「通所と併用でもオンライン利用分は認めない」への抗議と重大な欠陥の判明について 【フリースクール等利用者支援事業助成金】
先日、生活文化スポーツ局のフリースクール等利用者支援事業の責任者として、原田様からお電話を頂き、これまでの抗議に対して一部認めて謝罪と対応の約束を頂いたこと、誠にありがとうございます。
ただそのお電話で約束して頂いた内容がまだ実務をされるアデコさんに伝わっていないため、その内容確認と明確となった問題の集約、そしてこれまでの問題が起きている原因である重大な欠陥が判明したので、合わせてお伝えします。
謝罪して調整・解決を約束して頂いた点
・利用者(不登校児童の保護者)への行き過ぎた「領収書の金額の内訳全てを聞き出す調査」について、今回の助成対象による部分の料金が支払われているか否かの確認に絞る。
・「11月9日に間に合わないと利用状況報告ができなくなる」といったウソによる脅しで、申請を早くさせようとした事を利用者に謝罪して、時期の説明において「支給が遅くなるだけ」との正確な説明を利用者全員に対してメールにて伝える。
・「領収書に捺印が必須」といったウソのルールを後から提示した件については、すでに謝罪と修正がされているため、再確認のみ。
残る問題点
「通所を前提としたオンライン利用は、オンライン専用コースで無ければ認める」
との説明で、4月からのフリースクール利用を利用者にさせて、申請許可も出していたが、9月以降の実績報告になってから、
「通所を前提としてのオンライン利用をした分の利用料は認めない」
となり、4〜9月分の半年分の遡り実績報告申請において、前段の説明を元に半年のフリースクールをオンラインを併用して利用していた申請がおりた利用者に対して、利用分を認めないとなっている点。
また、この「オンライン利用分を認めない」について、フリースクールへの支払い方、請求のされ方が「オンライン利用も含めた定額制」の場合には助成が認められており、1日単位での通所とオンラインで異なる料金を設定している場合のみ助成対象外としているという、助成の目的では無く、「チェックできてしまうか否かで決めている運用」にも合わせて問題があります。
経緯
この問題の原因は、当初の助成対象としていた「利用料」(オンライン専用コースはNGだが、通所を前提にしたオンラインの併用分は認める)について、実績確認で利用者に調査をする段階で、要綱やそれまでの目的を読み間違え、または歪曲して、「料金としてオンライン分だと分かったものは助成対象外とする」となったため。
利用者(不登校児童の保護者)に提示されている確認書類
HP
https://tokyo-fs-support.metro.tokyo.lg.jp/
助成金交付要綱
https://tokyo-fs-support.metro.tokyo.lg.jp/wp-content/themes/freeschool/src/pdf/outline.pdf
よくある質問 FAQ19
https://tokyo-fs-support.metro.tokyo.lg.jp/faq/
この中で特に事務局と見解に食い違いがあるのが「よくある質問19」のこちらの部分
Q19
オンラインと通所を併用したフリースクール等に通っています。この場合は対象となりますか。
A 通所を前提に、子供の状態に合わせて、補助的にオンラインを併用しているコースである場合は対象となります。
通所型施設であっても、オンラインのみで活動するコースを選択している場合は、対象とはなりません。
要綱とこれを読む限り、オンラインでも併用であれば認められると全ての保護者が考えていましたが、事務局側としては、この時点から「利用料の支払い方として、通所利用とオンライン利用で分けて支払える場合には、オンライン分は認めない」ということが決まっていて、それを伝えるのが不十分だったという見解。
また過去の調査費時代と今年度の助成金は必ずしも内容が一致しないのは理解するが、過去2年間における調査費については、同じ説明により「通所を前提としたオンライン利用分」は、認められて調査費の支給を受けており、そこからの説明の変化が無ければ、同様に認められると利用者が考えるのは当然です。
・この時点で要綱からの助成対象やその目的と利用料金におけるチェックについてのズレが発生。「通所を前提に補助的にオンライン利用した児童のオンライン利用分を助成しない。」という真逆の結果へ。
・大切なお金の話で、さらに利用料が遡って助成される今回において「伝達が不十分だった」では、その情報を元に利用されていたご家庭に対して、それ自体が大きな問題。
そして9月の実際の利用料のチェックとなる「利用状況報告」になってから下記のマニュアルが発行(中身は10月3日更新)され、その中の注意書きで初めて「※オンライン利用分は助成対象外とする」との文言。
利用状況報告マニュアル(10月3日発行)
https://tokyo-fs-support.metro.tokyo.lg.jp/wp-content/themes/freeschool/documents/Application/manual_houkoku.pdf
過去2年間における東京都のフリースクール調査費時代では認められていた「併用利用のオンライン分」から、今回の正式助成に切り替わる際において、なぜかそれまでと異なる事が起きてしまった担当部署とアデコによる制度設計のミス、確認不足が原因です。
領収書や利用状況報告において「オンライン利用」と書かれているものは、あくまでその日の事であり、1ヶ月を通して見た場合には通所との併用です。その1日の内容だけで「オンライン専用コースは認めない」から「オンライン分は認めない」に読み間違え、歪曲されています。
抗議
この問題は、今回の助成すべき「不登校児童の保護者」に対して、単なる作業の手間や気持ちの落胆を生んだだけでは無く、実際に「予定していたお金がなくなる」という生活、文化に直結する具体的な問題です。
それまでの2年間の調査費時代でも、今回の助成における当初の説明(9月まで)においても、利用者には「通所と併用であればオンラインでも助成する」とされてきました。
そこからの制度変更、助成の適用変更があるならば、正式な文書でのルール改訂の説明が必須であることは、常に軽微でもお金にまつわることでは「変更申請」などを提出させている東京都側としてもご理解頂けるかと思います。
それが現在、フリースクールに対しても、利用者で今回助成すべき「不登校児童の保護者」に対しても、電話での口頭説明で「前から決まっていたこと」の一点張りと後から作られた「利用状況報告マニュアル」でのみ、申請作業として伝えているだけとなっています。
また、これがこれからの申請についてならば議論の余地がありますが、すでにこれまでの調査費からの経緯や当初の説明により、利用者が「オンラインも通所併用なら助成が認められるとして4月から利用してきた分のオンライン分の助成を無しにする」と遡っているのは大きな問題です。
制度設計のミスや遅れについて、今後の修正や調整についてであれば「領収書の捺印必須」や「第二期の期限日」などの問題でも受け入れて協力してゆきますが、説明や制度が足りなかった時期の不登校児童のオンライン利用料を遡って削るのには断固抗議します。
重大な欠陥
「フリースクール等利用者支援事業」の責任者の方から、先日のお電話でお聞きしたのが「利用状況報告書は、学校とフリースクールの出席をチェックして、学校に行ってるのにフリースクールを利用したとウソをついて助成を受けようというのを防ぐためにある書類です。」という内容をお聞きしたのをキッカケに、今回の様々な問題が起きている重大な欠陥が判明しました。
それは、今回の東京都による不登校児童への支援3事業の中で、他の2事業が「不登校児童の支援を目的」としているのに対して、「フリースクール等利用者支援事業」の業務実態が「フリースクール利用者の支援よりも、不正が無いかのチェックが業務の目的」となっている点です。
例えば、事業者支援における「サポートプラン作成」には不登校児童のためのまさにサポートの意味合いがありますが、利用者支援における「利用状況報告」は、あくまで二重に通ってないか?の確認とフリースクールへの支払い額の確認のためだけに使用されています。
実際の例として、
領収書の金額よりも多い利用回数が報告書に書かれていた利用者は、以前に休んでた分の振替やフリースクール側のサービス的なケースなどがあるだけで、通所の回数よりも少ない?金額である助成を求めているだけであるのに、アデコからは、利用状況報告と領収書を合わせないとダメだから、
「料金の発生しない時の通所分は、利用状況報告には記載しない、丸をつけないでもらえますか?」
と言われています。
これは児童が施設にいつどれくらい通っているか?を伝える連携では無く、単に助成金のためのチェックをスムーズにするための指示です。
助成事務局としては、いかに不正が無いか?いかに対象外には支払わないようにするか?が、仕事として一番の目的となっており、問題となる「オンライン利用分は認めない」についても、「通所とオンラインを併用している児童を支援」するよりも、いかにその分を削るか?の目的しかありません。
その他の領収書金額の全ての内訳を聞き出そうというのも、一貫として、助成金の不正が無いかが業務としての一番の目的となっています。
それは「チェックする担当者レベル」ならばアリですが、事業全体としてその方針が根っこにあるのは、本来の目的からそれてしまっている重大な欠陥です。
まとめ
今回、正式な助成金として、各担当部署や業務委託を抱え、3事業に別れての運用は大変かと思いますが、その3事業に共通する本来の目的は、「現在の不登校児童とその保護者へのサポート」であるかと思います。
今回の支援事業により、不登校児童とその保護者の手間と時間を大きく取らせたり、多様な学びを阻害したり、そして何よりも「少しでも社会とつながりを持とうとする気持ちを失望させ、落胆させる」ような事があってはならないはずです。
このまま「併用利用のオンライン分を認めず、それまでの説明と逆を後から言い出す」のを修正せずに継続してしまうとしたら、
該当する児童にとって、またその保護者にとって、大きな不信感と不安感を東京都に持たせてしまい、学校への通所はもちろんのこも、社会や大人達への不信感が増大し、サポートとは逆に、社会からの孤立を促進してしまうことが予想されます。
今回の問題と欠陥については、担当部署の責任なのか、局全体の問題なのかは分かりません。
しかし、「不登校児童のためのサポート」が局長としての目的だとするならば、部署間を超えて、不登校児童のための支援事業の1つとして、生活文化スポーツ局全体で対応頂けることを願います。
どうぞ宜しくお願いします。
シン・スクール
吉澤一雅