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信頼関係が大事というけれど簡単じゃない
対人支援職は信頼関係構築(ラポール形成)が大事と学びます。しかし、支援者、関係者、当事者、一人一人の個性も価値観も立場も皆違う者同士ですから、信頼関係の構築は実践で難しく感じることが多いと思います。
信頼するって簡単じゃない
「信じ」「頼る」という言葉から成り立っている。相談場面では初対面で、関りが始まる支援は多い。
支援者同士でも誰もが「初めまして」で、しばらく一緒に働く機会があっても、異動、転勤、転職、いろんな理由で「初めまして」という関係から始まる。「信じて」「頼る」って簡単ではないと思うんです。
「初めまして」から信頼関係を構築するって、なかなか難しいことだと思います。
信頼できるとはどういうことだろう
「信頼できる」から想像できるキーワードをあげてみると
・知ろうとしてくれる
・受け止めてくれる
・理解してくれる
・認めてくれている
・尊重してくれる
・気付かせてくれる
・気遣ってくれる
・言葉遣いに配慮がある
・感情を逆撫でない
・いいところも良くないところも指摘してくれる
・求めることに協力してくれる
・課題の改善に前向きに関わってくれる
・正直に本音で向き合ってくれる
そうした表情、態度、言葉、行動が、継続している関係は安定しやすいし、信頼関係を構築しやすいと思います。ただ、一貫性のない一時的なものになってしまうと、逆効果にもなりかねないですね。
信頼を阻害する要因は何だろう
「信頼できない」要因はどんなことだろう・・
・無関心、知ろうとしない
・話をしっかり聴いてくれない
・尊重してると感じない
・誠実さがない
・協調性がない
・否定的な印象
・態度に一貫性がない
・行動が伴わない
このような態度を感じると、信頼しようと思わないですね。自分自身ではそんなつもりなくても、無意識にそう感じさせていることがあるかもしれません。
例えば、
・忙しさにゆとりがなく、しっかり話を聴けていない
・普通は○○や常識的な話をして、否定的になってしまう
・発言の理由や気持ちを聞かずに、解釈してしまう
・警戒した態度や反発する態度に、不快感を示してしまう
などなど、たくさん反省する経験があります。
「知らない」には頼れない
受け身な捉え方だけではなく、自分自身を知ってもらうことも大切だと思います。求めるだけではなく、自分から知ってもらう行動を起こすことです。
「連携」の難しさについて以前書いたのですが、お互いに「望むこと」「できること」「本音、思い」を明確にできることが、信頼関係に大きく影響すると思います。
何を「望んでいるか」知ること、そして何が「できるのか、できないのか」知ることで、一方的にならず、現実可能な選択ができます。
特に大切なのは「本音、思い」だと思います。内に秘めて多くを語らず、しっかり役割を果たしてくれる方も多いと思いますが、それを「伝える」ことで「知ってもらう」こと「お互いを知る」ことが信頼関係の構築の助けになると思います。人は感情や言葉を持つ生き物で、それが大きく影響することは間違いないですから、適切に「伝える」「知る」機会がないより、ある方がより信頼できるか判断できます。
信頼を理由に勝手に期待していないか?
信頼関係を意識している中で、理想的なことや予定通りに進むことを相手に期待していることがあります。そして、期待通りにならないとガッカリしていることがあります。
期待することが良くないとは思わないけれど、「自分の思い通りにいってほしい」のか「相手の行動の結果を見守って受け止めるのか」自分の心持ち次第で、自分の態度も違っていることに気付かされることもあります。
「自分の思い通りに・・」はよくよく考えると、ずいぶん勝手だなと気づきますが、信頼関係を意識しすぎた時の落とし穴ですね。
信頼しても期待せず、ありのままを受け止め、尊重すること。
信頼関係はやり甲斐も感じやすい
簡単ではないと感じることもたくさん経験したけれど、信頼関係はやり甲斐を感じ、もっと自分にできることはないかと考えたり、頑張って丁寧に役割を果たしたいと、集中力や意欲が高まる経験もたくさんあります。
信頼関係を経験してやり甲斐を感じることで、成長意欲も高まりやすくなります。そんな経験をたくさんできたことに感謝だなと思います。
一方で、 社会がコストパフォーマンスを求める傾向が強くなり、医療や福祉も、「効率」「結果」を追求しすぎる「仕組み」「組織」「業務管理」になり、「ハラスメント対策」「少子化による人材不足」などが追い打ちをかけ、「気を使い」「ゆとりない」環境が増え、ストレスを感じやすい対人援助職が増えると思います。
「信頼関係」やその「プロセス」を非効率的として「収益に直結する業務」「業務としてこなす」だけの働き方になると、対人支援職はやり甲斐を感じられなくなり、個人も組織も不安定の悪循環に陥いることになります。
そうならないよう「信頼関係」の大切さを意識して、努力できるようにありたいと思います。
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