坂本龍一と90年代ハウスミュージック〜日本のクラブミュージック【ハウス編1】
Heartbeat / Ryuichi Sakamoto
恋をした(I'm in Love)/Chara
You Make Me / Monday Michiru
We Love You / Ryuichi Sakamoto
Grooves in the Heart /Deee-Lite
G.B.I./TeiTowa feat.Kylie Minogue
You Do Me/Ryuichi Sakamoto
東京は夜の7時 (The Night is Still Young)/Pizzicato Five
Fade Out/ Kyoko Koizumi
Shangri-La/Denki Groove
Tears/Frankie Knuckeles&Satoshi Tomiie
Sayonara/Ryuichi Sakamoto
*上記動画は著作権をクリアし一度アップできていたものが何故かその後ブロックされたので再度アップしたものです。そのうち消えていたらそういうことです・・泣
★本DJ MIX制作の背景
2021年〜2022年に坂本龍一氏の闘病経緯を聞くにつれ、80年代後半の「ラストエンペラー」でのオスカー受賞から90年代のgutレーベルにかけてのポップな展開に自分がいかに大きな影響を受けてきたかを改めて実感し、この企画を思いつきました。特に教授がNY移住後にクラブシーン大きく影響を受けて作ったと思われる91年のアルバム「Heartbeat」には、坂本チルドレンとでも言うべきトミイエ・サトシや当時Deee-Liteの一員として世界的にブレイクしていたテイ・トーワが参加しています。このアルバムはハウストラックの軽やかさや「Tainai Kaiki」の後を引くヘヴィネス、映画「ブレードランナー」のサントラの如く流麗なピアノ曲の「Epilogue」などの教授のエッセンスが詰まったエポック・メイキングな仕上がりになっており、愛聴してきました。そのアルバムからの2曲を冒頭とラストに配置した90年代中心の日本人絡みのクラブトラックで構成したDJミックスの企画を思いついたのですが、教授の闘病中にラストの「Sayonara」という曲を聴くのはあまりにも悲しく、不謹慎でもあり、この企画自体を封印しておくつもりでした。その後、闘病の様子が気になり、情報を求めて時折取り憑かれたようにインターネットを漁っていたのですが、とうとう2023年4月2日に訃報が届いてしまいました。そこで、自分なりの追悼の想いを込めて2023年ゴールデンウィークにかけて選曲作業を再開し、ミックス制作を行いました。
このDJミックスでは坂本龍一ご本人の曲のリミックスを含む4曲に加え、前述のテイ・トーワ氏、トミイエ・サトシ氏絡みのトラックを中心に、90年代によく聞いた邦人絡みのハウスアンセムをまとめてみました。90年代の日本のクラブシーンは充実しており、膨大なアーカイブが残っています。それが現在ブームになっているシティポップのように再評価されずに埋もれてしまうのはあまりにも勿体なく、自分なりのアンソロジーとして今後何本かのDJミックスを作っていきたいと思いつきました。とりあえずハウス編としては1時間のミックス4本の制作を計画しており、このミックスはその第一弾にあたります。そのほかにもテクノ編、クラブジャズ編なども考えています。
非常に残念だったのはレベッカのNOKKOが初の海外進出として出したアルバム「Call Me Nightlife」の全編がレコードレーベルSMEの著作権の方針で全世界で公開禁止になっていることです。このアルバムからは今後制作予定のミックスも含めて数曲をキートラックとして使いたかったのですが、本ミックス制作後にアップするとブロックされてしまいました。このアルバムはあまり有名ではありませんが、製作陣にはテイ・トーワ、屋敷豪太、Kenji Jammarなどの邦人に加え、セイント・エティエンヌも曲を提供している隠れ名盤だと思います。SNSの時代に全世界にこのレコードを紹介できないのは、レコード会社やNOKKO本人とっても大きな損失になっている気がします。このミックスでは「I Will Catch You」を3曲目に使いたかったのですが、マンデイ満ちるの「You Make Me」に差し替えて一から制作をやり直すことになりました。
また10曲目の電気グルーヴの90年代名曲「Shangri-La」は、これまたSMEの方針で日本以外への2次使用が禁止されているようです。したがってこのミックスの公開も日本に限定されています。日本人によるクラブトラックを全世界に紹介したいというのがこのミックス制作の意図なので、残念ですが「Shangri-La」を除いた形で全世界向け動画を後日制作したいと思っています。
以上が本ミックス制作の背景です。何はともあれ、80年代後半から90年代にかけての空気感を楽しんでいただけたら幸いです。