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【百年ニュース】1921(大正10)1月7日(水) 駐日ドイツ大使夫人(ハンナ・ゾルフ)が母国の牛乳不足につき語る。ヴェルサイユ平和条約ではドイツに法外な戦後賠償が課され,家畜に関しても乳牛14万頭,羊12万頭の供出が規定された。ドイツでは牛乳価格高騰し子供の発育に不安が発生。

ドイツの子供ら牛乳に飢える 平和条約によって乳牛を仏国に提供するために =ドイツ大使ゾルフ氏夫人語る

ドイツは這般の平和条約によって14万頭の乳牛を提供しなければならぬこととなった。また最近の情報によれば仏国はその条約以外さらに81万頭の乳牛を要求したという。かくのごとき事情のもとに子供に必要な乳を得ることが不可能となった。現に南ドイツの小都会では日々100ℓの牛乳が必要なのに半分または25ℓしかない場合が多い。元来乳牛はドイツでは戦前でも非常に少なく,牛の食物も不足で乳の出方が少ない。加えるに砂糖の欠乏甚だしく目下は戦前より何百倍の騰貴で子供に必要な乳と砂糖とが欠乏しているので,現在ドイツでは子供を十分に養育することが出来ずに,子供の体質漸次退化し,なお人口は次第に減少の徴を示しておる。されば英米その他各種団体では日本の各慈善団体とも交渉し救済策について研究中である。

東京日日新聞(1921年1月8日)

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