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雑多な雑感――NPOの戯言55

《音楽の魅力って?(1)》
 のん兵衛のわたしがPCに向かう際のBGMは大抵クラシックとジャズ。歌詞が入ると出来損ないの脳みそが混乱を来すということもある。最近は昔から好きだった「ブラック」も加わっているが、この駄文作成にはそぐわないのでボリュームは落としている。
 多くの人が思うことだろうが、わたしにとっても音楽はBGMでさえ必要不可欠で、あらゆるジャンルの才能に偽りなく敬意を払っている。もっとも好みにはそれなりの幅があるけれど。
 似たような話題を記した記憶もあるが、あらためて想起させられたのは、逸木裕『四重奏』(光文社)を読んだこと。小説それ自体が面白かったこともあるが、弦楽器のなかでもチェロの音色に魅了されてきた経験が大きい。パブロ・カザルス、今日ではヨーヨー・マが知られているだろうが同感する人も多いのではないか。逸木裕についてはオルガンビルダーを描いた『風を彩る怪物』(祥伝社)を挙げたことがあるが、あらためて推奨しておきたい。
◆注:ちと古いがパブロ・カザルス『鳥の歌』(ちくま文庫)、『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』(ドキュメンタリー)も参照。

 で、もう一つ音楽つながりでお勧めしておきたいのが『シャイン』という映画。ピアニストのデイヴィド・ヘルフゴットの実話に基づく。キーワードは「天才(genius)」「ラフマニノフ3番」「精神病院」「父親による子どもの“調教”」そして「サポート」――音楽それ自体への畏敬も立ち上るが、親の挫折と子どもへの自覚のない愛憎とすれ違い、虚栄心とやっかみ(自己保身と他者への蔑み)など、いくつもの悩みを提示してくれている。わたし自身にも刻み込まれた、暴力さえ厭わない不愉快な父親の身勝手さ。「どこにでもある話」だからといって済まされることでもない。ちと飛躍しすぎかもしれないが、親の身勝手さは子どもを萎縮させることもある。もちろん子どもを支えることにもなる可能性があることも否定できないのだけれど。
 どう転んでも、音楽には何事をも凌ぐ力がある。それは人それぞれ――勇気や元気かもしれないし、慰撫や愛惜かもしれない。人間の最大の発明かもしれない――つくづく、そう思う。
(つづく)

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