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雑多な雑感――NPOの戯言㉗

《仕事①――職業に貴賤はあるか?(2)》
◆「前口上」のつづき
(2)二つ目は殺人に加担する(かもしれない)職業の存在。具体的には軍需産業従事者、職業軍人、殺戮を命令する政治家たち。現に殺戮は行われていて、そこに敬意を表するわけにはいかない。軍事力が世界で影響力を持つことは否定し得ないし、戦闘に馳せ参じる人たちにも大儀はあるかもしれない。加えて、思想的背景もあれば生活上の事情もある。だが、それを是とするか否かは別問題。
 とにもかくにも「ない方がいい」というのが留保の理由。正確を期して言えば「貴賤」とは次元が違うので個人的願望と言い直してもいい。ともあれ本望で仕事に臨んでいる人だけではないのは確か(直接本人たちから聞いた経験がある。これには家庭の事情とカネと学歴の問題が絡む)。
 J・レノンの音楽を敬愛するわたしは「夢想家」と揶揄されることに何ら痛痒を感じない(わたしは自身を「理想を抱くリアリスト」だと思っているが)。理想を捨て「現実を見たまえ」という人たちが「ブルシット・ジョブ」に精を出しているのも知っている(特定できるのはごくわずかだが)。
 「自分ファースト」は誰にでも当てはまる面がある。それにしたって安全地帯で自身の権力維持のためにだけコマを操る為政者の傲岸不遜。つまり想像力を喪失した人たちは貴賤の「賤」に値する。

◆注:上記に関しては、D・グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』(ちくま学芸文庫)や広瀬隆『アメリカの巨大軍需産業』(集英社新書)、P・W・シンガー『戦争請負会社』(日本放送出版協会)やロルフ・ユッセラー『戦争サービス業』(日本経済評論社)などが参考になる。アップデートは必要だろうが。
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 表題通り、わたしの雑感に他ならないが、ない脳みそを絞って(もっと小さくなりそうだが)少し真面目に「仕事」について考えていきたい。色んな職業に携わってきたわけでもないので(バイトはいろいろ経験してきたが)、偏見、妄想、思い込みもあるにちがいないが。

 いくつか前口上に追加。「仕事」のなかに人を貶める所業は含まれない。また、敬意を表する仕事についてではあれ、すべての人が尊敬に値するわけではない。ずる賢いヤツや不誠実な人を職能や肩書で線引きすることはできない。なお、わたし自身は断じて「ずる賢いヤツ、不誠実な人」ではない(酔っぱらってます)。かといって豪胆さを持ち合わせた正義漢とは言いかねる小心者。そのうえでの話を次回から――ネタがあるわけでもないので、あまり続かない気もするが。

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