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コピーライターの修行

先日、鎌倉市内で開催された「大船夜市」というイベントに出店してきました。

「木村文章店」として。

この「大船夜市」とは、カンタンにいうと縁日みたいなもので、食べ物・飲み物から、射的やら金魚すくいやらヨーヨー釣りやらまで、いわゆる”縁日らしい”お店がたくさん出店していました。

そんな中での、木村文章店です。

以前にnoteで書いた記憶もありますが、木村文章店という屋号は、「(企業やお店=BtoBだけではなく)一般の方(BtoC)にもコピーの魅力・威力・楽しさに触れていただきたい」との思いから、「お店」という形を取り、名付けたものでした。

開店から今年で13年になりますが、珍しいお店ということで度々メディアに取り上げていただいている効果もあってか、「友達にキャッチコピーをつけてほしい」「意中の異性の心を掴む文章を書いてほしい」「怒らせてしまった妻に謝罪文を書いてほしい」などなどの依頼を持って訪れる一般のお客さまも少なくありません。

そうなんです。
木村文章店はコピーライター事務所でありつつ、れっきとしたお店でもあるのです。

なので、縁日に出店するのも普通のことといえば普通のことです。
お店ですので。

しかしながら…。

大船夜市で木村文章店が販売したのは、「キャッチコピー一本1500円(税込)」也。
これだけです。

果たして、縁日に訪れる一般のお客さまに、キャッチコピーなど売れるものだろうか。
正直、一抹の不安はありました。

ですが、いざ開店してみると、意外と好評でした。

午前11時から午後9時までの開店という長丁場でしたが、ありがたいことに、お客さまはひっきりなしに訪れてくださりました。

その分、僕の体力と知力、さらには瞬発力は着実に奪われていきます。

来店してくださるお客さまが、どんなキャッチコピーをお求めか。
当然、最初はわかりません。

初めて顔を合わせるお客さまからいただく、真新しいオーダー。
お客さまをお待たせするわけにもいきません。
オーダーを受けて、すぐさま脳味噌フル回転。
そして、1〜2分程度でキャッチコピーを生み出し、1500円(税込)に見合った満足感をご提供する必要があります。

これが、47歳のベテランコピーライターには、なかなかの苦行でして。
夜市が終わって帰宅した後は、グッタリと疲れ果てて、やたらと甘いものを摂取しました(翌日には2kgほど増えていました)。

苦行と前記しましたが、終わってみれば、とても良い経験になったと思います。

コピーライターを20年以上もやっていれば、いろいろなテクニックには長けるようになり、「こうすれば、クライアントからOKが出る」というのも、概ねわかってきます。

悪くいえば、惰性でも仕事ができるんですね。

しかし、今回のようなイベントでは、そうはいきません。
初めて受けるお客さまのオーダーから、瞬間的にコピーを生み出し、満足をしてお帰りいただく。
これは、コピーライターとして、かなりのトレーニングになるな、と思いました。

コピーライターにとっての一番のトレーニングは、とにかく数多く考えて、数多く書くことです。
これに今回は瞬発力も加わったので、相当に鍛えられたという実感があります。

ベテランコピーライターといっても、まだ40代です。
僕としては、生涯一コピーライターという目標があるので、向こう40年、50年、コピーライターを続ける可能性もあります。
いや、続けたいものです。

なので、今回のような刺激ある修行は、時に必要だなと認識しました。
コピーライターとして、成長し続けるために。

え?
じゃあ、来年も出店するかって?

そいつはノーコメントです笑。





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