルフアルンハイムのこの言葉が、とても的を得ているように感じました。
一見、感情とは無縁そうな「テクニック」にも、その使い方に作者の思いや意味が込められている。
ロジカルな領域を突き詰めた先に、センスの領域が浮き出てくる、とも言えるかもしれません。奥が深いです。
すべての創作者に通ずる話
…ということで、半年間イラストを練習している中で、特に面白いと思った学びを3つ挙げてみました。
改めて眺めてみると、これらはイラストだけに通じる話ではないように感じます。
資料やお手本を参考に、修正・改善を繰り返し、効果的なテクニックを学び試しながら、少しずつ上達していく。これはすべての創作活動、というか人間活動で必要となる考え方に思えます。
ことイラストに関しては、「アート」という先行イメージによる思い込みが入りやすい分野なので、それに惑わされない創作者が増えたらいいなと思い、このnoteを書いてみました。何か参考になるものがあったら嬉しいです。
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