「てれびのおばけ」は面白さとは何か?を考えさせられる作品
先日、鈴木おさむさんが脚本、今田耕司さんやせいじさんが出演した舞台
「てれびのおばけ」
見逃し配信がされていたので、早速観てみました。
「面白い」を日本で最も求める人たちが、「視聴率」という呪縛の中でもがく姿を生々しく描いてる作品で、評判通り考えさせられる作品でした。
印象に残った点を挙げていきます。
・各年代のテレビマンの「面白い」への向き合い方が熱量持って伝わってくる
僕も、テレビ業界でバラエティー番組を作りたくて就活をしていたので、「面白い」と言う言葉について割と考えていた方だと思います。
僕が持ってる答えは、「面白い」=「新しい」です。
テレビというのは、大きく分けて二つの要素で成り立っていると思っていて、「テーマ」と「人」です。
この、「テーマ」と「人(=視点)」に新しさがあれば、それが面白さにつながると考えています。
(これを考えると共感から生まれる笑いは、今まで日の目を浴びて来なかった意見を言う時に発生すると考えているため、新しい視点に入ると思っています。)
その新しさに面白さを感じられるのは、興味があることが大前提だと考えています。
しかし、新しいものには、興味を持たれないリスクがあります。
そして、興味を持たれるまで時間がかかるという特徴があります。
今の時代は大量消費時代であり、エンタメ業界も例外ではありません。
消費者は、興味の有無を判断を素早くしないといけません。
だから、新しさから生まれる面白さは、結構今の時代に不向きなのかなーと思ってます。
(僕は割と根気強く、新しいものを見続けるタイプだから、こういう思想になってるんだと思います。)
本題に戻ると、だからこそ本作でのテレビマンの苦悩は、より自分に深く刺さりました。
どうしても日本のテレビ業界は広告費用で成り立っているので、数字が全てです。
数字、このnoteでは分かりやすく視聴率で考えると、視聴率は先週の面白さ(興味)によって変化します。
つまり、新しいものは中々視聴率が取りづらいです。
とはいえ、番組制作側としてのプライド的には、新しさを加えたいという思いがあり、各年代でもがき苦しんでる姿が強く印象に残りました。
・テレビを作る人が、問題提起をしたという良さ
本作は、多くの人気番組を作ってきた鈴木おさむさんが脚本です。
そんなテレビ畑の人が、
「今の時代って、年齢のボリュームゾーンな中高年が分かりやすいネタが良いよね」
「芸能人の不倫ネタばかりでつまらなくて、制作者の心だけ痛むよね」
という、現代テレビの課題を投げかけます。
テレビの方は気付いてるけど、暗黙の了解的に見過ごすかと思いきや、そこに正面から向き合うテーマ設定というのがメッセージの強さがあって良かったです。
・石井杏奈さんの演技力
元E-girlsだった?彼女。初舞台だったらしいのですが、1人3役をしっかり演じ切ってました。
しかも、狂気的な怒り方の演技は迫力があって、生で見てたら震えるだろうなと思いました。
今後注目の女優さんです。
とにかく本作は面白いとは?を考えさせられる作品でした。
僕は小さい頃からテレビが大好きでも、テレビの可能性に期待し続けてる視聴者の1人です。
アメリカのように多チャンネル課金制に切り替えるというようなビジネスモデルの転換が日本のテレビの活路なのか。
それともネットと連携したテレビコンテンツの進化が活路なのか。
執筆活動と言うエンタメ畑での活動している僕もテレビと言う媒体に貢献したいなぁと思う今日この頃でした。
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