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今後の方針(3) - 気付き:判例の知識とは何か

2023年4月、7月に書いた記事の続きになります。

. 今後の方針(1) - 概論的な解説・判例の理解、基本書(司法試験)
. 今後の方針(2) - 条文数が少ない科目に対応する(司法試験)

書いた当時、それまでしてきた学習に基づいて考えたことなので、今になってみると賛成できることもできないことも混在しておりますが、総じて、ずいぶん遠くまで来たなあ、だいぶ違うことを考えるようになっているなあというのが、正直な感想です。

以前書いた記事を再考しつつ、今のところ立てている、今後の方針を書いてみたいと思います。


まず、上記2記事を書いたときと今の大きな違いに、以下の点があります。

  1. 「条文数が少ない科目に対応する」という目的で、試験対策講座のテキストから離れ、市販の学者先生の書いた「基本書」3冊(木下智史、伊藤建著『基本憲法』(日本評論社)中原茂樹著『基本行政法』(日本評論社)山口厚著『刑法』(有斐閣))をノートを取りながら精読したこと。

  2. 宅建、行政書士の試験を受けたこと

宅建、行政書士の試験については、2022年末に司法試験の学習を始める前に、令和4年度司法試験の短答過去問を検討した頃と異なり、試験対策講座で民法4冊、会社法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、基本書で憲法、刑法、行政法と、十分各科目の内容を概観した上で受けたこともあり、気付かされたことがたくさんありました。

気付いたことのうちでとりわけ印象深かったのは、試験勉強を始める前は捉えどころがないように思えた、「判例の知識」です。

行政書士の行政法については、過去8年分の選択式問題を肢別にすべて検討してみた上で、問題を解くために必要な判例の知識をどうやって身に付けるかということに、目処を付けることができました。

つまり、解説に書かれた判例の年月日で読んだ本を全文検索して該当箇所の前後を読んでみると、その判例が、【その該当箇所の前後の文脈において】、なぜ大事なのか、どこが重要なのか、どういったことと区別して理解する必要があるのか、といったことが非常にはっきりと見えてきます。そして、これは、過去問の問題集の解説を読むだけでは「全く」わかりません。また、僕の場合、漫然と判例集を読むだけでも、気づくことができません。

テキストの前後の文脈で、何が、どう扱われていて、何と比較されているかということを含めて初めて見えてくるものです。

この点については、試験対策講座を読んでいるときには気付かなかったのですが、それは読んだのが電子書籍でなく紙の本だったために、判例の年月日でテキスト本文を実際検索してみるという労を取らなかったことが原因かもしれません。ですが、それを措いても、こういった形で「判例の意味」を読み解くには、大学の研究者が書いた体系書の方がやりやすいのではないかと思っています。

試験対策講座は、試験に出ること、出たことの全てに漏れなく触れようと言わんばかりのものすごい分量を、大変な熱量を以て書かれた本ですが、それだけに、分量は少なくても、一人の著者が記述した体系書にあるような統一感、簡潔性に欠ける気がします。


以上のことを踏まえて、今後の方針を立ててみました。

  1. 論文問題を解くために必要な法律知識として、司法試験短答試験の肢別過去問集で取り上げられた条文知識、判例知識を身に付けるよう試みる。

  2. 条文知識については、必ず六法の条文に当たり、問題で問われた前後でも大事そうなところを含めて精読する。

  3. 判例知識については、電子書籍で購入した基本書の全文検索を利用して、その本で取り上げられている限りでの判例の意味を読み取るよう試みる。判例がない場合は、似たトピックが取り上げられている箇所を解説文中にあるキーワードで検索して理解するように試みる。

  4. 過去問学習の拠り所にするテキストとして、試験対策講座では読んだけど、電子書籍ではまだ読んでいない民法、民事訴訟法、会社法、刑事訴訟法のテキストを、問題演習に入る前に読んでおく。

さて、一つ問題があります。

それは、会社法、民法の司法試験短答の過去問は、もとの法律に分量があるためか、主に問われているのが条文知識であるところです。

究極的には論文問題を解くための知識を身に付ける必要がある以上、こういった条文知識を主に問われる科目は、上記の方法では十分に対応できない可能性があります。

この点は、論文試験の過去問の解説で参照されている判例について、テキストの記述を確認するというプロセスが必要になるかもしれません。

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