面接で固まってしまう理由。それは自分の本能が固めてしまっているから
どうも。ボイトレをさせないボイストレーナーのヨシ・トクガワです。
40代の男性Kさんがレッスンにきてくれたときのことです。
「面接で固まってしまって、いつも声が出しづらい」という相談をしてくださいました。
これまでにも転職活動や昇進試験などで何度も面接の経験をしてきたそうですが、何度やっても慣れることができず、いつもカラダが固まってしまって声が出しづらかったり、思うように話すことができないそうです。
今回のレッスンでは、他の参加者の方に協力していただいて面接官役をやっていただきながら、面接のシチュエーションを取り上げてすすめていきました。
さて、カラダの使い方を変えると声やメンタルにどんな変化が起きたのでしょうか?
1. いつも通りにやってみる
私たちが何かをするとき、私たちのカラダでは必ず動きが起きています。何もしていないときですら、少なくとも呼吸はしているのでカラダで動きが起きていない時間はありません。
もちろん面接の時も同じです。
座って身動きせずにじっとしていたとしても、カラダは動いています。ましてや、声を使って自己紹介したり、面接官の質問に答えるわけですから連続して動きは起きています。
目で見てわかるかわからないかの動きも含まれているので、動きが起きていることに気づいていない人がほとんどです。
このことを知っているか、知らないかで大きな違いがあります。
さて、まずは普段通りのやり方でKさんに話してもらいました。この時のレッスンではもう1人の参加者の方に面接官役をしていただいて、その方に向かって自己紹介をしていただきました。
Kさんがひととおり話し終えた後、私はこんな質問をしました。
「今は面接の場を想定して自己紹介をしていただきましたが、ご自分の声やカラダのことでKさんはどんなことに気がつきましたか?」
こんな質問をしてKさんを困らせたり、Kさんが答えたことを否定したりすることが目的ではありません。
ご自分のカラダで起きている動きにおいて、自分で気がついていることは何か?気がついていないことは何か?を明らかにしなくては絶対に変化や向上を達成することはできないからです。
ましてや声に関する悩みやコンプレックスを解消することなんてできません。
だからどんなことでもいいので「気がつく」ということが欠かせないのです。
なぜなら、気がついていないことは「存在していない」ことと同じだから。存在していないものを変えることやクオリティを上げることはできるわけがありません。
Kさんはこんな風に答えてくれました。
「カラダが固まってしまって声が出しづらかったです」
とても大きな気づきですね。
気づきが大事だとお話ししましたが、たとえ気がつくことがなかったとしても大丈夫です。ただ気づきを受け取るアンテナを普段から立てていないだけなので、少し丁寧にご自分のカラダを観察すれば誰でも気づきは得られます。
そしてやればやるほど気づきのセンサーは敏感になっていくので、カラダのいろんなことに気がつくことができるようになります。
2. 意図しなくてもカラダが固まるのはなぜ?
Kさんは「カラダが固まってしまって声が出しづらかった」と話してくれました。
私はKさんに「ご自分でカラダを固めようとしましたか?」と質問しました。
もちろんKさんは「いいえ」と答えました。
面接の時、わざわざ自分でカラダを固めようとする人はいないですよね。
でも私たちの意図に反してカラダは固まってしまうのです。
なぜでしょうか?
そこには私たちが生まれながらにして持っている防衛システムが関係しています。
面接官という脅威を前にしたとき、私たちは自分ことを守ろうとします。何が起こるかわからないけれども、万一、何が起きたとしてもダメージを最小限に食い止めるべく、カラダを固くして身を守るのです。そうすることで痛み感じることも少なくしようとしています。
自分の意図に反して、本能レベルでの防衛反応がKさんが体験した「カラダが固まってしまう」ということです。
もちろんKさんのように面接のシチュエーションだけで起きるものではありません。
人によっては上司を前にしたとき、騒がしい場所にいるとき、初対面の人を前にしたときにカラダが固まってしまうかもしれません。
または大事な本番やステージに立ったときにカラダが固まってしまうかも知れません。
人間なら誰にでも起きるものなのです。
3. 意図していないのにカラダが固まることにどう対処すればいいか?
面接をはじめ自分の意図に反してカラダを固めてしまうのは防衛システムが機能しているからということはわかったけど、そのおかげで声が出しづらかったり思うように話すことができなければ本末転倒ですよね。
この記事を読んでくださっているあなたも「その対処方法を教えてくれよ!」と思っているはずです。
もちろんお答えしますので安心してくださいね。
対処方法をお伝えする前に、2つだけお伝えしておきます。
・私たちのカラダの動きの質は軸の使い方によって左右される
・私たちは普段から軸を固めながら生活している
詳しく解説するととても長くなってしまうのでここでは割愛します。詳しく知りたい方は私のサイト、声のトリセツをご覧ください。
軸の使い方に関する知識は一生活用できるものですし、今からやっておけばその違いは数年後に確実にやってきます。知っておいて損はないと思いますよ。というか、知らないと損です。
これを踏まえた上で、軸の使い方にアプローチしていきます。
なぜなら、Kさんが話している姿を見て、私はKさんのカラダで軸が縮められていることに気がついたからです。
4. 軸の使い方を変えると「つまりもなく楽に声が出せる」
私はKさんに、カラダの軸を今までとは違う使い方で使えるようにガイドさせていただきました。ここは実際にアタマや背中に触れながら丁寧にガイドさせていただくのと、人によってガイドする方向性が異なるので具体的にどうしたかは割愛します。
とにかく、ただ丁寧に軸の使い方をガイドし、呼吸が起こるために必要なカラダの動きを取り戻してもらいました。
そして新しい軸の使い方やカラダの使い方をしながらもう一度面接官役の方に自己紹介をしていただきました。
話し終えたKさんに「どんな違いがありましたか?」と聞くと「さっきよりもつまりを感じず、楽に声を出すことができた」と教えてくれました。
Kさんの変化は当然といえば当然です。
普段から軸を固めたり縮めながら使っていたのを本来の状態に近づくような使い方をすれば確実に変わりますからね。
カラダは声を出すための楽器なので、楽器の使い方が変われば声が変わるのは当然の結果です。
そしてもう一つ変わるものがあります。
それは相手が受け取る印象です。
面接官役の方に、いつも通りの使い方をしたときと新しい使い方をしたときでKさんにどんな変化があったかを話してもらいました。するとこんな風に答えてくれました。
「さっきは緊張しているなと思ったのですが、新しい使い方をした方は見た目の印象が違いました。落ち着いているというか。それが声にも出ていて、とても聞きやすかったです。」
こんな風に軸の使い方が変わっただけで、Kさんが「カラダが固まってしまって声が出しづらい」ということを改善し、さらには相手の印象までもが変わってしまいました。
軸の使い方というのはこれほどまでに影響が大きいのです。
5. まとめ
今回のレッスンでKさんにしていただいたことは、今まで通りの使い方ではなく新しい使い方をする、という非常にシンプルなものです。
新しい使い方を何度も実践していくと、いつの間にかKさんのいつもの使い方として定着していきます。そうなったとき、Kさんの悩みはもうすでになくなっているはずです。
なぜなら「面接で固まってしまって、いつも声が出しづらい」というKさんの悩みの原因となっていた古いカラダの使い方は、新しい使い方によって上書き保存されてしまうからです。
あなたも悩みの原因となっているカラダの使い方を、新しい使い方で上書きしてみませんか?
声はもちろん、あなたのカラダや生活が変わり、望んでいる未来が手に入るかも知れませんよ(^^)
お読みいただきありがとうございました。
ボイトレをさせないボイストレーナー/アレクサンダー・テクニーク指導者
ヨシ・トクガワ
https://koenotorisetsu.com/