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【CRAZYPEEPS】論理ロボット男が感情を持った話【カルチャー合宿】

このお話は、感情によるコミュニケーションが理解できない、論理ロボット男がCRAZYPEEPSの合宿を通して、感情によるコミュニケーションを手に入れるまでの経緯を描きました。自分の記憶を留めるために書くので、もの好きさんは読んでみて下さい。

最後のおまけだけは少し恥ずかしいので、有料にしておきます
本当のもの好きだけが課金して下さい。


はじめまして。論理男です

自分には感情がなく、人に興味がないのだと思っていた。
大学は数学を専攻した私は、曖昧な表現は使わないよう指導され、
厳密で正しい言葉を使うことが当たり前とされていた。
奥さんいわく私はどんな状態でも議論フィールドを展開し、
すべての言葉や論理を厳密に正しく表現していた。

世の中は論理的なコミュニケーション(以下論理)でそれが正しいか正しくないかに二分されると本気で信じていたし、
会社に所属している限りは合理的であり評価すらされていた。

そんな私の当たり前を揺らがしたのが、IWAIなどの結婚式を実施しているCRAZYが運営するPEEPSというコミュニティ(のようなもの)である。

↓今回の募集してたときのURL。次回は9月に募集開始するみたい。

PEEPSは存在そのものがそもそも謎だ。コミュニティ運営費のようなお金は払わなくてよいらしい。なのにたまにカレーが出てきたり、お昼に招待されたりする。明らかにこの事業だけでは赤字である。

会社なのにビジネスしないなんて、そんなことあるのか。
私はIWAIで結婚式を挙げたので、その結婚式費用のなかにコミュニティへの所属も特典として付ける予定なのかなとまで本気で考えていた。

IWAIは好きだし、結婚式やって終わりじゃ寂しかったので、とりあえずそのコミュニティに所属した。

そこの人たちの考え方や行動を見ているうちに、一つの仮説が生まれた。

「どうやら正しいか正しくないかという尺度以外の意思伝達方法があるらしい。」

それを感情によるコミュニケーション(以下感情)と呼ぶことにする。

感情では言葉に対し正しいか正しくないかという判断は行わない、らしい。
論理的に正しくない表現で、理解できない私を置いて、明らかに伝えたい思いを受け取れている人たちがそこにはいた。

合宿へのお誘い

そんな世界を知ってみたい!論理的に解釈したい!
そんなことを思って2年ほど。PEEPS合宿なるものが開かれることになった。

CRAZYはよく合宿をしている。それをPEEPSでも行うのだという。

今回は参加費があるらしい。ようやく払わせてくれる気になったか。
(今思えば参加費なんて比べ物にならない価値を与えてもらったが)
お世話になっているし、ぜひ払わせて下さい。そんな気持ちで申し込んだ。

事前に月一回のセミナーを 何回か受けながら、最後に説明会を受ける。
説明会の意味もよくわからなかった。
UFOに連れていかれて手術でもされるようなぐらい、言葉ではわかっても理解できない説明だった。でもそれを諦めず理解したいと思えたのは、隣に120%共感している奥さんがそこにいるからだった。

説明会をうけてから本番までは日に日に不安が増えていった。
CRAZYの言っていることは正しいと思う。
だからといって、素直にUFOに連れて行かれられるのだろうか。
UFOに連れて行かれたからといって、素直に手術を受けられるのだろうか。

みんなが手術を受けているのに、私だけが受けられなかったら?
合宿という最大のイベントで、失敗してしまったら、もうPEEPSにはいられないんじゃないか?ずっと参加していたメンバーだからこそ、喧嘩なんてしたらどうしよう。

チーム発表が決まると、より一層不安が増した。
あまり話したことがないメンバーと一緒に1泊2日も過ごせるのか?
顔の個体差に対しての解像度が低いため、名前と連携すらできないこの私が?

合宿の始まり

1泊2日の合宿で言われたことは、2日目の朝に「私はどう生きていくのか」を発表してもらうということだった。しかもその生きたい自分にすでになってそこに立てるようになるのだという。そんなことがたった24時間でできるなら、みんなやっている。

この合宿のときルールを受けたのは「100%で存在する」「場に貢献する」「保留する」の3つだった。
何を持って100%全力だったとするのか?場に貢献するかしないかの閾値はどこ?決断せずに保留することになんの意味が?
・・・・・と、頭で考えてもまったくわからないので、教わった通り保留することにした。
よし、いいだろう。よくわからないがやってやる。
保留するし、考えない。いつもやっていることとあべこべになるんだ。
そうすれば感情が手に入れられるに違いない。感情王に俺はなる。

どう生きたいのかを急に考えても難しいので、1日目は今の自分(弱くて安全)、なりたい自分(強いけど、なることに抵抗がある)を理解してから、どう生きるのかを決めることだという。

考えられないので、わからない。結論を出せない。
とりあえず安直に今の自分を「感情を知らない自分」、なりたい自分を「感情を知っている自分」、どう生きたいかを「感情で関われる自分」とおいたがしっくりこない。

「なぜそこまで感情を追いもとめているの?」
「まちづくりに必要だから。」
「なぜまちづくりをするの?」
「その始めた理由は仕事や家族はいつか終わりが来るけど、地域は一人にならないから。」
「それを考えているのは結構稀じゃない?」
わからない、わからない、わからない。
論理的には正しい。稀だからなんなのか。保留。

「相手の感情が理解できず、結婚式に誰も来ないのかもしれないと思った。カラオケでははっちゃけられる自分がいる。家と外の自分にギャップがある。音や言葉によるコミュニケーションだと理解しやすいが、表情などの視覚的な表現だと理解できない。」
「うーん理解できてない風には思えないけど。一人が嫌なのに一人なことを考えるのはなぜ?」
思うかどうかは個人の主観にもとづ・・・保留

小さい頃は、感情がもしかしたらあったのかも。
小さいころに戻りたいのか?
戻ってもうまく行かなかったから、今手に入れた論理と感情を組み合わせて、
昔の汚名を晴らしたいのかも。・・・・それっぽい。

その後は同じチームメンバーの話を、覚えていられるのか自信はないけど、一生懸命話を聞いた。メンバーのAさんは聴覚障害があり、手話でみんなと話したいと願う人だった。Aさんは私とは真逆ではあったが、言葉によるコミュニケーションができず、手を使ったコミュニケーションのスムーズさに悩んでいるようだった。
自分は手話は使えない。でも耳の聞こえる人の代表としてコミュニケーションをとってみることはできるんじゃないか。テントが同じということもあり積極的に話しかけた。正しい手話でなくとも、身振り手振りで伝わった。
相手の心に届いたことが嬉しい。言葉ではたどり着けなかった「嬉しい」という感情が、今思えばすでに宿りはじめていた。

その夜は眠れなかった。発表のことを考えてである。
CRAZYの社員であるエバさんからは
「感情を喉ギリギリまでためて、あふれそうってなってから話してみるといい」とアドバイスを貰った。
感情がわからないのに何をためればいいのか。保留。
保留といったって明日には発表するんだぞ。

めをつむって、虫の声を聞きながら、脳内発表練習を行ってみることにした。
敬語をやめればいいのか?別に何もたまらずに話せそう。
これだと?全然言えるな。

わからない。思い出せ。今日の一日を。なにかヒントはないのか。

1人が嫌なのに1人になっている?小さい頃はどんな感情を持っていた?
人間関係がうまくいってなかったな。あの頃の自分をすくいたいのかな。
いや、うまく生きたいんじゃないかな。うまく生きたい。
うまく生きたいんだ。
今日話した人たちの話が思い浮かぶ。
PEEPSという利害関係の無い、なんでもない私達。
そこで何を言っても言わなくても現実には何も影響しない。
みんなと話して、聴いて、初めて感じたここにいてもいいんだという充足感
つながる嬉しさ。気持ちの高まり。
言葉で伝えるだけがコミュニケーションじゃない。

……私はみんなと生きたいのかもしれない。
つるむことは弱い人がすることだと思い、つるめなかった自分。
学校という規範が守れず、反発していた自分。
親と喧嘩しながら、一人で暮らしてやると高知の大学に行った自分。
改めて脳内発表をしてみる
話すシーンを想像すると、じんわりと涙がでてきた。
これはなぜだろうとは思わなかった。今まで学んできた私の辞書には「涙とは意味もなくでるもので、そこに理由はないものらしい」と書いてあったから。

よかった、これなら発表できそう。
結局感情はわからなかったな。でもわかってよかった・・・ゆっくりと眠りにつく。

翌朝発表の日

朝目が冷めた。いつもと変わらない朝。朝は苦手だ。
テントの床は固いし、方が少し冷えている。風邪をひいていないといいけど。
少し心配になりながら体を動かす。うん、まだ大丈夫そう。

昨日眠りにつきながら考えていたことを思い起こす。
うん、うん。みんなと生きたい。
また泣きそうになる。
どうやったらみんなは一緒にいていいと認めてもらえたことになるのか、
論理では認めてくれる方法は見つけられなかったことは残念だけど
違う方法で探せられればいいのかな。

服を着替えながら、もう一度発表の舞台を目で確認しておきたいなと思った。
いつもだったら絶対1人で見に行く。でもこれからはみんなと生きたいので一緒に泊まったAさんに声をかける。

「もう一度 発表したところ みにいきたい 一緒に」

彼は何故か理由も聞かず、快く快諾してくれ、すごく嬉しかったのを覚えている。

テントを出ると、そこには別世界が広がっていた。
輝く太陽にうっすら被さる霧。幻想的な世界に心から感動している自分に驚いた。更に驚いたのは、それが木の葉の風のゆらめき、足で踏む水気を帯びた土の音。草木の匂い、何を受けても感動できるところだった。

最初はクスリでもキメたのかと思って本気で恐かった。
その後、他のメンバーの人にも「なんでそんなに笑顔なの?」と自覚のないことをいわれ、ついに発表前でおかしくなったのかとすら感じた。

それが感情なんだと気づいたのは、感受性の高いエバさんの何気ない「太陽がきれいで最高だー」という一言にすごく共感したからだ。
共感、している・・・?普段ならなぜ太陽がキレイなだけで感動してるんだろうとわからなかったのに。
共感って感情のコミュニケーションの受信部である、あの??
嘘!?嘘でしょ!!?!?!

生まれたての感情(正確には小さい頃にお別れした感情の増幅器)の使い方にどうしたらいいか戸惑いながらも、この感情と二度とサヨナラしたくないとスイッチを切れず、ボリュームも落とせない自分。首の下から胸までが常に熱く、全くコントロールができなくなった。(これが胸熱か、などにもいちいち感動していた)

感情はずっと欲しかったけど、やっぱり手に入らないと思ってみんなと生きると決めた瞬間、みんなと生きるために感情センサーが手に入った。
美女と野獣のような。ピノキオのような。おとぎ話のような出来すぎ感。

プレゼン

いつもするプレゼンは、相手のニーズに合わせて構成を考え、何回か練習をし時間通りに終わらせることを意識する。
プレゼンは得意な方だ。

しかし今回の合宿はすべていつも通りにやらないのだった。発表のその瞬間まで原稿などは考えず、「私はみんなと生きたいです」とみんなに宣言することだけを決めて本番に臨んだ。

本番前にみんなでした握手。
Aさんの手話から、声が聞こえてきたように
一人ひとりの握手からその人の声が聞こえてくるようになっていた。
「がんばってね。」「楽しみにしているよ。」
感情は言葉よりもなんと素早く意思伝達ができるんだろうと感激した。
言葉はどうしても時間はかかるが正しく伝えることができる。
どちらも一長一短なんだ。

自分の発表のタイミング。「みんな」と生きたいのだから、みんな1人1人としっかり目を合わせよう。
あぁ。わかる、伝わる。
「しっかりと、見てるよ。」「ひとりじゃないよ。」

「うわー・・・」と声が漏れていた。
言葉だけはネガティブ、でも私が発表したくない人とは一切思われず、
みんなが笑顔で返してくれる。不思議なのに、でも今はわかる。

喉まで感情がたまる。ほんとうだ貯まるんだ。
「みんなと生きたい」と単なるたった8文字を肺から出すだけ。
単純でつまらないかな。大声で宣言したほうが良いかな。
あ、考えてるな。なりゆきにまかせよう。

今までは、頭で考えた正しい設計に対して、
無自覚の感情が正しくない行いをしたから
全力でできなかったって判断したんだな。
全力って感情だったのか。感情100%ってこういう状況なんだな。

あ れ

声が・・・でない・・・?


たったの8文字どころか
わたしの「わ」もでない。
怖いんだ。
初めてでた増幅器で最大値まで振りすぎて、
喉が焼き切れていた。

本当にみんなはこんな私を
受け止めてもらえるのだろうか。
やっぱり誰とも仲良くなれないんじゃないか。
感情のせいで今まで聞こえてこなかった心の声が、
よりはっきりと聞こえるようになった。
こんなものとみな戦っていたのか。
でももうやだ。絶対に戻りたくない。
もうこの感情を手放したくない。

絶対に言う
絶対に言う
絶対に言う
絶対に言う

ガッ…という声にならない喉の音

息が苦しい。声にならない。
冷静な論理担当が場面緘黙症ってこんな感じなのかなとか言い出している。

うるさい、絶対に言う!

絶対に言う!









言えた後のことはあまり覚えていない。
なんかそう思った経緯とかを話していたと思う。
言えた内容よりもそこに放出した感情だけが自分の記憶に残っていた。

おわりに

感情を知ってから、考えることをやめて
脳がすごく静かになり、ぼーっとできるようになった。
考えるためにあえて情報をインプットさせ、わざと忙しくしていたんだなと気づいた。

CRAZYという会社のカルチャーや組織など、この会社を知りたいときは
社員と自分自身を鍋にいれて、数日間煮込むと良い。

言葉や見ただけでは、この会社の本質はわからない。
この他でもないロボットである私を「愛が見える」状態にしてくれたのだから、この会社は本当に本気で本物だ。

このみんなと、PEEPSとずっと生きていきたいな。

↓合宿後のCRAZYのPodcast


おまけ:結婚したときより結婚できた話


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