アオムシ観察日記①
※アオムシの写真多いので、苦手な人はご注意!
昨年ふるさと納税でいただいた、レモンの鉢植え。春が過ぎてよく蝶が飛んでくるなーとは思っていたけど、気づいたら大きなアオムシがいた。雨が続いてしばらく窓際から様子を見るだけだったけど、若葉がモリモリ削れているので誰かが食べてるのかなーと思っていた。私の大事なレモンの木が食べられるのは正直面白くないけど、濡れそぼった葉に隠れるように身を潜める姿を見つけたら妙に愛着が沸くもので。
生物に詳しい友人に写真を送ると、これはもう最終段階で、ここに至るまで鳥のフンに擬態しながら何度も成長を繰り返してきていると言われ感動した。それと同時に、鳥のフンみたいな虫を「葉を食べる悪いやつめ!」とピンピンはねていたのを思い出した。あれはコイツのきょうだいだったのか。悪いことをした。かれらの分も、コイツには立派な蝶になってもらおう。私はそう心に決めた。お気に入りの木のベンチがフンまみれだったけど、仕方ないから許してあげた。(体に見合わないすごい量だったけど!)友人曰く、もういつサナギになってもおかしくないらしい。あと少しの付き合いかな、と思っていた私とアオムシに、翌日事件が起きた。
ちょっと外出している間に土砂降りがきて、アオムシが地面に落ちてしまったのだ。地面といっても、鉢植えの中。サナギになれる安全な場所を探してウロウロしているうちに落ちてしまったのかもしれない。彼は恐らく、出口か登る木を探してひたすら鉢の内側をぐるぐる回っていて、なんだか私まで焦ってしまった。
このまま様子を見ようと思ったけど、時々鉢を乗り越える仕草を見せるので、朝食べた笹団子の葉っぱでレスキューを開始した。そっと足元に葉っぱを差し込んで、持ち上げる。短くて太い足がなんともかわいかった。そのまま進行方向に木の枝が来るように…したけど、うまくいかず落下。玄関のタイルにぺちっと放り出された。大変だ。呆然としている彼にもう一度葉を差し出し(笹の匂い苦手だったらどうしよう、とも考えた)今度は無事木の枝に載せることに成功。笹の葉越しに、アオムシの歩く振動が伝わってきてまた感動した。イキモノなんだ、と強く実感した。その後進行方向に悩む彼に後ろ髪引かれつつ、しばらくしてから様子を見に行くと、きちんと落ち着ける場所を見つけていた。すごい、本当にすごい。
そして翌朝、彼は新たなステージに向けて進化を開始した。
昨日あんなに一生懸命動かしていた足が、ぴったりと体に一体化して外殻を作る準備に入っていた。なんだか不思議だ、昨日はあんなに柔軟そうな体だったのに。
更に翌朝、これだ!サナギ!という姿になった。
ポケモンのトランセル。昨日もう少し過程を見ておけばよかったとちょっと後悔した。1日ですっかり完璧なサナギになってしまった。ここで先述の友人から衝撃的な話を聞く。
「いまこの中、ドロドロに溶けてるんだよ」
えっ、ドロドロ…?ちょっと理解が追いつかない。今までの体を全部溶かして、作り直すということか。たしかにアオムシの形から蝶の形になるには、ちょっと羽を生やすだけでは形容出来ないだろうことはわかる。それにしても溶かしてしまうとは!最初、サナギの期間は2週間ほどと聞いて「長いなー」と思っていたけど、逆にすごくないか、2週間で体を1から作り直すんだぞ。
人間にも同じことが出来たらいいのに、と想像した。短い足とか、太い体とかをサナギに閉じ込めて、ドロドロに溶かして、美しい自分に生まれ変わるのだ。もしくは脳みそだけでも、卑屈な考え方とか、醜い嫉妬心とかをドロドロに溶かして、ポジティブに作り替える。勿論生物学的に不可能だけど、イメージトレーニングとしては有効かもな、と思ったり。
今後コンプレックスに直面したときに、試してみようと思う。サナギ療法。物理以外でドロドロに溶かす方法は絶賛模索中だけど。
ところでサナギは「えっこんなにどこから出てきたの?」ってくらい体液(糞尿)が出てくるらしい。デトックスのレベルが高いね。私も見習おう。また観察記録たまったら次を書きますね!