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【百年ニュース】1921(大正10)5月31日(火) 南満州鉄道の社長に早川千吉郎が就任。前任の野村龍太郎社長,中西清一副社長が,政友会を揺らした満鉄疑獄で引責辞任。後任選びは原敬首相が直接乗り出し,三井合名会社副理事長の早川に託された。副社長は同社理事の松本烝治となった。

南満州鉄道株式会社、いわゆる満鉄の社長に早川千吉郎が就任しました。前の社長だった野村龍太郎,また副社長だった中西清一副社長は政界を揺るがした満鉄疑獄で引責辞任、後任選びは原敬首相が直接乗り出し、三井合名会社副理事長の早川に託された。早川は当時の財界の大物で、満鉄社長としては初の民間人の当用となりました。

また同じく副社長は同社理事の松本烝治となった。松本は戦後の日本国憲法制定にあたり松本試案を出したことで知られている人物です。松本は出張で大連から船の中にありましたが、本人の同意を得ずに副社長就任が発表されました。なかなか荒っぽい人事です。

閣議(官邸),満鉄社長副社長更迭の件は余より詳細閣議に告げて裁可を得,本日直ちに発表したり。去る27日夜10時頃早川千吉郎を招き,内談の結果社長たることの承諾を得,同時に副社長はこの際は理事の筆頭格松本蒸治を挙ぐることとなし(早川も賛成かつ別に意中の人なしと言うにつき),これは本人大連発航海中なるにより, 無交渉にて副社長に任命することとなしたる旨(現に理事なれば本人に交渉の必要理論上にはこれなし),しかるにこの内談はほどなく新聞紙に漏洩し,時事新報に早川採用の旨記載あり,今日に至りては直ちに任命のほかなきことを告げ,閣僚異存なくこれを決定したり。

原奎一郎編『原敬日記 第五巻 首相時代』福村出版,1981年,393頁

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早川千吉郎

松本烝治

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早川忠吉宅1

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吉塚康一 Koichi Yoshizuka
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