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二コラ・ストレッリとダニエレ・ザンジ: 科学者を夢中にさせる湖 TED Talkより

二コラ・ストレッリとダニエレ・ザンジ: 科学者を夢中にさせる湖

太古の昔、地球上で最も危険な気体は「酸素」でした。それまでの生物は、酸素を嫌っていたのだそうです。しかし、30億年前、光合成を行う細菌が酸素を排出し始め、それまで生息していた生物をほぼ全滅し、酸素呼吸をする生物にとって代わられたのです。

そして、地球上には、その酸素を嫌う微生物が再び生息している場所もあるのです。例えば、スイスアルプスのピオーラ渓谷のカダーニョ湖です。

Roughly 3 billion years ago, a single-celled photosynthetic bacterium began burping a new chemical that was poisonous to nearly every species on Earth.

およそ30億年前、単細胞の光合成細菌が、新しい化学物質を放出し始めました。それは地球上のほとんどの生物にとって毒となるものでした。
"Burp" は英語で「げっぷをする」という意味です。ただし、比喩的に使われる場合、「少量を放出する」「ぽつぽつ吐き出す」 といったニュアンスで使われることがあります。

However, there are some places where oxygen-averse microorganisms, like those from Earth's earliest days, have re-emerged.

しかし、地球の初期の時代に存在していたような酸素を嫌う微生物が再び現れた場所もあります。
"Averse" とは、「嫌っている」や「反対している」という意味の形容詞です。具体的には、ある物事を避けたい、または強い拒否感を持っていることを表します。

But there are other bodies of water completely devoid of oxygen, yet close enough to the surface to explore.

しかし、酸素が完全に存在しない一方で、表層に近く探索可能な他の水域もあります。
"Devoid" は「~を欠いている」「~がまったくない」という意味の形容詞です。通常、"devoid of ~" の形で使われ、何かが完全に欠けている状態を表します。
この場合の "yet" は、「それでも」「しかしながら」 という対比や逆説を表す意味で使われています。


Lake Cadagno is one of roughly 200 known meromictic lakes, meaning it's actually two distinct bodies of water stacked on top of each other.

カダーニョ湖は 世界に約200カ所ある 部分循環湖のひとつで 湖水は 性質の異なる水の層が 実に2つ積み重なっているのです
"Meromictic" は、湖の分類において使われる専門用語で、「成層した湖」または「層が混ざり合わない湖」を指します。
通常の湖では、季節的な温度変化や風によって湖水全体が混ざり合う(全循環する)ことがありますが、meromictic lakes(成層湖) では、特定の理由で水の層が混ざり合いません。これにより、湖の上層(酸素が豊富)と下層(酸素が乏しい、または全くない)が明確に分かれるのが特徴です。


The top layer functions like a standard body of freshwater.

上層は淡水域で 一般的な湖とほぼ同じです


It’s safe for swimming and known mostly for a plump and plentiful fish population that’s been the subject of local fishing legends for centuries.

人が泳ぐことができますし 肉付きの良い魚がたくさん集まるので 地元の釣り人の間では何世紀も前から とびきりの釣り場として有名でした。

"Plump" にはいくつかの意味があります。

  • 形容詞「丸々とした」「ふっくらした」

  • 動詞「太らせる」「ふっくらさせる」「ストンと落ちる」

  • 副詞「まっすぐに」「急に」

But just 13 meters beneath that bounty is a dense, sulfurous, oxygen-free pool lethal to any multicellular life forms, fish included.

しかし、その恵みのわずか13メートル下には、濃密で硫黄臭く、酸素がまったくない水域が広がっており、魚を含むすべての多細胞生物にとって致命的な環境となっています。

"Bounty" には以下のような意味があります。
「恵み」「豊かさ」「寛大さ」
「懸賞金」「報奨金」


Both layers are fed by rainwater flowing down the mountains, however, this water can take two paths.

両方の層は山を流れ落ちる雨水によって供給されていますが、この水は2つの経路をたどることができます。


The first is to trickle down the granitic mountain directly into the top layer.

1つ目の経路は、花崗岩の山を伝って直接上層に流れ込むことです。
"Granitic" は、「花崗岩の」または「花崗岩に似た」という意味の形容詞です。


The second is to seep into the Piora Valley’s vein of dolomite— a porous rock full of salts such as sulfate.

2つ目の経路は、ピオーラ渓谷にあるドロマイト(硫酸塩などの塩分を多く含む多孔質の岩石)の層に染み込むことです。

"Vein" には以下のような意味があります。

解剖学: 「静脈」「血管」
地質学: 「鉱脈」「層」
植物学: 「葉脈」
比喩的: 「傾向」「特徴」


Rainwater that sinks into the dolomite will slowly inch towards the lake, all the while shedding its oxygen and picking up salts.

雨水はドロマイト(苦灰石)の中に染み込みながら、ゆっくりと湖に向かって進んでいきます。その過程で酸素を失い、塩分を取り込んでいきます。
"Inch towards the lake" は、「湖に向かって少しずつ進む」と訳せます。


Finally, this heavier water will cascade from sublacustrine springs below the lake’s surface, forming the dense, salt-rich bottom layer.

最後に この重い水は 湖の水面下にある亜寒帯泉として 噴き出してから湖底を伝って 塩分が豊富で密度の高い下層を形成します

"Cascade" には以下のような意味があります。
名詞 (Noun)「小さな滝」または「段々状の滝」「連続的な動き」または「連鎖反応」 
動詞 (Verb)「滝のように流れ落ちる」「連続的に広がる」

"Sublacustrine" は専門用語で、「湖底の」「湖の下にある」 という意味です。

The flow from the sublacustrine springs creates microenvironments which feed large aggregates of microorganisms that emerge from the lakebed in strange and otherworldly shapes.

湖底の湧水からの流れは微小な環境を生み出し、そこから湖底から出現する奇妙で異世界のような形状をした微生物の大集団を育んでいます。
"Aggregate" には名詞、動詞、形容詞としての意味があり、文脈によって解釈が変わります。
名詞 (Noun)「集合体」「集団」「総計」
動詞 (Verb)「集める」「集合する」「統合する」
形容詞
(Adjective)「総計の」「集まった」


This unique ecology is more than just a boon for Cadagno’s fishermen.

この独特の生態系は、カダーニョ湖の漁師たちにとっての恩恵以上のものです。
"Boon" は、「恩恵」「恵み」「助けになるもの」といった意味になります。


*アルプスの湖のイメージでChatGPTさんに描いてもらいました。

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