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【小説】あったらイイナを具現化!モノづくりについて 僕たち若手が語ってみた。vol.23

4日目:それぞれのまとめ Part.3『紙容器のまとめ』

(須崎)
次は、4日間の紙容器の内容をまとめます。

①歴史
・紙の歴史は古く、中国の「後漢書」に105年に蔡倫(さいりん)という人物が、樹皮・麻繊維・魚網などを用いて紙を作り、後漢の和帝に献じたという記載があり、これがルーツとされている。(蔡倫が発明者とされているらしい)

・紙の容器とは、紙パルプ製の容器や食器など、ワックスやプラスチックフィルム加工などを施し、水分がもれないようにした物を紙容器と言っている。

・飲料水用の紙容器の歴史は、1940年頃(昭和15年)にアメリカのエキセロ社が開発した屋根型の物と言われている。その後、1951年(昭和26年)にスウェーデンのテトラパック社が、四面体の紙容器を発明したようだ。

・日本に紙容器が初めて紹介されたのは、このテトラパック社の四面体だったらしい。テトラパック社は、液体食品の加工,充填の最大手企業である。

・テトラパックの製品は日本でも昔から親しまれ、四面体の紙容器に入った(「三角パック」「テトラ牛乳」とも呼ばれる)牛乳は、1956年(昭和31年)に日本で初めて発売された。学校給食で提供された為、俺たちの親世代の多くの人が記憶している形らしい。

・紙容器が日本国内に流通するのは、それから20年程後になってからの事になり、その後、六面体の物も開発されて、紙容器は急速に普及して行く事になった。

・紙容器には、短所があった。(耐水性が無い。防湿性が弱い。ガスバリア性が弱い。耐熱熱性、特に耐湿熱性が弱い。防虫性が弱い。耐圧耐衝撃性が弱い。)

・紙容器は、このような問題点を解決する為、プラスチック・フィルムや金属箔などとの積層材の形成や塗工(コーティング)技術が必要となり、それら技術が確立される事により、食品容器として紙が数多く使用されるようになった。

・紙容器のブレークスルーには、プラスチックをラミネートする技術の進化が関係していたようだ。

・紙コップは、20世紀初頭にアメリ力が発祥と言われている。疫病伝染の対策として衛生的な紙コップが作られ、使用されるようになったと言われている。その後、1908年(明治41年)に紙コップ式飲料水自動販売機が開発され、ホットコーヒー用自動販売機も1946年(昭和21年)に誕生。このようにアメリカの生活に紙コップは浸透していった。

・日本で紙コップが製造されたのは、1930年(昭和5年)アイスクリーム用紙コップの原形となる紙製のアイスクリーム容器製造機が東洋製罐により開発されたのが始まりとされている。

・日本で飲料用の紙コップが使用されたのは、1954年(昭和29年)当時のアメリ力進駐軍にコールド飲料用の紙コップを納品したのが始まりとの事。

②素材(材料)
・紙の原料は、木材と古紙がほとんどを占めている。木材が紙の原料となったのは、19世紀後半のことで、それより前は、非木材植物原料が主流だった。

・近年ではケナフ、サトウキビ、タケなどの非木材植物が注目されてる。

・紙の原料である植物繊維細胞壁の成分は、セルロース・ヘミセルロース・リグニンに細分される。

・紙の製造には、大きく分けて2つの工程がある。(①パルプをつくる工程。②紙を作る工程。)

・パルプとは、紙を作る元となる繊維の事。主に木材や草などの原料から、この植物繊維を取出す。身の回りにある紙は、ほぼこうした植物から作られている。

・パルプには、木材パルプや非木材パルプ、古紙パルプ、合成繊維パルプなどの種類があり、それぞれで原料が違い、中でも木材パルプの原料は、針葉樹や広葉樹が中心のようだ。

・紙の製造ラインは、先ず木材から繊維を取出し、木材を高温高圧の釜の中へ薬品と一緒に入れて煮込み、木の中に含まれる“リグニン”を溶かす。

・リグニンとは、木材の接着剤のような役割を果たす成分。その為、リグニンを溶かす工程を踏む事で、繊維がバラバラな状態になる。

・釜で煮込んだ後は、異物などを取り除く為に洗い流してクリーナーを掛ける。そして最後に、漂泊と洗浄の工程を踏み、紙を作る為の材料となる白いパルプの完成ということになる。

・パルプは、製法により“機械パルプ”と“化学パルプ”の2種類に大きく分けられる。

・完成したパルプから紙を作る工程の概要(パルプの叩解(こうかい)→抄紙(しょうし)→仕上げ)やっと紙が完成する。

③製造方法
・紙コップの作り方についての話。

・自動販売機用の紙コップは、100%パルプの原料紙にラミネート加工、印刷、底紙スリッター、打抜き、成型などの工程を経て製造されている。

①ラミネート加工
・ポリエチレンのペレットを押出機でフィルム状に成形しながら原紙(紙)と貼り合わせる。

②印刷
・ラミネート加工したシートの裏面に印刷を行う。

③打抜き
・機械で扇形に打抜く。

④スリット
・1m幅のラミネート加工紙を切断する。

⑤底紙打抜き
・(ここから成形機での組立作業)、底部の打抜き、絞り込み、組付け。

⑥胴部の接着
・胴部を加熱し、圧着させる。

⑦底仕上げ
・底部加熱、折り曲げ、圧着。

⑧カーリング
・回転させながら口部の仕上げを行う。

⑨計数
・自動計数機で数える。

⑩検査
・抜き取りで漏れチェックを行う。

⑪箱詰め
・箱詰めし出荷。

以上のような工程で紙コップは作られている。

④市場動向
・主な紙パック使用メーカーは14社。日本製紙クレシアが31%を占めている。

・主要の飲料容器別市場の調査を見ると、2017年の主要飲料容器市場規模は国内出荷量ベースで、前年比0.4%減の752億2000万本との事。2018年は、0.5%増の755億6400万本を見込む。前年に引き続きPETボトルが5.1%増で好調、紙カートンは1.1%増の微増となっている。

・これまで紙カートン市場は、シンプルな市場構図で、例えば牛乳に対し、日本製紙、日本テトラパック、北越パッケージ、石塚硝子の4社がゲーブルトップ型紙カートンで競合し合う。

・ブリック型の紙容器では、日本テトラパックと日本製紙が競合している。

・アルコール用バリアカートン市場では、凸版印刷と大日本印刷(DNP)でしのぎを削っている。

・こうしたなか、市場が表層上で大きく動いたのは、2016年に日本製紙、大日本印刷、北越パッケージが各々海外有力企業と提携したことにある。

・各社の戦略は明確に異なり、日本製紙は先ずはチルド流通向けでのポジショニング強化を目指しているようだが、大日本印刷と北越パッケージは常温流通用のアセプティック(無菌充填)容器を活かし、新たな事業創出を進めているようだ。

・2019年の製紙・パルプ業界の世界市場シェアトップ10に王子製紙と日本製紙の2社が入っている。

・2019年の製紙パルプ業界の市場規模は、3500億ドル(約38兆円)とのこと。

・紙パックの回収率(2018年)の概要
①紙パック回収率は、42.5%。
②飲料⽤紙パック原紙使⽤量は223.0 千t。
③国内出荷の飲料⽤紙パックは193.3 千t。
④国内紙パック回収量は94.7千t。

このうち使⽤済み紙パック回収量は、
65.5千t。

(須崎)
 紙容器のまとめは、これで終了します。
次は、金属容器のまとめを金子、
お願いします。

次回‥
4日目:それぞれのまとめ 
    Part.4(金属容器)

#小説 、#あったらイイナ、#モノづくり、#容器

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