【小説】あったらイイナを具現化!モノづくりについて 僕たち若手が語ってみた。vol.06
1日目:容器の歴史について Part.3
『紙容器の歴史』について
(須崎)
次は『紙容器の歴史』について話します。
最初に紙は誰が発明したのかという説明をしたいと思います。
歴史は古く、中国の「後漢書」に105年に蔡倫(さいりん)という人物が、樹皮・麻繊維・魚網などを用いて紙を作り、後漢の和帝に献じたという記載があり、これがルーツとされているんだ。
この紙の作り方が現在定義されている紙に適合する物の中で最古の記録であるとして蔡倫が発明者とされているらしい。
(徳馬)
現在、紙の容器として使われているものは?
(須崎)
紙パルプ製の容器や食器など、ワックスやプラスチックフィルム加工などを施し、水分がもれないようにした物を紙容器と言っているんだ。
(金子)
今のような飲料用として使われる紙容器の始まりは、いつ頃なの?
(須崎)
飲料水用の紙容器の歴史は、1940年頃(昭和15年)にアメリカのエキセロ社が開発した屋根型の物と言われているんだ。その後、1951年(昭和26年)にスウェーデンのテトラパック社が、四面体の紙容器を発明したとのことだ。
(宮地)
それは、日本でも使われてたの?
(須崎)
日本に紙容器が初めて紹介されたのは、このテトラパック社の四面体だったらしいよ。
(宮地)
テトラパック社はどんな会社なの?
(須崎)
テトラパック社は、液体食品の加工,充填の最大手企業なんだ。
(金子)
テトラって何?
(須崎)
「TETRA」は「tetrahedron(四面体) 」という英単語が基になっていて、三角形が4枚くっついた『四面体』という形は、テトラパック社における最初の液体食品用紙容器の形状(1952年(昭和27年)に販売が開始)。現在は「テトラ・クラシック(TC)」と呼ばれている四面体の容器を発明したのが、ルーベン・ラウジング(Ruben Rausing)。彼はテトラパックの創設者なんだ。テトラパックがスウェーデンのルンドで設立されたのは1951年のこと。
(徳馬)
日本でも知られているの?
(須崎)
テトラパックの製品は、日本でも昔から親しまれている。四面体の紙容器に入った(「三角パック」「テトラ牛乳」とも呼ばれる)牛乳は、1956年(昭和31年)に日本で初めて発売されたんだ。学校給食で提供された為、俺たちの親世代の多くの人が記憶している形らしいよ。
【参考情報】
日本テトラパック株式会社が設立されたのは1962年(昭和37年)10月、1971年(昭和46年)には静岡県の御殿場に工場が新設された。
(金子)
日本でもお世話になっていたんだね。
(須崎)
紙容器が日本国内に流通するのは、それから20年程後になってからの事になり、その後、六面体の物も開発されて、紙容器は急速に普及して行く事になったんだ。
(宮地)
その他食品では使われてなかったの?
(須崎)
紙容器の短所があったんだ。
・耐水性が無い。
・防湿性が弱い。
・ガスバリア性が弱い。
・耐熱熱性、特に耐湿熱性が弱い。
・防虫性が弱い。
・耐圧耐衝撃性が弱い。
紙容器は、このような問題点を解決する為、プラスチック・フィルムや金属箔などとの積層材の形成や塗工(コーティング)技術が必要となり、それら技術が確立される事により、食品容器として紙が数多く使用されるようになったんだ。
紙容器のブレークスルーには、プラスチックをラミネートする技術の進化が関係していたんだ。
最後に
紙コップの歴史だけど、紙コップは20世紀初頭にアメリ力が発祥と言われている。昔、アメリカでは長距離列車内で飲料水を飲む時は銅製などのカップが共同利用されていて、疫病伝染に関係しているとされ、対策として衛生的な紙コップが作られ、使用されるようになったと言われている。その後、1908年(明治41年)に紙コップ式飲料水自動販売機が開発され、ホットコーヒー用自動販売機も1946年(昭和21年)に誕生。このようにアメリカの生活に紙コップは浸透していった。
日本で紙コップが製造されたのは、1930年(昭和5年)アイスクリーム用紙コップの原形となる紙製のアイスクリーム容器製造機が東洋製罐により開発されたとの事です。第二次世界大戦前の昭和10年頃には、日本初のアイスクリーム用紙コップの生産が始まり、飲料用紙コップから始まったアメリ力とは違い、アイスクリーム用カップが最初となった。
日本で飲料用の紙コップが使用されたのは、1954年(昭和29年)当時のアメリ力進駐軍にコールド飲料用の紙コップを納品したのが始まりとの事です。その後、ビール・ジュース・コーヒー用と紙コップが劇場・野球場・遊園地などの国内市場にも出荷されるようになった。
次は『金属容器の歴史』について、金子さんお願いします。
★次回:1日目 容器の歴史について
金属(缶詰)容器の歴史(vol.07)
へつづく。
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