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「一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書」 山崎圭一 著 SBクリエイティブ

年号や年代を使わず、政権担当者毎に、その時何があったのかを示し、次の政権へどのように移行していったのかが書かれているので、古代日本から現在日本までの流れが理解しやすいです。これが高校の教科書だったら歴史の勉強も楽しかっただろうに・・・って思います。歴史はつながりですね。過去があるから今があり、今があるから未来があるわけです。流れが分かることが大事で、知りたかったら後から年号を覚えればいいんでしょう(ちなみにこの本では、本文では年号が出てきませんが、巻末に主要な年号が一覧表でまとめられています)。


改めて色々整理ができました。統治者の呼び名が正式に「天皇」となり、国号を「日本」と称するようになったのは天武天皇の頃、つまり7世紀後半辺りからなんですね。しかも、天皇が実質的な統治者だったのは、一時期のこと(6世紀から14世紀あたり:継体天皇〜後醍醐天皇)ということ。それなのに、ずっと実質的な権力を持たないまま象徴的存在として存続し続けているということに、今更ながら驚きます。事実かどうかわからない万世一系という概念の中に、日本人としてのアイデンティティを見たいのかもしれませんね。それが、単に想念であったとしても、あるいは幻想であったとしても。


この本は、近現代の歴史にかなりのページが割かれています。そこが、なかなかいい。近代以降の世界は複雑怪奇です。トップの責任は重大です。決してなくならない権力闘争の中で舵取りをしていくのは、困難極まりないことです。能力のない人が首相になったら目も当てられません。例えば、戦争回避の可能性があった時に「国民政府を相手にせず」と向こう受けを狙った声明して、チャンスを逃してしまったなどです。


この著者の世界史も面白かったです。


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