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生簀に入れる、入れない、あなたならどうする?

スカイが死んで、イルカパークにきてから5頭のイルカが死にました。
それらを受けて、僕の想いとこれからについて書いてみます。

飼育に携わる皆様には不快に感じられることもあるかも知れません。ただ、海とイルカが大好きで、自然から生き方を学び、

壱岐にきてイルカたちに僕の足りない部分をたくさん教えてもらった、高田佳岳という人間の心からの本音です。

<飼育とは、動物と生きることとは>
年末から一向に良くならないスカイの肝臓の値。
治療のために生簀に入れた最初の頃のスカイを見ていると、目には力があり、体にもまだ力がある様に見えました。
一緒に遊んでもくれました。そんな様子を見ていると、僕は無性に生簀から出してあげたくなりました。

「生簀から出て、思いっきり泳いで、遊んだら、よくなるのではないか?」

そんなそもそも超絶医者が嫌いな僕の素人考えです。
もうひとつは(もし自分だったら)病室のベッドの上では絶対に死にたくない。という想いが重なりました。

僕は「生簀から出したい」ということをトレーナーと話しました。
これは、上記の理由で、かわいそうだから、とどうせなら思いっきり泳がせたい、と思ったからです。

トレーナーからは「生簀から出したらもう生簀に戻せないから、治療ができなくなる。まだ生きる可能性があるのに、生簀から出してしまったら治療ができなくなるから、ダメです」と言われました。
獣医師からは「まだできることがあるのに、それをしない(放棄する)ことは飼育しているとは言えない。」と言われました。

イルカは調子が悪くなるとご飯を食べなくなります。ご飯を食べない、興味を持たない、ということは、トレーナーにも近づかなくなり、当然サインにも反応しない状態になるので、運動はおろか、生簀にも入らず、イルカパークでは捕まえることもできないので、採血もままならない状態になります。
もしもそのまま衰弱して死んでしまうと、広い入江の中のどこかで静かに沈んでしまうことになります。

「生簀から出したい」「出したくない」このトレーナーとの議論は永遠の平行線です。トレーナーから「高田さんは生簀に入れて治療して、治った経験がないから信じられないかもしれません。でも、私はこうして治っているイルカもたくさん見ているから、頑張りたいのです。あきらめないです。なんとかしてあげたいのです」と言われました。

そうですね、僕は閉じ込められて死んだイルカしか見たことない。治ったことなんて見たことない。むしろ、閉じ込めているから余計悪くなっているような気さえする。これは弱っているイルカを入れているわけで、ドンドン弱るのは当然のことなんです。でも、外でそれなりに泳いで、体を動かしていければ、自然治癒のスイッチも入る気がしていました。(一度もチャレンジしていませんが)

まぁ、最終局面に来ていたら、出してても、閉じ込めても、変わることはないのでしょうが。。。

飼育している=健康管理を徹底し、必要ならば医療を提供する。これはその通りだと思います。

でも、この5年間で5頭失った僕にとってはいまイルカパークにある、
イルカ飼育の常識、管理体制にはもはや疑いしかありません。

野生動物を飼育する、って、人間が介入したことでいいことと悪いことどちらもあると思っています。野生の方が輝いているかもしれませんが、常に生命の危険に晒されています。人に飼育されると輝きは失うかもしれませんが、ある一定の安全と安定した食事、危険性のない寝床が用意されます。

本当にどっちがいいか、なんて動物には聞けないし、人間の尺度で想像するしかない。そもそも、野生動物からしたら全く関係ない世界です。
そんな野生動物を飼育した以上は、ある一定の保護を与えるべき、と言うのは本当に理解できます。だって、こっちの都合で捕まえて飼育しているのだから。

そんな人間の勝手で飼育されているイルカパークの子達、
いま全国で飼育されているイルカたちは、死ぬまで幸せに生きてほしい。
幸せそうに生きていてほしい。

幸せか、幸せじゃないか、生簀に入れるか、入れないか。
結局イルカにしかわからないけど、どこにいても幸せでいられるようにしてあげたい。そんなことに全力で向かっていきたい、と思いました。

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