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「どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか」 みうらじゅん、リリー・フランキー 著 新潮文庫
この本は、電車の中で読んではいけません。隣に座っている人から怪訝な顔で見られるでしょう。
みうらじゅんとリリー・フランキーの対談です。文中に放送禁止用語が出てくる出てくる。取り扱い注意の本です。
「未来の話をどんなに頭を使って考えても、全部は当たっていないんだって学校で教わってないから、ついつい悩んじゃうんだよね。」みうらp.10
大人たちは、断定的に未来を語ります。でもその多くは外れます。1980年代は、「21世紀は、日本の世紀だ!」なんて言ってましたしね。
「その人たちが無理やり楽しもうとしている姿とか、楽しまなきゃ損みたいな考え方はなんかイヤなんです。」リリーp.22
無理やりがよくない。しらけちゃうんだよなぁ。
「クイズ王とかがイマイチ利口に見えないのは、知識を持っていても教養があるように見えないからでしょ。2福沢諭吉も、人間が持っていないと恥ずかしいものは「教養」であって、「知識」だとは言ってないんですよ。」リリーp.31
「知識」は、A Iに任しちゃえばいい。
「例えば「スニーカーに詳しい」とか、「DJではないけどアナログ盤をいっぱい買ってて音楽に詳しい」とかって言ってるけど、そいつらが新しいファッションを作るわけでも、いい曲を作るわけでもなく、むしろ、その知識がその人たちの可能性の邪魔をしてるんですよね。」リリーp.31
なるほど。知識を集めることばかりじゃぁ、創造性は、どこかに行ってしまいます。
「7、8年前に1原発の広告の仕事が来て、すごいお金がよくて……。クラッとする金額ではあるけども、よくよく考えると、そんなことまでしてお金ほしくないってやっぱり思うんだよね。原発について真剣にそれを考えたことはないけど、何も考えずに乗っかってお金をもらうことは、それは自分の意に反してるって、すごい思うんだよなぁ。」みうらp.54
同感です。何も考えずに乗っかりたくはないです。
この本は、東日本大震災の直前に出版になったので、この発言はとても暗示的です。
「いつでも喧嘩できるチャンスのある人のほうが恋愛みたくワクワクするんだよね。」みうらp.85
「何かに対して怒りみたいなものを覚えなくなるという感覚が、人としては一番死んだ状態だと思うんですよね。」リリーp.86
怒りは大事な感情だと思います。最近妙に、皆さんお行儀のいい、良い子ちゃんになっていないかなと思うことがあります。空で鳥が「Wake Up!」て鳴いているかもしれません。
「天才のことは。凡人にわかるのは秀才までなんです、あの人は才能があるって。天才もいつかは認められるんだけど、天才を最初に気づくのは絶対に天才本人ですよ。だからやめないんじゃないですか。」リリーp.116
僕はかつてよく「俺は天才だ!」と宣言しておりました。
友人たちは「じゃあ、お前は、いったい何の天才なんだ?」と聞いてきました。
僕は、「『何の天才か?』などとは、凡人の問いである。俺自身という存在が、すでに天才なのだ。強いて言えば、『向後善之』という存在に対する天才なのである」とのたまわっておりました。
「運とかタイミングの前に、まず縁があるじゃないですか。」リリーp.130
「もっと言うと、会った人のことが好きになれるかどうかが運だと思うけどね。」みうらp.130
運というものは、誰かとの関わりの中で生まれるかもしれないものですね。誰かとの関わりが何もなければ、運は開けない。それが、運がいい結果になるのか運が悪い結果になるのかは知りませんが。
「昔よくあったのは、10年ぐらい前にオレが書いたことが今、流行りだしたなっていう感覚。」リリーp.131
「まだ時代に抜かれてない証しだってことで。未来が待ってる。」リリーp.131
時代に抜かれていないのなら、やがて時代が追いついてくる、あるいは、僕が減速して時代を迎え入れるかもしれませんね。
「ゆるキャラだって、みうらさんと同じように面白いって感じてた人はいただろうから、「オレ、みうらじゅんより前から面白いと思ってたんだよね」っていうヤツもいっぱいいると思う。でも、それは行動しなかったヤツであって、言うだけ悲しい。」リリーp.142
これ、やらかしちゃってますね。反省〜。
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