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さおりんと私

さおりんから二人展をやりませんか?と誘われた時、正直どう返答していいかわからなかった。私はコロナ禍に入り、全く写真が撮れなくなっていたからだ。全日在宅勤務で外に出る必要がない、現像ラボはお休み、旅行も行かない。愛犬の散歩に近くの公園には毎日行っていたが、犬の歩くペースは気まぐれで、カメラを持っていっても写真を撮るなんて夢のまた夢。そうこうしているうちに、制作の重心がうちで作業が完結できる織物に自然と移り、カメラを持ち歩かなくなってしまった。
昨年の秋くらいからカメラを持って出かけられるようになったのは、友人からもらったカメラがきっかけだった。ピントも露出も自分で決めてぱしゃっとシャッターを切る。このペースが今の私にはちょうど良かった。今年の春はそのカメラを持って石巻に羊の毛刈りを見に行き、見学がてら写真を撮ったが、やっと写真を撮ることって面白いよなぁと思えるようになったのだ。
そんな私に二人展のオファーがあるとは思えず、いったいさおりんは何の話をしているのだろうか?と思ったわけだ。ただ何回かメッセージをやりとりしているうちに、テーマが「食」ということ、会期までの時間をゆったりとって構想をきちんと練れること、さおりんがどうして私なのかということを真剣に話してくれたこと。そんなことがきっかけとなり、これなら私にもできるかもしれないと思えるようになってきた。そして気持ちが二人展をやってみようかな?という方に向き始めると、往復書簡のようなものをさおりんとやってみたいなぁという気持ちがむくむくとわいてきた。二人展のアイデア帳になるかもしれないし、ただただなんの脈絡のないことを延々と綴っているだけかもしれない。それでもさおりんとこの往復書簡のようなやりとりを通じて、なにかさおりと私の中で新しいものが生まれるような気がしてならないのだ。その新しいものが生まれるチャンスを逃さないよう、こうやってこのnoteに綴っていけたらいいなと思っている。

二人展をやるとはっきり決めたら、久しぶりに食の写真を撮ることができた。ドライトマトにしようと、ブラジルミニトマトを切った写真。
ああ、そうそうこの感覚!懐かしくてそしてとても新鮮だった。

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