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「ルールが破られる」というチャンス

今日は、日頃の生活で感じた、「ルールが破られること」はチャンスでもある、という話を書きます。

「ルール」を破る人はマナー違反の悪い奴だ…という普通な捉え方をしていると、損しちゃいそうだなと。

人はルールを守る生き物

基本的に、人はルールを守ります。それを破ったら懲罰が与えられるわけではなくても、大抵は破らないように気をつけます。人類はそうして繁栄してきたとも言えるので、それは自然なことかもしれません。

先日見たネット記事で、こんなものがありました。

とある新幹線のホームを見回る駅員たちが、ある悩みを持っていたといいます。それは、「お見送りの人は、車両に近づきがちで危険だ。でも厳しく注意して、別れに水を差すのも気が引ける」というもの。

そこで対策として、車両から適度に離れた位置の床に「お見送りエリア」と明記したところ、皆そこでお見送りしてくれるようになった、というお話。

簡易的に作られた、初めて見るようなルールであっても、皆しっかり守ってくれたわけです。人の賢さと優しさが詰まった、素敵なお話です。

ルールを破るのにも、理由がある

でも、全てのルールが守られるわけではありません。例えば、僕が毎朝通勤で使う駅のホームは、 電車を待つ人が並ぶためのラインが引いてあります。このラインが「3列」になっているんです。

にもかかわらず、その駅が始発となる早朝の時間帯は、多くの人がそのラインを踏みつけて「2列」で並んでいるのをよく見かけます。まさに「ルールを守っていない」状態。それも特定の人だけでは全くない。

これだけ見ると「いやいや、ルール守った方がいいんじゃないの?」という気になります。でも、それだけ守らない人がいるということは、何かあるはず。そして実際に並んでみると、その理由がわかります。

というのも、電車のドアが、3人が同時に入るには狭すぎるんです。だから3列に並ぶと、電車に乗るときに肩がぶつかる上に、並んだ順に入れない。

人は一般的に端から順に並びます。そのため、先に入れるのは後から来た、真ん中の人になってしまいます。

これは「先に並んだ人が、先に入る(座る場所を決める)権利を持つべき」という一般的な感覚に沿いません。その結果、ただ電車に乗るだけで、乗客同士で軽いイザコザが起きているのも見たことがあります。

じゃあ、最初の人が真ん中に並べばいいのでは?とも思いますが、「最初に真ん中に並ぶ」って、やってみるとすごく気持ち悪いんです。心理学的に人は端の方が安心すると言われます。そして、たとえ最初に真ん中に並んだとしても、左右の人とぶつかるストレスは避けられません。

だから皆、ここで考えるわけです。

そもそも、ラインが2列ではなく3列なのは、混雑時に行列が長くなるのを防ぐためのはず。でも、人数が少ない早朝の時間帯は、2列に並んでも長くはならない。それなら2列に並んだ方が、並んだ順に乗れるし、他人との間隔も広くなって皆ハッピーなのでは?

と。改めて言葉にすると、まどろっこしいんですが、僕も無意識にこう感じていたので多くの人が感じているはず。そしてこれが、ルールを破ることに繋がったんだと、僕は思います。

つまり、自分勝手な人だけがルールを破るわけではなく、自分以外のことも考えて総合的に判断した結果、ルールが破られることもある。

この場合は、「早朝だけ2列で並ぶ」なんてルールは複雑で受け入れられにくいので、例えば3列ではなく2列ごとに左右に分ければ、並んだ順に乗れてストレスも少なく納得感もあります。普通にそうしている駅が多いのは、そんな理由がありそう。

部活をサボる人は、部活の練習メニューに不満がある

世界的名著『ドラッカーのマネジメント』を元に書かれた、野球部のマネジメントがテーマの『もしドラ』という本がありますが、その中にも、少し重なるような内容がありました。

部活をサボる人を見ると、「やる気がない」などと捉える人が多いと思います。でも、この本では「部活をサボる人は、練習メニューの改善を望んでいる」と捉えるべき、といった内容が述べられています。

確かに、「練習メニューさえ面白ければ参加するのに」という人がいたら、それはマネジメントで解決できる問題であり、チームとしては伸びしろになります。

もちろんやる気がないだけの人もいるとは思いますが、サボる人たちを全て切り捨てていたら、改善できるチャンスを逃しているとも言えます。部活はルールとは少し違うかもしれませんが、似たような話です。

ルールが破られたら、理由を探してみる

ということで、ルールを破られたら、改善すべき何かがあるかもしれない、ということを頭の片隅に置いておくと、いずれ役に立つときが来るかもしれません。

電車の待ち行列の例も、仮にストレスなく並ぶことができる別の路線が近くにあったら、お客さんはそちらを選びます。ビジネス的に見れば重要なポイントです。

何も考えず「3列に並んでください」と誰かが決めたルールを主張するだけなら誰でも、ロボットでもできます。

最近はリモートワークばかりで過ごしやすくなりましたが、早朝からバスに並ぶ人たちを見て、そんなことを考えていました。

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