ざっくりと超音波治療について
スポーツ現場や接骨院でよく見かける超音波治療機器。超音波治療と聞くと、ひんやりとしたジェルの感触や、「ポーン」という心地よい効果音を思い出す方も多いのではないでしょうか。
今回はおそらく世間的にはあまり知られていないであろう、超音波治療に効果などについて簡単に解説していこうと思います!
①超音波が効くメカニズム
超音波の効果は大きく①温熱効果②非温熱効果に分けられます。
温熱効果は超音波によって、体内の組織で熱が発生することにより得られます。
非温熱効果は超音波の音圧によって、体内の組織に音響流や微小流、キャビテーションが生じることによってもたらされます。
めちゃくちゃ簡単に言うと、温熱効果は超音波による振動で体内の組織に熱が発生することで得られます!
非温熱効果は超音波が体内の組織を音圧で掻き乱すことにより生じます!
②温熱効果
超音波は皮膚を通り越して身体の深部に届き、腱や靭帯、関節包、筋膜、筋組織中の瘢痕組織といった、コラーゲン含有量の多い組織を振動させて温熱効果をもたらします。
この温熱効果を用いて、上述した組織へのストレッチング(短縮の改善)や、痛みの軽減のために使用されます。
最大の特徴はホットパックなどの表在性温熱療法と比べ、より深部(体表から2〜5cmの深さ)まで温熱効果が発揮できるところです!
※コラーゲンが少ない組織には温熱効果を目的とした超音波はあまり効果がありません。超音波が吸収されず、温熱効果をもたらすまで振動することができないからです。
なので瘢痕化していない筋肉に温熱効果を目的とした超音波を行っても、思ったより効果を得られないことが多いです。
③非温熱効果
超音波が体内の組織を音圧で掻き乱すことにより、音響流や微小流、キャビテーションが生じます。これらは細胞膜の透過性(物質の通過しやすさ)を変化させることができ、これにより組織の治癒促進や炎症の緩和といった効果が現れます。
また、温熱効果を出す超音波は連続照射という方法で行いますが、非温熱効果は連続照射の20%以下のパルス照射にて行います。
こうすることで、超音波から温熱作用を除外して治療に用いることができます。なのでケガをした直後で炎症が強い時期にも、組織修復のための効果を最大限享受することが可能になります!
④注意点
超音波は安全な治療方法ですが、他の治療法と同様にやはり禁忌があります。
以下が主な禁忌です。
①悪性腫瘍がある方
②妊娠中、胎児に超音波が直接届く可能性の
ある場所(腹部、骨盤周辺など)
③ペースメーカー埋め込み部位
④血栓のある部位やその周辺等
⑤中枢神経組織(脳、脊髄)
⑥眼球
⑦関節セメントや合成樹脂
⑧生殖器官
超音波療法は適応を理解して正しく用いれば、多くのケガに対して非常に効果的な治療方法です。
超音波治療に際して不安な点やご質問があれば、必ず施術者に質問をしたり、予め医師に確認をとってください!
文献
・EBM 物理療法 原著第4版