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左手薬指の呪いと戦った話

左手薬指に異常が出はじめたのは、4月中旬だった。なんだかカサカサしてるので最初は手荒れだと思った。手洗いアルコール消毒は頻回だったし、家では毎日水仕事。そりゃ手も荒れるわ。でも気温も湿度も上がり出した今頃なんで…?とりあえず保湿クリームを塗るけど改善しない。そのうちプツプツと小さな水ぶくれができてきた。左手薬指にだけ。いやいや手荒れなら全体的にいこうよ、なんでそこだけ?プツプツが出てくると猛烈に痒い。夜中に痒くてかきむしりながら目を覚ますようになった。そうすると水ぶくれは破けて、弱った皮膚にアルコールがピリピリと滲みる。皮膚が治ってくるとまた新しい水ぶくれが出てくる。なにこれすごい、負のスパイラルじゃん

そのうち左手小指、右手小指の第二関節にもプツプツが出現して、それを見た夫がこういうのです。

「それ、もしかして水虫じゃね?」

水虫。お父さんが娘に嫌われる原因ランキングのトップランカー、水虫。え、嘘でしょ?

夫はスーツ勤務時代に水虫を経験していた。天敵は革靴らしい。水虫が手にできることがあること自体は私も知っていたので、まさかこれが…?と半信半疑だった。私の指を掴んでマジマジと観察した元・水虫戦士が告げる。

水虫の症状に、よく似てるね…

なんてこった!ついに私も水虫戦士の仲間入りか!元・戦士は優しく一本の剣、もといブテ◯ロックを差し出して「これを、使いなさい」と言った。

本来なら、ここで自己診断せず病院に行くべきである。しかし時期は5月に入ろうという頃、まだまだ新型コロナの影響で自粛が声高に叫ばれている中、ちょっと指が痒いくらいで病院に行くのもな…。もし水虫じゃなくて薬が効かなかったら、そのとき改めて病院に行こう!と思い、戦士から受け継ぎし一本の塗り薬を手に孤独な戦いに乗り出したのであった。

そして1ヶ月、私は戦った。すぐ効果が出るとは思わなかったので、発疹→潰れる→荒れる→再び発疹、を繰り返しても挫けなかった。何回かのサイクルののち、赤みも引き肌も治ってきた頃、ようやく勝利の兆しが見えてきて初めて私は笑顔を浮かべた。傍らで見守ってくれた夫も嬉しそうだった。やっと、穏やかな眠りが約束される…。

……はずだった。

その日の深夜、猛烈な痒みと不吉な予感に目を覚ました私は、無意識にかきむしる左手を恐々と月明かりにかざした。そこには、追い払ったはずのアイツが、群れをなして集まっていたのである…!

「あ、もう無理、病院行くわ」

翌朝、私は早速近所の皮膚科を探して予約を取った。最初の兆候から1ヶ月半、既に時期は6月に入り、徐々に街も機能を取り戻していた。だから、もういいよね?

診察前に問診票を目にした看護助手に、1ヶ月共に戦った相棒のことを聞かれた。効果はあったの?と。

いいえ、よくも悪くもなりませんでした。

笑われた。炎症起こさなくてよかったわよ!と言われた。その意味はその後すぐわかることになる。

先生がやってきて、私の手を見て、ほんとに一瞥して、

汗疱性湿疹ですね!

あ、先生、それ知ってます。私も原因色々調べて、水虫と間違えやすいから注意って書いてました。(そこに、自己診断しないで皮膚科を受診してねとも書いてあった)そっかー、湿疹かー。

先生は丁寧に説明してくれた。要するに汗をかきやすくなる時期に、汗腺が詰まって水ぶくれみたいになる湿疹なんだそうだ。ステロイドと保湿薬と痒み止めの飲み薬を出してくれて、処方と合わせて2000円ちょいだった。もしブテ◯ロック薬局で買ってたら、マジで無駄足だった。

そして塗り始めて数日、症状はみるみる改善してる。私の1ヶ月半、なんだったの?しかしよくならないのは当たり前として、悪くならなくて本当によかった。


ちなみに水虫は風通しの悪い革靴を履き続けるとなりやすいらしいです!水虫のお父さんが嫌いな全国の娘たち、お父さん頑張ってる証拠だからあまりいじめないでやってくれよな!

あと汗疱性湿疹は主婦湿疹とも言われてるらしいので、同じ悩みのある主婦は是非自己診断せず皮膚科でステロイドもらってくれよな!

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