登山とダイエット④
一向に山頂が見えなかった。
もうすぐって言ったじゃないか。もうすぐは俺の感覚では、もう、すぐ。時間にしたら5分ぐらい。10人に聞いたら10人がそう言う。もう一度聞かないといけないのか。あの悔しい言葉をもう一度言わないといけないのか。
いや、もう少し耐えてみようか。サウナでも12分の時計が最後の30秒前になるときが一番苦しいではないか。すでに腰は床から上がっているし、5秒前ぐらいに脳から体に指令をだせば、12分ジャストで立ったような感じになる。そうだ。あれと一緒なのだ。焦って出るわけでもないように見える。むしろ、あと1分ぐらい入っていられるけどぐらいのゆっくりとした足取りで出れる。そうだ。もう少し頑張れるはずだ。
あと、どれぐらいかなー。
脳からの指令が、ダイレクトに口から出てしまった。脳ミソを経由しなかったと思う。命の危険を脳が感じて感情を通さずに言語化してしまったんだと思う。
おかしいなー、もうすぐだと思ったんだけど
絶交だな。きっと縁がなかったんだ。許されない言葉だよ。おかしいなーって、誰が? 何が? 思ったんだけどって、どう言うこと。一度立ち止まってゆっくり話そうか。言葉の大切さについて。今日の俺なら1時間でも2時間でも話せるよ。膝を付き合わせて、ゆっくり語り合えるよ。冷たい岩でも土の上でも、倒れてる木でもどこでもいいよ。そんな小さなことにこだわらないよ。とにかく、語り合おうぜ、今すぐ、座ってさ。
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