Shall we と Shall I 以外の shall ってなんなんだ!?
「Shall we ~?」と「Shall I ~?」以外の shall に出くわして「おやっ?」と思ったことありませんか?
「Shall we ~?」と「Shall I ~?」は中学で習うけど、それ以外の用法は学校ではあまり教えてくれないんですよね。
でも、文章を読んでるとたまーに出てきます。
最初は訳文を見て、ただ単に will の代わりみたいなものだと思っていたんです。
でも、しばらくして違うところで出会うと、それとは違う訳し方がされていました。
それからさらにたくさんの文章を読んでいると、また違う使い方をされているのを発見……
な、な、なんだこいつは??
めちゃくちゃムズムズするぜ!!
そんなこんなで昔調べてまとめたことを、ここで加筆修正しながら書きたいと思います。
ちなみに稀ですが、大学受験の長文にも出てきます。
でも、ここで紹介する内容ほど詳しく知らなくても、合格はできます。
傾向にもよりますが、やったとしても用法1-1、3-1、3-2あたりを習得していればまあまず十分だと思います。
恐らく難関大学の学生も細かい使い分けを正確に説明できる人は少ないでしょう。
英語が大ピンチで切羽詰まっている受験生は他のことを優先させた方がいいと思います。
それでも気になる人、受験のレべルを超えてもっと正確に文章を読みたい人はぜひ続きを読んでください。
情報量は多いです。敢えて。
読むのしんどいです。敢えて。
この記事を書こうと決めたのは、調べるときにどーんとまとめたページがあると便利だと思ったからなんです。
これは自分のためでもあります。
ていうのも「こっちの本には〇〇は載っているけど、△△は載っていない。あっちの本には逆に△△は載っているけど、○○は載っていない」なんてことが結構あって、あちこち旅するのが面倒なんです。
他のメジャーな(?)単元だと調べやすいんですけど、なにせ優先順位が低いですから、詳しく説明しているものが少ないです。
厚い文法書や辞書に頼ることになります。
基本をコンパクトにまとめた薄い本だと、まあまず触れていませんね。
もちろん基礎固めの本はそれでいいのです。むしろこの項目にたくさんページを割いてたら、問題です。
もっと「基礎的で優先順位の高いやつがあるだろー!」って話になりますからね。
でも、そういうのではなくて、かゆいところに手が届くものを必要としている人もいるはずです。
てなわけで、分量多めの記事となりました。予めご了承ください。
とはいえ shall に関する全ての情報がここに記されているわけでもないので、それもご了承くだされ。
ところで、ここで説明する「Shall we ~?」と「Shall I ~?」以外の shall は基本的には古風で堅苦しい表現、改まった表現だとされています(といっても「Shall we ~?」と「Shall I ~?」が雑な言い方というわけではありません)。
現代ではあまり使われていない表現が多く、特に今のアメリカ英語では使われていないようです。
現代では同じ内容を表すのに、 他の書き方で表すのがふつうです。
ただし、むこうの法律を学ぶ人はたくさん出くわすと聞きます(用法3-2の項目の話です)。
また、ここでの説明は、リーディングやリスニングのために書きました。
ライティングにおいては、どういうときに使っても問題ないのかわからない場合、使わない方が無難でしょう。
それでは行ってみよう!
用法1ー1 単純未来 1人称
単純未来とは「~だろう」、「~でしょう」という意味で未来の出来事に使う用法です。
will などを使った文章で表現されるあれです。
例文
It will rain tomorrow.
=明日は雨が降るだろう。
この用法が shall にもあるんです。
主にイギリス英語での用法で、1人称の文章ではwillの代わりに使うことがあります。
例文
I will be seventeen years old in June.
I shall be seventeen years old in June.
=私は6月に17歳になります。
We shall not be able to furnish additional copies.
=これ以上の部数の追加注文はできかねます。
平叙文だけではなく、疑問文でも使います。
ただしこの場合の「shall I ~?」は中学で習う「~しましょうか」の使い方とは異なります。中学で習うやつは別の章で紹介する「意志未来」の用法です。
ここで紹介するのは単純未来の1人称の疑問文で、「~することになるでしょうか」という意味になります。
例文
Shall I be crossing the Pacific Ocean tomorrow morning?
=明日の朝には太平洋を横断していることになりますか。
Shall I need a sweater?
=私はセーターが必要になるだろうか。
<その他の注意点>
・短縮形はwillと同様「'll」を用います。
・「堅苦しい古風な言い方」と説明にはありましたが、文法書などでは will と同じような訳し方をしてあるものが多かったです。自分で翻訳するときは、必要に応じて訳し方を変えてもいいかもしれませんね。
用法1-2 単純未来 2人称の疑問文で
「~する予定ですか」という意味で使います。
例文
Shall you be at home tomorrow afternoon?
=明日の午後はご在宅でしょうか。
単純未来においては、2人称の平叙文、3人称の平叙文と疑問文での用法は、私の調べた限りではありませんでした(ただし、後述する用法4のケースは例外です)。
用法2-1 意志未来 2人称、3人称
意志未来とは、文字通り未来に対してどんな意志を持っているのかを表現するものです。
will の文章では「~するつもりだ」なんて訳すことがありますよね。あれがまさに意志未来です。
shall にも意志未来の用法があります。今度は1人称、2人称、3人称でも用います。
「どうぜ単純未来のときみたいに、ニュアンスが違うだけだろ?」とか「大まかな機能は同じだろ?」とか思いませんでしたか?
will の意志未来とは使い方が違うので注意してください!
単純未来のときは話が単純でしたが、今回はちょっと複雑です。
will の意志未来は、「主語の意志」を表すことになるが、shall の意志未来は「話し手の意志」を表すんです。
例えば、He will~で意志未来なら、彼がどうするつもりなのかを表しますよね。
例文
He will play baseball tomorrow.
=彼は明日野球をするつもりだ。
でも「He shall~」で意志未来なら、話し手が彼に何をさせるつもりであるのかを表す。
例文
He shall go there.
=私は彼をそこに行かせるつもりだ。
否定文なら、次のような感じです。
He shan't go there.
=私は彼をそこに行かせないつもりだ。
※shan'tはshall notの短縮形です。
平叙文だけではなく、疑問文でも使います。
疑問文なら、相手の意志をたずねることになります。
例文
Shall he go there?
=あなたは彼をそこに行かせるつもりですか。
またこの用法をさらに細分化して、「約束」、「おどし」、「強要」と分類することもできます。
例文
You shall have a new bicycle for your birthday. (約束)
=お前の誕生日には新しい自転車をあげよう。
※ふつうは目下の者、ペット、幼児に用いられます。
One step forward and you shall die. (おどし)
=一歩でも前に出てみろ。お前死ぬぞ。
He shall do as I say. (強要)
=彼に私の言うとおりにさせてみせる。
用法2-2 意志未来 1人称
じゃあこれ1人称のときはどうなるんでしょう?
結論からいうと、willと同様に自分が何をするつもりなのかを意味します。
なぜでしょうか?
本には書いてありませんでしたので、私なりに考えてみました。
そこで、先述した「He shall~」の説明の「彼」を「私」に置き換えることを思いつきました。
「話し手が彼に何をさせるつもりであるのかを表す」
→「話し手が私に何をさせるつもりであるのかを表す」
となりますね。
ここでの話し手と私は同一人物です。
だから、ちょっとくどいようですが、「話し手である私が私に何をさせるつもりであるのかを表す」ことになります。
shallが「話し手の意志」であることに変わりなくても、このように考えると、結局は自分が何をするつもりなのかを表すことになりますね。
※あくまでも私の推論であり、正しい理由は知りません(笑)
この1人称の意志未来での shall の用法は、平叙文の場合は強い意志を表します。
例文
I shall return.
=私はなんとしても戻ってくるのだ。
※これは、第二次世界大戦中日本軍に追われたマッカーサーが、フィリピンをあとにするときに言った言葉だそうです。
I shall never forget you.
=私はあなたのことを決して忘れません。
じゃあ疑問文はどうなんでしょうか?
これが、中学で習う「Shall I ~?」、「Shall we ~?」にあたります。
先ほどの「Shall he go there?」と同様に相手の意志をたずねることになります。
例文
Shall I go there?
=あなたは私をそこに行かせるつもりですか。
=私が行きましょうか。
てな感じで、「私が~しましょうか」という意味になるんですね。
用法3ー1 特殊用法 予言・運命・決まりごと
「必ず~となる」、「きっと~する」といった訳し方です。人間の力でどうこうできない次元の話って感じです。
この用法は特に聖書の中でよく見られます。
下の例文はいずれも聖書の文章となります。
例文
All they that take the sword shall perish with the sword.
=剣を取るものは全て剣にて滅ぶ。
Ask, and it shall be given you.
=求めよ、さらば与えられん。
You shall love your neighbor as yourself.
=汝、隣人を自分のごとく愛せ。
聖書以外ではこんな例文があります。
例文
All shall die.
=すべての人は死ぬ運命だ。
用法3-2 特殊用法 法律・規則・仕様書などの条文
法律・規則などで「~すべし」、「~と定める」、「~せよ」、「~とする」、「~すること」といった意味で使われます。
この用法の shall は規定などの文書では今でも用いられています。
すでに「Shall we ~?」と「Shall I ~?」以外の shall は古風で堅苦しい、改まった言い方で、日常ではあまり使われないと説明しましたね。
この特徴がかえって法律などの条文では相性がいいのです。
なんとなく威厳や格調の高さを感じさせるからなんでしょうね。
日本語でも刑法などは堅い言葉遣いですよね。
もし刑法が「○○やっちゃうとマジやべえから、結構牢屋入っちゃうかもよ」とかだったら、何だか法律が大分軽く感じられてしまいます。
では例文を見てみましょう。
例文
All passengers shall wear seat belts.
=すべての乗客はシートベルトを着用すること。
The Emperor shall be the symbol of the State and of the unity of the people, deriving his position from the will of the people with whom resides sovereign power.
=天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
Payment shall be made by check.
=支払いは小切手で行われるものとする。
All payments shall be made by the end of the month.
=全ての支払いは月末までに済ますこと。
用法3-3 特殊用法 疑問文における反語
反語とは何でしょう?
誰かが「そんなやついるか?」と言ったとします。
本当にいるのか知りたくてきいている場合もありますが、大抵はこの言い方なら、「いるわけねえだろ」という意味が含まれています。
このように反語とは疑問の形をとりながら、否定するものです。
例えば、「こりゃあいくらなんでも解決するの無理だろ」っていう筆者の気持ちがめっちゃ出ているような文の流れで、次の文章が出てきたとします。
例文
Who shall solve the problem?
=誰がその問題を解くというのか。
この場合「いや誰も解ける奴なんかいないさ」という意味が言外に含まれていると解釈するのが妥当でしょう。
用法4 間接話法の注意点
間接話法の従属節の中で使われたものには注意点があります。
ここでは従属節の主語が2、3人称で、その従属節の中で使う場合の話をします。
ちなみに間接話法の従属節ってややこしい言い方ですが、早い話がsayなどの目的語にくるthat節なんかがそうです。
この項では直接話法から間接話法への書き換えを通じて説明します。
まず次の直接話法で書かれた例文を見てみましょう。
例文
George says to his daughter, 'You shall have my answer soon'.
=ジョージは娘に「いずれ返事をするからな」と言っている。
このセリフの話者はジョージであり、文中の shall は彼の意志である(用法2-1の意志未来)。
これを間接話法にするときに、次のように書くときがあるというんです。
例文
George told his daughter that she shall have his answer soon.
この shall は単純未来です。
本来単純未来の平叙文では、 shall は1人称で使うのが基本でしたよね。
疑問文なら2人称もあるが、2、3人称の平叙文で使うのは説明にありませんでした。
しかし、この場合は特別で、直接話法の shall がそのまま残ってこのように書くことがあるとのことでした。
正確な理由はわかりませんが、ちょっと考えてみました。
最初にたてた仮説:
まあ日本語でも、文法の論理で考えたらおかしいんだけど、勢いで言っちゃった、つられて言っちゃった、ゴロがいいから言っちゃったなんてことはあるからなあ。そんでそれが定着しちゃうことも結構あるし、そんな感じかな。
しばらくして思いついた仮説:
いや待てよ。この場合、文章を書いた人ではなくて、that節の発言をした者の意志未来と解釈できなくもないか?
でも辞書を見ると、この用法を単純未来として分類しています。
結局最初の仮説の方が正しいのでしょうか?
それともどちらも違うのでしょうか?
調べてみたけどわかりません(笑)
あともう一つくらい例文を載せておきましょう。
例文
She says, 'I shall arrive around noon'.
She says that she shall arrive around noon.
=彼女は正午くらいに到着するだろうと言っています。
ちなみにこの用法について触れている本はほとんどありませんでした。
それだけレアなんでしょうかね。
終わりに
ここでは用法3を特殊用法として分けましたが、その前に説明した章と無関係ではありません。
関連を考えてみると面白い発見があると思います。
資料によっては同じ章の中でまとめて説明しているものもありました。
分類の仕方は本によって違うので見比べてみてもいいかもしれませんね。
ここまで書いて気づいたのですが、私は一体何でこんなに夢中になって書いていたのでしょうか……
大学時代のレポートもこんなに熱心に書いたものはあまりないのに、不思議な情熱だなあと自分で驚いております。
ここまでまとめてきて正直結構疲れました(笑)
しばらくはもっと短い記事を書こうと心に決めたのであります。
この記事が少しでも役に立つことを願っております。
それではまた!
<参考資料、情報提供元(著作権者)>
・Weblio英会話コラム
https://eikaiwa.weblio.jp/column/
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