【百年ニュース】1921(大正10)8月3日(水) 前日無罪判決の野球八百長容疑選手7名がメジャーリーグ永久追放となる。7名の選手たちは法的責任こそ問われなかったが,八百長行為への関与自体は認めていたため,元イリノイ州連邦地裁判事で初代MLBコミッショナーのケネソー・ランディスは厳しい処分を下した。
米国メジャーリーグベースボールの八百長事件、いわゆるブラックソックス事件の容疑選手7名がメジャーリーグ永久追放となりました。
このブラックソックス事件とは、この2年前の1919年、シカゴ・ホワイトソックス対シンシナティ・レッズで戦われたMLBのワールドシリーズにおいて発生した八百長事件になります。現在のワールドシリーズは4戦先取ですが、当時はひとつ多い5戦先取がルールとなっていました。優勢を予想されていたのは、シカゴ・ホワイトソックスで、賭けのオッズもホワイトソックスのほうに傾いていましたが、予想に反してシンシナティ・レッズが5勝3敗でワールドシリーズの覇者となりました。しかし直後から、シカゴ・ホワイトソックスの主力7選手が賄賂を受け取ってわざと試合を負けたという疑惑が浮上し、刑事告発されるという事態になり米国社会に衝撃を与えました。
そして裁判の途中、大陪審の審問のなかでこの7名が八百長があったことを認めるという事態になりました。これはシカゴ・マフィアの大物でありましたアーノルド・ロススタインという人物が、まず一塁手のチック・ガンディルに働きかけ,そこから徐々にチーム内に拡がっていったという経緯になります。当時のシカゴ・ホワイトソックスのスーパースターだった外野手のジョー・ジャクソンも含まれていました。
当時のニューヨーク・タイムズが伝えるところでは、多くのファンから愛されていたジョー・ジャクソンが大陪審の法廷で八百長を認め、裁判所から出てきたところ、外に集まっていたファンの中にいた一人の少年が「本当じゃないよね、ジョー?」(“It ain’t true is it, Joe?”)と叫んだ。しかしジャクソンはこの少年に「いや坊や、残念ながらそのとおりだ」("Yes, boy, I'm afraid it is.")と応えたという逸話が有名になりました。
この裁判自体は、選手に同情的な世論と陪審によりまして、前日の8月2日に無罪判決がでましたが、元イリノイ州連邦地裁判事で初代MLBコミッショナーのケネソー・ランディスは、7名の選手の法的責任こそ問われなかったが,八百長行為への関与自体は本人たちも認めているという事で,永久追放という厳しい処分を下しました。
なお追放されたのは8名とする言説もありますが、正確には下記の7名です。