【ビジネスマン向け】今更聞けない時事問題Vol3「コーポレートガバナンスコード」
ここ数年、新聞紙上で上場企業の政策保有株式の売却の記事をよく見かけますが、なぜそのような動きとなっているのか、
その基本となる「コーポレートガバナンスコード」について今回は投稿いたします。
コーポレートガバナンスコードとは
コーポレートガバナンスコード(Corporate Governance Code)とは、一言で言うと「企業が健全な経営を行うための原則や指針を定めたもの」です。
カタカナで見ると何のことだがわかりづらいですが、英単語で区切ると意味がわかりますね。
背景と目的
2000年代に世界的に広まった企業不祥事や金融危機を受け、企業経営の健全性や透明性を確保するために作られました。日本においては、2015年6月に東京証券取引所が初めて「コーポレートガバナンス・コード」を導入し、その後も改定が行われています。
このコードの基本的な目的は、企業が株主をはじめとするステークホルダーに対して、信頼性のある経営を実施することです。具体的には、経営陣が企業の方向性を示し、リスクを管理し、適切な意思決定を行うことを求めています。また、企業が社会的責任を果たすことも重要視されています。
主な内容と原則
コーポレートガバナンスコードは、大きく分けて以下の5つの基本原則に基づいています(眠たくなる内容なのでここは飛ばしてもらっても良いです)
株主の権利と平等性の確保: 株主が持つ基本的な権利を尊重し、株主が企業の意思決定に参加できるようにすることが求められます。これには、株主総会での投票権や重要な議案に関する情報提供の徹底が含まれます。
株主以外のステークホルダーとの適切な協力: 企業は、株主だけでなく、従業員、取引先、地域社会などのステークホルダーとも協力し、共に発展することを目指します。企業の持続可能性を高めるためには、これらの関係者との信頼関係が不可欠です。
適切な情報開示と透明性の確保: 企業は、自社の経営状況や財務状況に関する情報を適時かつ正確に開示し、透明性を確保することが求められます。これにより、投資家や株主が企業の実態を理解し、適切な判断を下すことができます。
取締役会の責務: 取締役会は、企業の経営戦略の策定や実行を監督する重要な役割を担っています。取締役会は、独立した社外取締役を含め、多様な視点を持つメンバーで構成されるべきとされ、企業の意思決定が公平かつ効果的に行われるよう監督します。
株主との対話: 企業は、株主との対話を積極的に行い、長期的な企業価値の向上に向けた意見交換を推進することが重要とされています。株主からの意見を経営に反映させることで、企業の経営がより健全で持続可能なものとなることが期待されています。
政策保有株式との関係
コーポレートガバナンスコードの強化でなぜ政策保有株式の議論になったか整理します(ここからが本題です)。
政策保有株式とは、企業が特定の取引先企業との関係を強化・維持するために、その取引先企業の株式を保有することを指します。これらの株式は、単に投資目的で保有されるのではなく、取引関係の強化や安定化を図るための手段として用いられます。
日本では、長期的な取引関係や相互扶助の精神が重視される傾向があり、その一環として政策保有株式が広く行われてきました。企業間の「持ち合い」もその一例で、相互に株式を保有することで取引関係を安定させてきました。
しかし、このような株式保有は本来の経営目的から外れているとされ、コーポレートガバナンスの観点から批判されています。
また、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードの改定で、企業は政策保有株式の保有理由を株主に対して明確に説明することが求められており、これも売却の動機となっています。
まとめ
コーポレートガバナンスコードは企業の健全性を高めるための動きですが、それを契機に議論されていることは政策保有株式以外にも社外取締役の役割強化やダイバーシティの推進、サステナビリティとESGへの対応など様々です。
トレンドとなる背景も理解できるとビジネス戦闘力は高くなると思います。
またこのような情報発信も継続していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。