【銀行員向け】【業界研究Vol.1】製薬会社(ジェネリック薬品メーカー)について
銀行で法人向けの営業に従事をしていると、多様な業種、業態のお客様を担当することになります。
担当した都度、その業界について勉強される方がほとんどかと思いますが、その一助となればと思い、私が過去担当していた業界などを中心に情報発信をしていきたいと思います。
製薬会社(ジェネリック薬品メーカー)について
ジェネリック薬品メーカーは、既存の先発医薬品の特許が切れた後に製造・販売される薬を提供する企業です。ジェネリック薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を持ちながら、通常は低価格で提供されるため、医療費削減に大きく貢献しています。
日本でジェネリック薬品が本格的に普及し始めたのは、2000年代の後半からで、厚生労働省が2007年に「ジェネリック医薬品使用促進のための指針」を発表し、ジェネリック薬品の普及を進めるための施策を打ち出しました。
その施策が打ち出された頃、大手製薬メーカーでは芸能人を起用し、ジェネリックについてPRするCMを多く流していたことを記憶しています。
現在ではジェネリック薬品の使用率は80%に近づくまでになっているそうです。
業界順位
日本のジェネリックメーカーは数多く存在しますが、業界大手で言うと①日医工株式会社②東和薬品株式会社③沢井製薬④武田テバファーマ株式会社⑤大洋薬品工業などが挙げれれます。
ジェネリックの普及率が上がっているので、業績が良さそうなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、実際は薬価改定の影響(後述)を大きく受けるため、持続的な成長を続けていくためには課題もあるようです。
収益構造の基本
ジェネリック薬品メーカーの収益構造は、以下の3つの要素に大きく依存しています。
①販売数量: ジェネリック薬品の普及率が上がるほど、メーカーの収益は増加します。政府が医療費抑制のためにジェネリック薬品の使用を推進していることから、使用率の増加は収益の拡大に寄与しています。
②価格設定: ジェネリック薬品は、先発医薬品に比べて安価で提供されるため、価格競争が激しい市場です。低価格であっても、一定の利益を確保するためには、効率的な製造プロセスやコスト管理が重要となります。
③製品ポートフォリオ: 多くのジェネリック薬品メーカーは、特定の治療分野に特化した製品群を持ち、それによって市場での競争力を確保しています。新しいジェネリック薬品の開発と市場投入が継続的に行われることが、長期的な収益維持に不可欠です。
薬価改定の影響
日本の医薬品市場では、政府が医薬品の価格(薬価)を定めており、この価格は定期的に見直されます。この薬価改定は、ジェネリック薬品メーカーにとって収益に直接影響を与える重要な要素です。
薬価改定のメカニズム: 薬価改定は、主に市場価格の動向に基づいて行われます。市場での取引価格が下がると、それに応じて薬価も引き下げられることがあります。これは、医療費の抑制を目的としていますが、ジェネリック薬品メーカーにとっては、収益の減少を意味します。
ジェネリック薬品への影響: ジェネリック薬品は、先発医薬品に比べて価格が低いため、薬価改定による価格引き下げの影響を強く受けやすいです。特に、ジェネリック薬品の価格がさらに下がると、利益率が低下し、収益性が圧迫されます。
競争激化: また、薬価が引き下げられることで、各メーカーは価格競争を強いられ、利益率がさらに低下する可能性があります。これにより、規模の小さいジェネリック薬品メーカーは競争に生き残るための戦略を迫られることになります。
消費者としては価格が下がることは嬉しいですが、業界としては厳しい経営環境にあると言えます。
まとめ
日本のジェネリック薬品メーカーの収益構造は、薬価改定という外的要因に強く影響され、業界環境としては厳しい業界ですが、だからこそ銀行がサポートできる内容もあると思います。
お客さまのお役に立てる情報提供ができるよう、情報収集していきましょう。
【ご参考】オーソライズドジェネリック(AG)について
ご参考までですが、ジェネリックメーカーを担当していて知っておきたい言葉がオーソライズドジェネリック(Authorized Generic、AG)です。
オーソライズドジェネリックとは、先発医薬品メーカーが自社の特許が切れた後に製造・販売するジェネリック薬品のことで先発医薬品と同じ製造プロセスと製造設備を使用して製造されること、成分や形状、添加剤も同じものを使用しているため、薬の効き目や副作用に関しては先発薬とほぼ同じ効果が期待できます。
インターネットで調べるとより詳しい情報が載っていますので、調べてみてください。