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「ホテル・ピーベリー」 近藤史恵 著 双葉文庫
ハワイ島は、ハワイ諸島の中で最も大きな島です。ハワイというと、「常夏の・・・」という言葉が浮かびますが、ハワイ島は、世界の13の気候区の11が存在する場所なので、寒帯や砂漠やツンドラもあるのだそうです。ホノルルのあるオアフ島とはずいぶん違います。
「ホテル・ピーベリー」は、ハワイ島にある6室しかない小さなホテルで、瀬尾和美と洋介という夫婦が経営しています。このホテルには、奇妙なルールがあります。それは、「リピーターは受け付けない」というものです。
ピーベリーとは、ある特殊なコーヒー豆のことです。通常のコーヒー豆は、1つの実の中にコーヒー豆となる生豆が2粒向き合うように入っている平豆(フラットビーン)と呼ばれる楕円の形状のものです。コーヒー豆の中には、実の中に種子が1つしか入っておらず、丸い形をしたコーヒー豆があります。これはピーベリーと呼ばれる豆です。
このホテルの名前が暗示的です。・・・が、この名前をいつつけたのか?なぜつけたのか?は、本を読んだ後もナゾのままです。僕の読みが浅いのか・・・。
主人公の木崎淳平と、偶然同じ日に宿泊した桑島七生、そして佐奇森、蒲生、青柳といった男性宿泊客が登場人物です。
登場人物は、全員何かしら嘘をついています。あとはネタバレになるので内緒。
ミステリーなのだけど、なんだかふわっとした感じで読めた小説でした。
しかし、「全員何かしら嘘をついている場所」というのは、日常の社会そのものがそんな感じですよねと思いました。心の底から自己一致した真実なんて、ほんの少ししかないのかもしれません。
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