ガチ・フジロッカーによるフジロック'24体験記【2日目】(動画付き)
近年注目のアクトに続きベス・ギボンズやクラフトワークなどの大物が出演、充実の2日目
今年は宿が思いのほか快適で、2日目も体力十分でした。
天候は去年・一昨年の日照りは何だったんだいう感じで曇り。時おり陽がさす程度ですが、その日差しも痛いくらい強いんですよね。
ということで、2日目はグリーンステージのThe Last Dinner Party(TLDP)からスタートしました。
このバンドもFrikoと同じく今年前半に大きな話題となったバンドですが、自分はそこまでハマることなくスルーしてました。
なので、あまり期待することなくグリーンに駆けつけたのですが、期待以上にライブが良くて感心してしまいました。
まず、バンドの実力もさることながら、女性バンドメンバーがキャラ立ちしていてかっこいいんですよね。
音楽性はポップロックで、筆者はなぜかフリートウッド・マックを思い出してしまいました。
ブロンディのCall meのカバーも見事にハマってて大満足のライブでした。
レコードよりもライブが良い典型的なバンドかもしれませんね。
次はジプシーアバロンで、アトミックカフェのトークイベントと七尾旅人。
筆者は止まることのないガザの爆撃でずっと心を痛めていたので、戦争に関するトークに集まった人たちと想いを共有できたのは貴重な体験でした。
できたら観客とのディスカッション形式だともっといいな、と思ったのですが、観客が多すぎて無理かもしれませんね。
ロックフェスはプロテストの象徴なので、このようなイベントはもっと盛り上がって欲しいと思います。
七尾旅人さんはその後トレイシー・チャップマンの名曲「Fast Car」に日本語の歌詞をつけて唄われて、ジーンと心に沁みました。
その後はホワイトに降りて折坂悠太。
この人は前回の出演時にたまたま耳にした音がとても心地よく、フルで聴くのを楽しみにしていました。
ファルセットを多用した優しい歌声はどこかジェイムス・ブレイクを彷彿とさせます。時には最近のコーネリアスぽさも。
ありふれたJポップとは一線を画するアコースティックで独自のサウンドを追求していて、今後の展開も大いに期待したいと思います。
次はグリーンに移動して、いよいよ楽しみにしていたベス・ギボンズ。
彼女は90年代からどうしてもライブを観たくても観れなかったポーティスヘッドのボーカルです。
ポーティスヘッドは恐ろしく完成度の高いライブ盤があったり、08年の復活後のCoachella出演時のライブが素晴らしかったのですが、来日してくれることはありませんでした。
(書きながら思い出したのですが、ライブ盤にはビデオがあったと思うので無性に探したくなりました。)
また、今年出たベスのソロ新作はポーティスヘッドからヒップホップのビートをマイナスしたような感触で、基本的な世界観は不変の傑作です。
ライブはアコースティック楽器を中心としたバンド編成で、そのアルバムの世界観を更に増幅させたような音に仕上がっていました。
その充実のライブセットも終盤に差し掛かったころ、終始恥ずかしそうにしていたベスが「アナタタチワ、ヤサシイ」と非常にぎこちなくMCを入れました。
その仕草がとても感極まったものだったので、意外な盛り上がりに本人も感が極まったのだと思います。
この時点で筆者は知らないうちにボロ泣きです。
そのMCからポーティスヘッドの名曲「Roads」になだれ込み、自然と流れ出した涙が止まりませんでした。
Beth Gibbonsのライブはこの時点で筆者にとってのベストアクトになりました。
感激も醒めやらぬ中向かったのはホワイトのSampha。
この人のアルバムは2枚とも画期的なオルタナR&Bになっていてお気に入りだったのですが、ライブはさらに躍動感のある肉体性を獲得していて素晴らしいものでした。
次はグリーンに移動してテクノ・レジェンドのKraftwerk。
物心ついた時にはピークを過ぎていたので、正直あまり思い入れはありませんでしたが、独特なステージングと坂本龍一へのトリビュート、さらに広島と福島に言及した反放射能のメッセージにグッと来ました。
反放射能については案の定ツイッターで一部の人たちが反応していましたが、1970年代80年代の昔から変わらず、この人たちの主張は不変です。
反放射能、反原発の主張が「政治的だ」などと目くじらを立てる人たちは、広島・長崎への原爆投下のみならず、54年の第五福竜丸の被爆事故、86年のチェルノブイリ事故、そして2011年の福島のことをどう思ってるのか、個人的には不思議です。
放射能開発や原発、さらにそれを支える利権構造をサポートするロジカルな正論があれば、ぜひ聞いてみたいものです。
その後はまたホワイトに戻り、あまり事前情報のなかったgirl in red。
行きの車で聞いた新作が思いの外良く、ステージも楽しくて盛り上げ上手。思わぬ収穫となりました。
再びレッドに戻り2manydjs。90年代〜00年代組にとっては懐かしいアクトです。
ファットボーイ・スリムに似て、やたらとキャッチーなヒット曲のリフを繋げていく手法のDJでしたが、昔は、今のEDMの DJのようなチャラさがあって、あまり好みではありませんでした。
しかし、久しぶりに聞くこの手法のDJは有効なものとして響いており素直に楽しく、大いに深夜のレッドを盛り上げてました。
セット最後のYMOへのトリビュートもしっかり受け止めましたよ。
深夜レッド枠、この日の最後に観たのはHIROKO YAMAMURA。
ボイラールームの DJ動画がバズって有名になった、今注目の見た目オバチャマ DJです。(失礼。)
1日目にすでに選曲センスの良さは証明されていたのでフルで聴くのを楽しみにしていたのですが、その期待を裏切らない盛り上げ番長ぶり。オールドスクールなアンセムをたっぷり盛り込んだDJスタイルに感心しました。
セットの途中でプロディジーの「Breathe」をぶっこむのも流石です。
上の世代かと思いきや同世代感をヒシヒシと感じ、おビビでした。
ということで2日目も深夜枠は大盛り上がりのまま帰路に着きました。
3日目の記事に続きます。