糖尿病の三大合併症

不定期連載 アポラクトフェリン(26)

糖尿病が発症したからといって、
それだけですぐに致命的な障害が
出てくるわけではありません。
健康な人でも食事をすれば
血糖値が急上昇します。
しかし糖尿病ではその血糖値が
高い状態が続いて、
様々な合併症を誘発します。
「糖尿病は血管病」と言われるように、
合併症には血管に関するものが多く
特に発症率が高く、症状が重いものを
「三大合併症」と呼びます。
①糖尿病性網膜、②糖尿病性腎症、
③糖尿病性神経障害です。

①糖尿病性網膜は、日本人の失明原因の
第1位です。糖尿病は眼全体に悪影響を
及ぼしますが、中でも深刻な症状を起こす
部位が網膜です。糖尿病性網膜症では、
硝子体出血、網膜剥離、黄斑浮腫が
数年から数十年かけて進行し、
最悪の場合、失明に至ります。

②糖尿病性腎症も時間をかけて進行します。
長い間、糖尿病を患っていると、
腎臓にある毛細血管の塊である球体に
障害が発生します(細小血管障害)。
糸球体は血液を濾過する役割を
担っているため、ここで障害が発生すると
身体の老廃物を濾すことができず、
尿を作れなくなってしまうのです。
現在、新たに人工透析を行う人の約40%が
糖尿病性腎症の患者です。

③糖尿病性神経障害は、三大合併症の中で
最も早い時期に見られます。糖尿病で、
手先や足先に痛みや異常な感覚があり、
アキレス腱を触ったときに両脚とも
反応がない場合、この糖尿病性神経障害を
疑います。症状が進むと、足の指先などが
壊死し、切断を余儀なくされるケースも
出てきます。

他にも、起立性低血圧(立ちくらみ)や
勃起障害などが起こることもあります。

糖尿病の合併症を促す物質として
知られるようになったのが
「AGEs
(Advanced Glycation End Products;
終末糖化産物)」と呼ばれる物質です(写真)。

参考文献 
井上浩義 
『アポラクトフェリンのすべてがわかる本』
アーク出版 2015年 pp.64 - 66


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