
企業のX公式アカウントってインプ減ってる問題を考えてみた
ソーシャルメディアへの投資は増加傾向
こんにちは!カラビナハート株式会社の吉田啓介です。
2024年の広告費の実績、2025年度の見込みがまもなく発表される時期。
人口は減っているのに広告予算は毎年増えている不思議がありつつも、特にSNSでは2024年見込みでも前年比113%、2029年は2兆を超えてくるそうです。生活者が過ごす場所としてもより重要になり、我々「情報を伝えたい側」としても重要なチャネルの一つであるのは間違いありません。

X企業公式アカウントのインプが出にくい?
何でもできちゃうSNSゆえに、今の活動は正しい方向に向かっているのか不安になりますよね。
そんな中で「最近、公式アカウントのインプが前より減ってるんです」と相談をいただくことが猛烈に増えました。
おそらく多くのXアカウント担当者さんが感じていることかと思います。みなさんのアカウントはどうですか?
・フォロワー数は増えているのにインプレッションの前年比が低い
・インプレッション数を増やすにはエンゲージ数が重要なので増やす取り組みをしている。エンゲージ数は増えているがインプレッション数は相関して増えない
といった事が起きているようです。
事実、「インプレッション数が過去と比較して増えにくい」のは間違いなさそうです。

様々な業種で代表的と言える公式アカウントの2024年9月実績を前年同月と比較した表です。エンゲージ数は外から見えるいいね、リポスト、リプライの3項目だけ確認しました。
インプレッション数は減少、エンゲージ数は増加しているアカウントが多いです。多くの担当者さんは「エンゲージ数が増えればインプが増えるはずだ!」と信じて取り組んでいらっしゃると思いますが、関係性は薄れているようです。
みなさんが運用しているアカウントはいかがですか?
X公式アカウントのインプ前年比が低いのはなぜ?
Xの利用者が減っていない、ユーザーのXでの滞在時間が減っていないことを前提として、主な要因として2つあると考えています。
ひとつめは収益化。2023年7月より、得られたインプレッション数に応じてX社から報酬がもらえる仕組みがスタートしました。
これが影響としては大きいと感じます。
ちまたではインプレゾンビとも揶揄されますが、法令や社内規定を順守した発信をせざるを得ない企業アカウントと比べてもインプレッションを得るには優位性が違います。
何より匿名であり、著作権など一切考慮せず、過去に誰かがバズった内容を焼きまわしして再活用していることも多いですよね。
その結果、エンゲージが集まるそれらの投稿が優先的に表示されて、企業公式アカウントのポストが表示が減るのはごく当たり前のことのように感じます。
もう一点は、アルゴリズムの話です。
公式SNSの月次の振り返りとして「アルゴリズムの変更影響」というのをよく耳にしますが、個人的にはダウトと思います。
アルゴリズムが変わったことで「みんなのインプレッションが減る」ことはなくて、アルゴリズムが本当に変わったとしたら、自アカウントの価値が相対的に下がったのが正しい評価です。
アルゴリズムはプラットフォーマーが「変えました!」とは言ってくれないので推測ですが、
Instagramなど他SNSでも重要度が増している「アカウント同士の関係性」をより評価しているのだと感じています。
あなたが見逃したくないのはどちらですか?
A:リアルでも親しい友人の投稿
B:月に1回行く飲食チェーンの投稿
多くの方が「A」と答えますよね。
X社としてもユーザーに長くXで過ごしてもらいたいので、そのアカウントにとって身近な人の投稿を優先表示させるでしょう。
お互いにいいねし合っている、リプライで会話をしている、タグ付けで一緒に過ごしていた、DMで会話をしている…あたりで双方の関係性を見ていると想像します。
収益化ってどんな感じ?
世の中の総インプレッション数のうち、収益化を目指したアカウントが占める割合が増えてきた話をしました。
私生活でもXに触れている方であればおすすめに「今月の収益報告!」なるポストを見かけることもありますよね。
では収益化って実際はどのくらいもらえるのか?
それは簡単なのか?
についてお話します。同じXで過ごしているはずなのに、収益化を目指す人と公式アカウントを運用する人は違う世界線にいるかのように、接する機会は少ない気がします。
実例をあげるのがわかりやすいので、たまたま…偶然の偶然で私が初めて収益を得た話をサンプルにしますね。
普段は収益化なんて考えてもいなかったし、個人アカウントでインプレッションを増やすための努力もしていなかったのですが
偶然にも実体験できて「収益化」を少しだけ理解できたのでおすそわけです。
Xの収益化。1imp=いくら?
こういうアイデアを出して実行した人の給与が上がる世界でありますように。 pic.twitter.com/Awyif9KqX1
— よしだ けいすけ (@ruiji_31) January 4, 2025
2025年1月になにげなくした上記のポストが広く拡散されて、1.3万リポスト、12.5万いいねとなり、インプレッション数は498万を超えました。コピス吉祥寺という百貨店で買い物をして、紙袋を買って入れてもらいさて帰ろうとした時に見つけたのがこちら。
紙袋のリサイクルです。
ステキだと思ったので写真撮って、エスカレーターで降りながらササッと投稿。
一生懸命考えても無風の時が多いのに、3秒くらいでポストしたものが広がるのもXの面白さです。
この投稿のおかげで、収益化条件の中でも最も厳しいと言われる「過去3カ月で500万imp以上」がクリアできて収益化対象のアカウントとなりました。

「収益配分をする」を通知が来て、登録していた口座に振り込みがあります。
達成した時点から2年間さかのぼって(親切!)その分の対価がもらえる仕組みのようです。
ちなみに私は$574だったので日本円で9万円弱。

で、やったことの対価として、コスパはいいの?悪いの?
…気になりますよね。
Xのアナリティクスは1年前までしか振り返りができないのでやや精緻さに欠けますが
2年間のインプレッション数に対する報酬:89,544円
2年間のインプレッション数:約10,760千imp
1impあたり:0.008円
なるほど…1,000impで8円。ヒットを連発するか、バズっている投稿にリプライしまくるか…を考えると個人的には効率が良いとは感じられないのが本音。とはいえ知らぬ間にもらえるのは嬉しいです。
以上がXの収益のリアルでした。
2023年7月から始まり、少しずつ収益を狙う人も増加傾向と感じます。ゆえに、2024年9月実績と前年同月を比べると多くの企業アカウントがインプが減った現象が起きました。
個人アカウントが工夫すればお金がもらえることで、世の中の総インプレッションの取り合いが起きていることも理解いただけたかなと思います。

これからの公式アカウントの生きる道
整理します。
<今起きていること>
・企業公式のインプレッションが過去と比較して減った
・ただしエンゲージメント数は増えているケースが多い
・2023年7月からインプレッション数に応じて報酬がもらえる仕組みがスタート
・収益化を目指す個人アカウントがインプレッションを多く得るようになった
じゃあどうする?ですが、個人的にはあまり気にしなくて良いと思っています。
もちろんプラットフォームの特性やアルゴリズムを踏まえて運用することは大切ですが、Xも基本的にはユーザーに長く過ごしてもらえることをゴールに設計しているでしょう。
その考え方は企業アカウントがやりたいことと相反するものではないはずです。
方向性を迷った時は
このアカウントの目的ってなんだっけ?
に立ち返りましょう。それを考えた時に、少々アルゴリズムが変わっても、発信する内容やX上ですべき行動は変わらないはず。
もしアルゴリズムの改変のたびにやることを変えているのであれば、目的自体が見失っている気がします。
とはいえとはいえ。
やっぱり大切にするのは受け手との双方向性。
<大切にしたいこと>
・一方通行ではなく双方向性
・コミュニケーション(リプライへの返信、いいねで返す、引用するなど)
なのかかと思っています。
以上です。最後まで読んでくださってありがとうございます。
普段はカラビナハートという会社でSNSなどのコミュニケーション中心としたマーケティング支援をしています。
何か気になることあれば連絡くださいね!
普段はX(旧Twitter)にいます。