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天才太田の子育て道(6)サンタモニカカレッジへの留学準備〜偏差値40の息子2人が、世界大学ランキング6位のUCバークレーに合格するまで〜
2018年の4月。
長男は高校を卒業し、「留学する」とは言ったものの
ほとんど選択肢がないからそうする、という状態でした。
英語はほとんどできないし、準備もしていない。
コミカレに行っても続けていけるかもわからないし、大学への編入もできるかもわからない。できたとしてもそんなにいい大学に行けるとも思えませんでした。
長男は「アメリカで皆と違うキャリアを目指す!」なんてキャラの人でもありません。
仮に向こうで頑張れたとしても、コミカレの成績が悪ければ行ける大学は限られます。
万一の事態に備え、慶應義塾大学の通信教育課程にも同時に行ってはどうかと話してみました。
保険をかけて?まずは慶應大学の通信課程へ
通信だから通学は夏に1週間ほど。残りの日々は教科書を読んでエッセイをまとめて提出すれば単位が取れる。
しかも入学試験は作文を3つ書くだけで大体合格。
アメリカのコミカレに行ったあとも、同じ教科を取れば、日本語の教科書もあるから並行読みして学べる。
しかも卒業をすれば「慶應卒」になれる。就職サイトのリクナビにも「通信課程」と登録する欄はないから不利なことはない(笑)。
またコミカレに行って普通の成績に終わり、日本では名が知られていないアメリカの大学に行ったとしても、「慶應の通信課程と、アメリカの大学を卒業している」ことになれば、それはそれでいいのかもとも思いました。
通信課程は学費も安く、1年目は13万円で2年目から10万円(当時の金額で、今はもう少しだけ高いみたいです)。
在籍は最長12年許されるので、毎年10万円ずつ払えればどこかでダメになっても残りの期間で卒業単位を取ればいいし、12年間払ったとしても学費は計123万円。日本の私立大の1年分ほどの金額です。
通信課程の成績がよければ、昼間の学部にも転部できるようで、場合によってはそっちの方向を目指すことも可能。
「何かあったら日本に戻って慶應」と考えれば、少しは気も楽になる。
また通信という仕組みをうまく使って、世界中を旅行したり、働いたりしながら学べたら、日本の就活の「ガクチカ(学生時代に力をいれてがんばったこと)」の内容も充実する。
福沢諭吉先生や卒業生の皆さまには大変失礼な話ですが、「慶應の通信でオサエをキープ」ということで長男と話してみました。
私のプレゼンが良かったのか、「受けてみる!」と。
素直でいい人です。
高校卒業後の4月中旬まで願書受付をしていたので、課題の作文を3つ提出して、見事合格!
晴れて慶應義塾大学経済学部通信課程に入学することになりました。
これで一応、履歴書には「慶應義塾大学卒業」と書ける(笑)。
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ちなみに入試の作文は3つ(以下は慶応大通信課程の募集要項から引用 2025年2月時点)
①志望した学部・類で何を学ぼうとしているのか、①過去の学習経験、②将来の展望、のいずれにも触れながら、具体的に述べなさい。(720字以内)
②自分の学びたい学問領域に関わる書籍を一冊選び、概要を簡単にまとめた上で、自身の視点から詳しく論評しなさい。(720 字以内)
※著者名、本のタイトル、出版社名も入力してください。
③なぜ慶應義塾大学の通信教育課程を選んだのか述べなさい。(150字以内)
文学部、法学部、経済学部の3学部があり、作文課題は全て同じです。
4月29日には、慶応の通信課程の入学式もあったので、「せっかくだから行ったら?」と話すと「行く!」と。
スーツも持っていなかったので、私のジャケットとワイシャツ、ネクタイ、靴を貸して急遽の参列でしたが、どこかに所属することができたのか、少しうれしそうでした。
入学式から帰ってきたら「芸能人の〇〇さんもいたよ!」と、話していたのが印象的でした。かわいらしい人です。
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こうして、なんとか日本での大学への入学という足固めができたので、同時並行で9月のコミカレ入学に向けた準備を本格的に進めていくことになりました。
無償で留学をサポートしてくれる、海外留学推進協会
さて、ここからは留学準備へ。
アメリカでの留学先は、リクルートの高橋くんから体験談を聞いて、事前に見学していたサンタモニカカレッジがいいと考えていました。
無理だとは思いましたがUCLAへの編入数が多く、編入に向けた情報もたくさん集まってくることに加え、カルフォルニア州内には350を超える大学があり、コミカレの後の大学選択も、他州と比べてとても多いのがその理由でした。
もちろん、サンタモニカ以外のコミカレを探す術もなかったのも理由としては大きいです(笑)。
「サンタモニカカレッジ 留学」で検索して情報を集めていたところ、見つけたのが海外留学推進協会でした。
留学支援はいろいろな形で費用がかかる支援団体も多いなか、この海外留学推進協会は無料で留学をサポートしてくれるとのこと。
なぜ無料で支援をしてもらえるのか話を聞くと、留学生をコミカレに紹介(送客)すると、 入学先のコミカレからこの協会にフィーが支払われる斡旋モデルであることがわかりました。
なので留学希望者からはお金を取らないということでした。これなら納得、安心。
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長男ととりあえずこの協会に訪問し(当時は新宿)、サンタモニカカレッジに行きたいと相談すると、入学に必要な準備を手伝ってくれました。
願書の取り寄せや、出願に必要な書類の準備、その記入方法のアドバイス、入学してからのホームステイ先の斡旋まで、担当のカウンセラーが何から何まで相談にのってくれる素敵な協会。親身に話を聞いてくれて本当に助かりました。
この協会以外にも、有料でエッセイを準備する学校や、入学しやすい4年制大学への準備学校、入学支援など、日本にはいろいろなものがありますが、結論から言えば全てこれらは不要でした。無料がいいです笑
そして前述の「海外留学推進協会」に相談しなくとも、コミカレのwebサイトに直接行けば願書もダウンロードできるし、出願も可能です。
渡航時点で英語ができなくても、コミカレの正規過程に入らずにIEP(英語強化プログラム)に入れば、「入学」はできます。
留学生ビザも発行されます。
本当に「知らないと損」だらけなことばかりでした。
コミカレ留学に必要なGPA
さて、サンタモニカカレッジへの「正規過程」入学にあたり必要なのは、GPA(高校の3年間の成績の平均)と、留学生は英語のテストのスコアです。
サンタモニカに必要なGPAは2.8でした。
「正規過程」とは、カレッジでの正式名称でいうとAcademic programです。単位が取得でき、UCなどへのトランスファー(編入)に必要な単位が取れる、いわゆる「カレッジの科目」を2年間学ぶプログラムです。
それ以外には、1つの科目を学ぶだけの入学方法などがあります。
GPAとは「Grade Point Average」の頭文字を略した言葉で、高校や大学などで一般的に使われている成績評価の指標です。
点数の算出方法は、簡単に言えば通知表の評価の平均点です。
A+=4点、A=3点、B=2点、C=1点として換算し、その平均点を算出します。日本の高校などの5段階評価では、5点満点で平均を出し、その点から1を引き、算出します。
卒業時に高校にお願いすれば、英文でGPAを算出した成績表を出してくれます。(厳密には科目の単位数なども関係し、算出方法は単純な平均でない場合もあるので各高校に問い合わせてください)
アメリカでは「すべての高校は同じレベル」という前提でGPAが評価されます。
日本では、超難関上位高校のGPA=4(オール5)と、偏差値の高くない高校のGPA=4(オール5)は意味が違ってきますが、アメリカでは高校のレベルに上下がないので、「GPAの4は、どこの高校でも同じ4」という評価になります。
そうなると日本でそんなに偏差値の高くない高校の「オール5」は、超難関校の「オール4」より高く評価されてしまうのです!
長男の高校は、そんなに偏差値の高い高校でもなく。(ラッキー1)
また学内にはレベル別に、上からS特クラス、特別クラス、一般クラスと3つのクラスがあり、長男が在籍していたのは真ん中のレベルのクラスでした。(ラッキー2)
計算すると、偶然GPAが2.8以上。本当にラッキーでした。
中途半端に日本の大学の難関を狙ってS特クラスにいたら、こんなGPAにはなりませんでした。(入れなかったけれど笑)
この経験があったので、次男の時は高校で一番下の一般クラスに行くようにとアドバイスをして(笑)、GPAは楽々クリアしていました。
これから目指す方は、高1の段階でも、高2の段階でも一度計算しておくことをお勧めします。あとは、海外に行くなら「よいGPAが取れる環境にいる」ことをおススメしておきます笑
コミカレ留学に必要な英語力と英語の試験
英語はカレッジが求めているテストのどれかを受けて、一定水準をクリアしておく必要がありました。(とwebサイトに書いてあるように見えました笑)
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後で知ったのですが、英語ができなければ、IEP(英語強化プログラム)に入ることを希望すれば、入学を許可してもらえるので、実は入学手続きに英語の試験のスコアは必要ありませんでした……
英語ができれば、もちろんそれに越したことはありませんが。
英語のテストが必要だ!と当時は思っていたので、
webサイトに掲載されているテストを確認したところ、
TOEFL、TOEIC、iTEPなど複数あることがわかりました。
※現在の入学条件に付いては詳細を随時お調べください。
長男は何の英語試験対策もしてこなかったので、このタイミングでTOEFLやTOEICなどを受験したとしても、基準をクリアできそうにありませんでした。
仮にTOEFL対策などをしても、半年程の出願期間では必要な点を出すことも難しそうな感じでした。。。
どうしたものかと改めて入学条件の「必要な英語試験」を見返したところ【iTEP(アイテップ)】という英語テストの文字が目に飛び込んできました。
「iTEPってなんだろう? 聞いたことない」と私がつぶやいていると
すると長男が、「え? 俺、iTEP受けた気がする……」と。
「え!?!?なんで? 何それ? いつ?」と私。
この少し前に、海外留学推進協会からの「こんなのがあるよ」と紹介があり、アリゾナ州立大学が開催しているオンライン英語コースに参加していた長男。
日本から留学準備ができるという週1回全8回のオンライン講座で、4月からすることもなかったし、そんなに金額も高くなかったので、ちょうど良さそうということで参加していました。
(協会のHPによると、現在はテキサス州立大学で同様の講座が開かれているようです。)
なんと、このオンライン講座の中で、最後に「小テスト」のようなものがあり、それが偶然iTEPだったということでした。
「え?!そんなことある?」「にーちゃんそれほんと?確認したほうがいいよ」と私。
確認したところ、その試験はまさにiTEP。点数の入った通知書もメールで来ていました。
そしてその結果、しっかり基準点をクリアしていました。どこまでも運のいい長男(笑)。
そのオンライン授業の内容がわかっていればできる簡単なテストだったようです。
ちなみにiTEPは、オンラインで受験でき、試験時間も80分と他に比べ短く、また自宅で受験可能。
TOEFLなどは試験機会も限られますが、iTEPは受験後7日経てば再受験可能。
結果も5日で発行されるなど、とても便利な試験です。
多くのアメリカの大学で、受け入れのテストとして使われていると後に調べて知りました(笑)。
私も昔留学を考え、TOEFLを何度も受験していましたが、TOEFLはとても難しく、高得点が出しにい。
しかも受験時間も2時間と長い……。
「なんだ、iTEPで十分じゃん」と思いました。
こうしてGPAと英語という2つの課題を、意図せずラッキーの連続だけで奇跡的にクリアし、晴れてサンタモニカカレッジへの進学が決まりました。
とはいえ、この時点での実際の英語力は「全く話せない」レベル。
果たしてアメリカで生活して行けるのかという不安はありました。
でも短期留学も経験しているし、海外旅行にも連れて行っているし、合格も決まった。
ホームステイ先が学校から遠くなってしまったものの、男子だしまあなんとかなるだろうと。
「がんばってこい!」と8月中旬に送り出しました。
まさかこの2ヶ月後に、「帰国したい……」と長男から苦しい声でLINE電話が入ってくるとは……