M-1グランプリで優勝した「あばれる君」の話
今年もM-1グランプリの季節です。
M-1といえば、去年優勝した「錦鯉」。
「こーんにーちはーっ!!」ていう人いるじゃないですか。
うちの3歳の娘が、その錦鯉の長谷川さんに注目してて。
彼をテレビで観る度に、喜ぶんです。
そして叫ぶんです。大きな声で。
「あばれる君だぁぁーーーっ!!」って。
確かに娘は、あばれる君が大好きで。
どこで知ったのかは知らないけど。
でも長谷川さんは、あばれる君ではない。
どこ見て判断してんのよ?っていう。
あばれる君って、この人よ。
長谷川さんはこっち。
似てるの、毛の無さだけでしょ。
年齢、服装、雰囲気、全てが違う。
この人が「あばれる君」なら、ブルース・ウィリスも「あばれる君」よ。
でも何事も、勘違いしたまま生きるのは良くない。
だから親としては、ちゃんと訂正するわけですよ。
「この人は、あばれる君じゃないよ。長谷川さんだよ」
まさか人生で、こんな訂正をする日が来るとは。
そしたら、意外にもしっかり聞いてくれるんです。
「そうなの?」って。
さすが俺の子だ、と。思うわけです。
吸収力がハンパない。
で、翌日またテレビで長谷川さんが映ってて。
まぁ娘を観察しますよね。
お前の学習能力を見せてくれ…!と思いながら。
そしたら、叫ぶんです。でっかい声で。
「あばれる君だぁぁーーーっ!!」
なんでよ。違うのよ。
その人は暴れないのよ。
その年齢にしては暴れてる方かもしんないけど、暴れないのよ。
どっちかと言えばブルース・ウィリスの方が暴れてるのよ。
とはいえ、やっぱり親としては放っておけない。
長谷川さんを、あばれる君だと勘違いしてたら、人生のどこかで困る日が来るかもしれない。
だから、もう一度、しっかり教えなきゃいけない。
「この人は、あばれる君じゃないよ。長谷川さんだよ」
もう2回目だから、スラスラ言えますよ。
そしたら、しっかり聞いてくれるんです。
「そうなの?」って。
さすが俺の子だ、と。
2度めの指摘も、素直に受け止める心の広さ。
そしたら、そのやりとりを隣で聞いてた8歳の娘が補足するんです。
「これは、ニセモノのあばれる君だよ」って。
なんだよ、偽物のあばれる君って。
長谷川さんは、あばれる君のモノマネでM-1優勝したんじゃないんだよ。
いらん情報を足すなと。
しかも、さらに追加情報を加えてきやがるんです。
「ニセモノのあばれる君だから、ニセバレ君だね」
そしたら3歳娘はまた言うんです。
「そうなの?」って。
そうじゃない。
長谷川さんはニセバレ君じゃない。
そんな風に呼ばれるために、M-1穫ったんじゃない。
ていうか「バレ」って何だ。「あばれる」の真ん中を抜き出すな。
でも、翌日もまた長谷川さんを見つけて叫んでました。
「あばれる君だぁぁーーーっ!!」
もう無理。
己の信念を曲げない、一貫した姿勢。
さすが俺の子だ、と。
そうして彼女は、今に至るまで、長谷川さんのことを「あばれる君」と呼んでいます。
まぁ、もういいんです。
似たようなもんだし。
どっちもそこそこ暴れてるおじさんだし、間違ってるわけじゃない。
訂正するのは諦めました。
でも、つい先日、TSUTAYAに行きまして。
3歳の娘も行きたいって言うから、一緒に。
漫画を借りたかったんですよね。
Dr. STONEの最後の3巻分を。
3巻分だけは、無料アプリで読めなくて。
そしたらお店に着くなり、娘はすぐ走ってどっか行っちゃう。
でも迷子になるほどの広さでもないので、僕は1人でDr. STONEを探してて。
そしたら、叫び声がするんです。
でっかい声で。
「あばれる君だぁぁーーーっ!!」
え?ウソ?TSUTAYAに?
お笑いのDVDエリアでも行ったのだろうか。
てか、あばれる君ってDVDとか出してんの?
もしくは、M-1のDVDに長谷川さんが写ってたんだろうか。
娘を見つけて近寄ると、嬉しそうに報告してくるんです。
「見て見て!あばれる君だよ!」
予想は、全て外れていました。
そのとき、娘が指さしていたのは…
ONE PUNCH-MAN
彼も、あばれる君なの…?
あばれる君の認定範囲広すぎでしょ。
いやまぁ確かに、今までで一番暴れてるけどさ…
とはいえ、やはり親として、訂正しないといけない。
ひと筋の希望を込めて。
「この人は、あばれる君じゃないよ。ONE PUNCH-MANだよ」
すると、これまでは何でも「そうなの?」と受け入れてくれてた娘の答えが、一変しました。
「アンパンマンじゃないよ!あばれる君だよ!」
激怒されました。
ツタヤの漫画コーナーで。
間違いだと思ったことは、キッパリ否定する。
さすが俺の子だ、と。
アンパンマンではないけど、あばれる君でもないんだよ。もういいや。
ていうか、頭だけ見ればアンパンマンもあばれる君じゃないか…。
きっと僕も、将来ハゲたら、「あばれる君」と呼ばれるのだと思います。
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