The Man Who Built The Moon

彼女はそこにいた。

髪にはダイアモンドを飾り、

彼女は歌っていた。

誰も知らない、ずっと昔の歌を。

一方で

僕はここにいる。

権力者とともに。

自分でも、全く場違いだと思うよ。

君は名刺録に収まって

何も気にしていないような素振りをする。

そうやって

僕らは身を潜めていた。

行くあてもない。

どの道を辿ろうとも

行き着く先は

同じなんだから。











僕らは、その町を離れるべきじゃなかったのに。

すべてが始まった、その町を。

今や僕らは

終わりの見えない競争社会に

飲み込まれたんだ。

成功から目を逸らさないことだね。

すべてを

手に入れたいのなら。











君と僕

蜘蛛と蝿

また会おう。

影の落ちる

その場所で。

彼をもてなせ。

月を創った、その男を。

彼は辿り着いた。

疲れ果てた馬に跨って。

君がこの町を離れてからというもの

物音ひとつ立つことはなかった。

誰一人として言葉を発することはなかった。

当然だ。

彼は取り繕うことなく

思いを表に出していたはず。

…僕にはわかるよ。

真っ黒な石でできた心。

僕は言った。

…十分だよ。

もう僕は、帰り道を探さないと。

僕らは、その町を離れるべきじゃなかった。

すべてが始まった、その町を。

今や僕らは

終わりの無い競争社会に

飲み込まれた。

ご褒美から目を逸らさないことだね。

すべてを

手に入れたいのなら。

君と僕

蜘蛛と蝿

また会おう。

影の落ちる

その場所で。