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主訴をおさえておくことの重要性

私は総合病院で総合内科医(hospitalist) として、幅広い内科疾患の入院診療を行っています。
その中で気付いたことを残していきたいと思います。

今回は主訴をおさえておくことの重要性についてです。

ある日こんな事例がありました。(架空の症例です)
ある患者が右太ももの激痛でA病院を受診しました。
あまりにも痛がるためA病院の医師は骨折を疑いました。
A病院には整形外科医が不在でありB病院に紹介となりました。
B病院についた患者を検査したところ心電図に異常がみつかりました。
心電図では心筋梗塞の疑いとなり循環器内科が呼ばれました。
循環器内科は入院のうえ緊急カテーテル検査を行いました。
カテーテル検査では冠動脈の閉塞を認めステント留置が行われました。
これで解決と思いましたが、患者の容態は改善しません。
CK(心筋梗塞時に上昇する逸脱酵素)はさらに上昇、血圧もあがりません。
気づけば右足の色がどんどん悪くなっていきます。
循環器内科医は足の血管を調べましたが血管は問題ありません。
ここで循環器内科から総合内科へ相談がありました。
どうして循環動態が安定しないのか、なぜ足の色が悪くなっていくのか。
ここで総合内科医は主訴に立ち返りました。
患者は太ももの激痛が主訴であり、胸痛ではなかったはず。
太ももの激痛がおきる病態の鑑別を考えました。
結果として患者は壊死性筋膜炎の診断にいたり、患者は幸い一命をとりとめたものの右下肢を切断することになりました。

今回の事例では太ももの激痛が主訴であったはずが、心電図異常を認めたことから問題がいつのまにか心筋梗塞にすり替わってしまいました。
主訴に立ち返ったことで、根本的な問題に気づくことができました。

こういうのを疾患カスケードと私は呼んでいます。
例:大腿部痛→骨折疑い→心筋梗塞→治らないショック
患者の根本的な原因は大腿部痛にありました。

総合内科医といて主訴(患者が入院してきたときの訴え)は、その後にどんな症状がでてきたとしてもおさえておくべきなのです。

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